

この「矢継ぎ早」は、簡潔に言えば「続けざまに素早く物事を行うこと」という意味の慣用句だ。でも何で”矢”なのか、不思議に思わないか?
今回はその「矢継ぎ早」の意味・語源や使い方、類義語などについて、大学院卒の日本語教師・むかいひろきに解説してもらうぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/むかいひろき
ロシアの大学で2年間働き、日本で大学院修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。
「矢継ぎ早」の意味や使い方は?

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「矢継ぎ早」という言葉は、聞いたことがあるという人の方が多いでしょう。しかし、正確な意味を聞かれたときは少し戸惑ってしまうのではないでしょうか。そして、なぜ”矢”なのか気になっている人もいるのでは?まずは、その「矢継ぎ早」の意味と語源について見ていきます。
「矢継ぎ早」の意味は「続けざまに素早く物事を行うこと」
まずは「矢継ぎ早」が辞書にどのように掲載されているかを見ていきましょう。「矢継ぎ早」は次のような意味が国語辞典に掲載されています。
続けざまにすばやく物事を行うこと。
「―に質問を浴びせる」
出典:明鏡国語辞典 第二版(大修館書店)「やつぎ-ばや【矢継ぎ早】」
「矢継ぎ早」は「続けざまに素早く物事を行うこと」という意味の慣用句です。「矢継ぎ早に~する」「矢継ぎ早の~」という形で使用されることが多いですね。文字通り、”矢”が語源となった慣用句です。
「矢継ぎ早」の語源は?
「矢継ぎ早」という言葉は、連続して矢を射る時の動作が語源とされています。
弓から1本矢を放った後で連続して矢を射るには、新しい矢を弓に継ぎかえる必要が発生しますよね。その継ぎかえの動作(矢継ぎ)が早いと、次から次へと矢を射ることができるわけです。そこで、まずは「矢継が早く、矢を連続している技が速い様子」という意味で「矢継ぎ早」という言葉は使用されるようになりました。この意味では13世紀前半(鎌倉時代)の『平家物語』で既に使用が確認できます。
そして、時代が進むと弓矢について以外に、日常の物事にも意味が派生していきました。少なくとも江戸時代前半(17世紀半ばごろ)には、現代と同じ意味で「矢継ぎ早」という言葉が使用されていることが確認できます。
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