
その2「畏れる」
「畏まる」と同じ漢字を使った言葉ですが、こちらは「おそれる」と読みます。「おそれる」と言っても「恐怖心を感じること」ではなく「畏敬」、つまり「かしこまって敬うこと」を指し、「敬う」という点で「謹む」と同じ意味を持っている言葉です。
この「畏れる」という言葉は、使われる場面に特徴があります。この表現は「自分よりはるかに力のあるものを尊く思うこと」を指し、主に神仏や自然など、人智を超えたようなものに対する「敬意」を表すために使われるのです。人間どうしのコミュニケーションの中で用いられる「謹む」とは、その点で違いがあります。
ちなみに、「畏れる」というのは感情の一つを表す言葉で、具体的な言動を指す表現ではありません。敬意が動作に現れた状態を示す「畏まる」とは、同じ漢字を用いていても、そうした違いがありますので、合わせて理解しておきましょう。
「謹む」の対義語は?
「謹む」は「うやうやしくかしこまること」「相手への敬意」を指す表現であるため、対義語は「敬意がない」「礼儀がなっていない」といった意味になることがわかります。具体的にはどんな言葉が挙げられるでしょうか。
「敬意がない状態」を示す言葉は?
まずは「敬意がない状態」を示す言葉として挙げられるのが「蔑(さげす)む」という表現です。「自分より劣ったものとして人を見下すこと」という意味を持っています。こうした感情の中には、相手への敬意は微塵もありませんよね。
その他にも「相手を軽くみる」「軽んじる」という意味で「侮(あなど)る」という言葉も、「敬意がない状態」として「謹む」の対義語として挙げられます。好んで使いたくない言葉であるからこそ、意味を正しく把握しておきたいところですね。
「礼儀がなっていない状態」を示す言葉は?
次に「礼儀がない状態」を指す言葉についてです。こちらについては「失礼」「無礼」「不躾(ぶしつけ)」「無作法」など、多くの表現が存在します。
どれも「礼を欠くこと」という意味で共通しており、その意味では「謹む」と対義語として定義することが可能です。しかし、その中でも「不躾」「無作法」は「そもそも礼儀を知らない」「わきまえていない」ために礼を欠いている、というニュアンスになります。細かい違いではありますが、この機会にぜひ覚えてほしいです。
「謹む」の英訳は?

日本語であれば「謹んで」を使えばどんな場面でも幅広く対応できますが、英語で表現する場合は、どういった文脈かによって表現も変わってきます。ここでは特に代表的なものを紹介するので、確認してみてください。
謹むは英語で「humbly」
まず紹介するのは「humbly」という表現です。訳としては「謙遜して」というものになりますが、お詫びの気持ちを述べる際に、より相手へ気持ちを添えたい場合にはこの「humbly」という表現が最適になります。お詫びの英文で「humbly」が使われている場合は「謹んで」と訳して問題ないでしょう。
次に、「敬意を持った態度で」という意味で「謹んで」に表すものとして「with respectful attitude」という表現も使用できます。お礼を言う場面や敬意をはらった行動にこの表現が添えられている場合は「謹んで」と訳すことができるでしょう。
以下に例文を用意していますので、ぜひチェックしてみてください。
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