この記事では「後生」について解説する。

「後生」には意味が2つあり、読み方によって全く意味が異なる。しかし、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

高校で国語教師をしていた経歴を持つ、現役ライターのhiyoriを呼んです。一緒に「後生」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/hiyori

大学で近現代日本文学を専攻し、その知識を活かして国語教師として教壇に立っていた経歴を持つ。現在はライターとして様々な情報を発信している。難しい言葉もわかりやすい言葉で解説していく。

「後生」の意味や語源・使い方まとめ

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みなさんは「後生」という言葉をご存知ですか?ドラマや漫画で「後生だから」なんてセリフを聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。しかし、普段なかなか目にすることのない上に、意味を予測しづらい言葉なので、詳しくは知らないという人も多いはずです。今回は、そんな「後生」について詳しく解説していきたいと思います。

それでは早速「後生」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「後生」の意味は?

「後生」には、次のような意味があります。

後生(ごしょう)

1.死んで後の世に生まれ変わること。後世。来世の幸福。
2.後生のために、の意。人に哀願するときに用いる語。

後生(こうせい)

1.あとから生まれてくる人。あとから学ぶ人。後輩。後進。
2.あとから生じること。

出典:大辞林 第3版(三省堂)

「後生」には「ごしょう」と「こうせい」という2つの読み方があり、読み方によってまったく意味が異なります。

まずは、「後生」(ごしょう)の読み方の場合について確認していきましょう。もともとは仏教用語である「後生」(ごしょう)は、のちの時代のことである後世という意味、死んだ後に生まれ変わるという意味の言葉です。また、来世で幸福になるという意味で使用されることもあります。

さらに上記の意味に加えて皆さんに是非覚えてもらいたいのが、後生のためにという意味です。この意味は、「どうしてもお願いだからと」いうニュアンスで相手に切実にお願いする際に用いられます。なお、「後生」(こうせい)という読み方をする場合は、後から生まれてくる人、後から学ぶ人、後から生じることという意味で使用されるので覚えておきましょう。

「後生」の語源は?

次に「後生」の語源を確認しておきましょう。

上記で解説した通り、「後世」(ごしょう)は「死んだあとの世」、つまり来世を意味する仏教用語です。もともとは、生まれ変わった先の世界が安寧に満ちたものであることを祈る言葉として使われていました。その来世での幸福を願うという意味が変化して、相手に切実にお願いをするという意味が成り立ったと考えられます。

\次のページで「「後生」の使い方・例文」を解説!/

「後生」の使い方・例文

「後生」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.どこかで財布を落としてしまって帰れないので、後生だから電車賃を貸してくれませんか。
2.幼い頃に私が描いてプレゼントした似顔絵を、母は後生大事にしまっている。
3.迷子になっている子供に声をかけずに無視しては、後生が悪い。
4.甚大な被害をもたらした未曾有の大災害は、後生にしっかりと伝えてゆかねばならない。

1は、財布を落とすという急なトラブルで家に帰れないため、お金を貸してくれと頼む例文です。「後生(ごしょう)だから〜」という言い回しは、何かを懇願する際に使用されます。この表現を使ってお願いをするのは、願いに応えてもらなかった時に大変な状況になるような、並々ならぬほど切羽詰まった時です。そのため、軽いお願いをする時に使用するのは不適切なので注意してください。

2は、娘からもらった絵をとても大事に取っておく母親についての例文になります。ここでのポイントは、「後生」を(ごしょう)用いた「後生大事」という四字熟語を使用する点です。この言葉にはとても大事にすることや、後世の安楽を第一に考えるという意味があるので覚えておきましょう。

3は、困っている子供に手を差し伸べないと後世を幸せに生きるための徳が積めないことを表す例文です。「後生」(ごしょう)には、来世をより良いものにするために今世で徳を積むという意味があります。そのため、何か悪いことをしてしまうと来世に悪影響を与えてしまうと考えられているのです。

4は、震災の記憶を次の世代にも残していこうという例文になります。「後生」(こうせい)は後から生まれてくる人という意味があるため、震災を経験していない次の世代の子供たちを表現するために使用されているのです。

「後生」の類義語は?違いは?

