この記事では「飄々」について解説する。

端的に言えば飄々の意味は「とらえどころのない様子」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語科教員のminを呼んです。一緒に「飄々」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/min

高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターを目指して勉強中。

「飄々」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「飄々」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「飄々」の意味は?

「飄々」には、次のような意味があります。

ひょう‐ひょう〔ヘウヘウ〕【×飄×飄】

1 風の吹くさまや、その音を表す語。

2 風に吹かれてひるがえるさま。

3 足元がふらついているさま。また、目的もなくふらふらと行くさま。

4 考えや行動が世間ばなれしていて、つかまえどころのないさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

ひょうひょう」と読む言葉で、人の性格を表す言葉としてよく耳にする表現です。

実際には性格だけでなく、風の吹く様子そのものを表す言葉でもあります。今ではそこから派生した「ふらふらとさまよう様子」「つかみどころのない性格」という意味の方が定着して、頻繁によく用いられているようです。

「飄々」の語源は?

次に「飄々」の語源を確認しておきましょう。

もともと「ひょうひょう」は風の吹く音からきた言葉でした。そこから「風の吹く様子」そのものを表すようになり、さらにそうした風のように「とらえどころのない様子」「あてもなくさまよう様子」という意味で使われるようになりました。

また、「」という漢字についても詳しく見てみましょう。「」はもともと「火が高く飛んで火の粉が舞う様子」を示していました。そこから転じて「舞い上がる紙片、ふだ」を表す漢字となったのです。そんな「」と「」がセットになって、「」という漢字が成り立っています。

\次のページで「「飄々」の使い方・例文」を解説!/

「飄々」の使い方・例文

「飄々」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.仕事場の窓を開けると、飄々と吹く風が心地よく感じた。
2.たまには周りのことを忘れて、飄々とさまよい歩くことも悪くない。
3.飄々とした性格の彼は、周囲からの好感度も高い。

まずは1のように、風が吹いている様子そのものを表す意味で使うことができます。風の強さまで定義する表現ではありませんが「ひょうひょう」というくらいなので、あまりの強風の場合にはそぐわないかもしれません。

あてもなく歩く」という意味での「飄々」であれば2のような形になります。足元がおぼつかない様子だけでなく、あてもなくさまよう様子を示すことも可能です。

3の場合は「掴みどころのない性格」として使われています。もちろん短所ではなく、1つの個性ではありますが、人によってはネガティブな印象を持つ方もいるかもしれませんので、使う場面には少し注意をはらう必要があるかもしれません。

「飄々」の類義語は?違いは?

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「飄々」には、同じ漢字を用いた類義語が存在しています。微妙なニュアンスの違いも合わせて紹介しますので、確認してみてください。

飄々の類義語「飄逸」

飄逸(ひょういつ)」と読むこの漢字は、「飄」という漢字が含まれている通り、「考え方や行動が形式に捉われないさま」という意味で、「飄々」との類義語として挙げられる言葉です。

もう少し詳しく意味を比較してみると、「飄々」は「俗事にとらわれず、自由で捉えどころのないさま」を示すのに対し、「飄逸」は「型にはまらず、明るくのびのびとしているさま」という意味を示しています。飄逸は「マイペース」という言い換えがわかりやすいかもしれません。

「飄逸」の「」は「逸脱」という熟語などにも使用されているように、「わき道にそれるさま」を示す漢字です。そのため、「飄逸」は「型にはまっていない」、「飄々」は「自由気ままに」というニュアンスをそれぞれ持っています。

\次のページで「「飄々」の対義語は?」を解説!/

「飄々」の対義語は?

「風が吹く様子」から、そのように捉えどころのない性格を示す「飄々」ですが、対義語にあたるのはどのような言葉になるでしょうか。

飄々の対義語「執着」

執着する」「執着心を持つ」というような形で使われる言葉です。「何かに強く心をひかれ、それにとらわれること」「深く思い込んで忘れられないこと」という心情や状況を表し、「何にも捉われない」という意味の「飄々」とは逆の意味として挙げられます。

「飄々」の英訳は?

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最後に、「飄々」の英語表現について解説します。「風が吹く様子」「さまよう様子」「捉えどころのない性格」のどの意味になるかによって、英語表現も変わってきますので、1つ1つ確認してみましょう。

なお、各表現の例文は最後にまとめて紹介します。

「風が吹く様子」は英語で「whistle」

まずは「風が吹く様子」を示す単語として「whistle」という動詞を紹介します。

「口笛を吹く」などの意味もありますが、大きく捉えると、風・弾丸・やかんなどが「ヒューと音を立てる様子」を表す単語です。こうして音を立てる様子を示す単語ですので、風が吹く音が語源の「飄々」という言葉の英訳としては最適な表現であると言えます。

「さまよい歩く様子」は英語で「aimlessly」

次に「あてもなくふらふらと歩くさま」としての「飄々」は「aimlessly」という副詞の単語がピッタリです。

少し詳しく分析すると、「aim」は「狙い」「目的」「目標」といった意味になり、そこに「less」という単語がセットになることで、「目的がない」という意味を為しています。「wonder」など「さまよう」という意味の動詞を修飾する文章などでは「飄々と」と訳すと良いでしょう。

「捉えどころのない性格」の英訳は?

最後に、性格としての「飄々」の英訳についてです。1単語で表現することは難しいので、「飄々」を別の言葉で表し、それを英訳するという手段を使って考えます。

性格を表す「飄々」は「細かいことに捉われない・気にしない」という意味で解釈できますね。英語でもさまざまな表現の仕方がありますが、例えば「気にしない」は「never concerned 」、「あらゆることについて」は「about worldly matters」という英語に置き換えることができます。

それぞれ紹介した英語表現の例文は以下にまとめていますので、ぜひチェックしてみてください。

\次のページで「「飄々」を使いこなそう」を解説!/

The north wind is whistling.
北風が飄々と吹いている。


He wandered aimlessly.
彼は目的もなく飄々とさまよった。


He is never concerned about worldly matters.
彼はいつも飄々としてものにこだわらない。

「飄々」を使いこなそう

この記事では「飄々」の意味・使い方・類語などを説明しました。

風の音が「ひょうひょう」と聞こえたことから生まれた言葉で、それが人の性格まで表す言葉になったというのが面白いところですよね。漢字で書くと途端に難しく見えますが、成り立ちからイメージできるとわかりやすくなりますので、ぜひ覚えておいてください。

また、英訳する場合は、対応する英単語が存在しないため、「飄々」の中のどの意味で使われているかに応じて英訳を考える必要があるので、そうした方法も合わせて把握しておきましょう。

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国語言葉の意味

「飄々」の意味や使い方は?例文や類語を元国語科教員がわかりやすく解説!

この記事では「飄々」について解説する。

端的に言えば飄々の意味は「とらえどころのない様子」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語科教員のminを呼んです。一緒に「飄々」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/min

高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターを目指して勉強中。

「飄々」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「飄々」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「飄々」の意味は?

「飄々」には、次のような意味があります。

ひょう‐ひょう〔ヘウヘウ〕【×飄×飄】

1 風の吹くさまや、その音を表す語。

2 風に吹かれてひるがえるさま。

3 足元がふらついているさま。また、目的もなくふらふらと行くさま。

4 考えや行動が世間ばなれしていて、つかまえどころのないさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

ひょうひょう」と読む言葉で、人の性格を表す言葉としてよく耳にする表現です。

実際には性格だけでなく、風の吹く様子そのものを表す言葉でもあります。今ではそこから派生した「ふらふらとさまよう様子」「つかみどころのない性格」という意味の方が定着して、頻繁によく用いられているようです。

「飄々」の語源は?

次に「飄々」の語源を確認しておきましょう。

もともと「ひょうひょう」は風の吹く音からきた言葉でした。そこから「風の吹く様子」そのものを表すようになり、さらにそうした風のように「とらえどころのない様子」「あてもなくさまよう様子」という意味で使われるようになりました。

また、「」という漢字についても詳しく見てみましょう。「」はもともと「火が高く飛んで火の粉が舞う様子」を示していました。そこから転じて「舞い上がる紙片、ふだ」を表す漢字となったのです。そんな「」と「」がセットになって、「」という漢字が成り立っています。

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