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「後生」の類義語はどんなものがあるのでしょうか。

その1「来世」

「来世」とは、未来世の略語、死んだあとに生まれ変わる人生のことを意味する言葉です。「後生」(ごしょう)と同様に死んだあとの世、死後に生まれ変わることを表現します。しかし、「後生」(ごしょう)のように「お願い」というニュアンスは含まれていないので気をつけましょう。

\次のページで「その2「一生のお願い」」を解説!/

1.今世では一緒になれなかったけど、来世ではきっと夫婦になりましょう。
2.体は死んでも魂は生きているので、来世でまた出会えることを願っています。

その2「一生のお願い」

「一生のお願い」は、文字通り生きてる間に一度しかないような重要なお願いを意味する言葉です。よく、一生のお願いは一生に一回しかできないなんて言いますよね。それほど大きなお願いという意味なので、「後生」(ごしょう)と同じように小さなお願いの際に使用するのは不適切です。

1.一生のお願いだから、今日の宿題の答えを写させて欲しいです。
2.一生のお願いだから、お小遣いをアップしてほしい。

その3「新人」

「新人」は新しく仲間に加わった人、芸能界・文壇などに新しく登場した人という意味の言葉です。「後生」(こうせい)の、後から学ぶ人や後輩と似た意味と考えられるでしょう。

1.アルバイトに新しく入った新人に、注文の取り方を教える。
2.まだインディーズながら各コンテストを総なめにする期待の新人バンドが現れた。

「後生」の対義語は?

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「後生」の対義語には何があるでしょうか。

\次のページで「その1「前世」」を解説!/

その1「前世」

「前世」は過去世の略、この世に生まれてくる前の世のことを意味する言葉になります。来世のことを指す「後生」とは、反対の意味です。また、あまり一般的ではありませんが、「前世」の下に打ち消しの語をともたなって今まで一度も、全くという使われ方もします。

1.端正な顔立ちの上に歌も演技も上手いだなんて、あの俳優は前世で徳を積んだに違いない。
2.娘は幼いころ、前世の記憶を持っていたようだ。

その2「先輩」

「先輩」は「後生」(ごしょう)の対義語です。日常的に使用しているので、意味を知らないなんて人はおそらくいないでしょう。詳しく説明すると、同じ学校や職場に先に入った人、先に生まれたり、学問や技芸の道で先に進む人のことを意味する言葉です。

1.入社したてのころから面倒を見てくれた先輩の退職を寂しがる。
2.先輩に教えてもらったノウハウを、今度は私が後輩に教える番だ。

「後生」を使いこなそう

この記事では「後生」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「後生」には「ごしょう」と「こうせい」2つの読み方があり、まったく異なる意味です。「後生」(ごしょう)は、死んだ後に次の世に生まれ変わること、来世での幸福、後生のためにという意味が、「後生」(こうせい)には後から生まれてくる人という意味があります。

一般的に、相手に切実にお願いをするときに「後生だからお願い」という言い回しで使用することが多いので押さえておきましょう。

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「後生」の意味や使い方は?例文や類語を文学部卒現役ライターがわかりやすく解説!

「後生」の使い方・例文

「後生」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.どこかで財布を落としてしまって帰れないので、後生だから電車賃を貸してくれませんか。
2.幼い頃に私が描いてプレゼントした似顔絵を、母は後生大事にしまっている。
3.迷子になっている子供に声をかけずに無視しては、後生が悪い。
4.甚大な被害をもたらした未曾有の大災害は、後生にしっかりと伝えてゆかねばならない。

1は、財布を落とすという急なトラブルで家に帰れないため、お金を貸してくれと頼む例文です。「後生(ごしょう)だから〜」という言い回しは、何かを懇願する際に使用されます。この表現を使ってお願いをするのは、願いに応えてもらなかった時に大変な状況になるような、並々ならぬほど切羽詰まった時です。そのため、軽いお願いをする時に使用するのは不適切なので注意してください。

2は、娘からもらった絵をとても大事に取っておく母親についての例文になります。ここでのポイントは、「後生」を(ごしょう)用いた「後生大事」という四字熟語を使用する点です。この言葉にはとても大事にすることや、後世の安楽を第一に考えるという意味があるので覚えておきましょう。

3は、困っている子供に手を差し伸べないと後世を幸せに生きるための徳が積めないことを表す例文です。「後生」(ごしょう)には、来世をより良いものにするために今世で徳を積むという意味があります。そのため、何か悪いことをしてしまうと来世に悪影響を与えてしまうと考えられているのです。

4は、震災の記憶を次の世代にも残していこうという例文になります。「後生」(こうせい)は後から生まれてくる人という意味があるため、震災を経験していない次の世代の子供たちを表現するために使用されているのです。

「後生」の類義語は?違いは?

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「後生」の類義語はどんなものがあるのでしょうか。

その1「来世」

「来世」とは、未来世の略語、死んだあとに生まれ変わる人生のことを意味する言葉です。「後生」(ごしょう)と同様に死んだあとの世、死後に生まれ変わることを表現します。しかし、「後生」(ごしょう)のように「お願い」というニュアンスは含まれていないので気をつけましょう。

\次のページで「その2「一生のお願い」」を解説!/

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