
激しい風と荒れ狂う波の意。また、時代が激しく変化することの形容。▽「怒濤」は荒れ狂い逆巻く波。ドイツ語「シュトルム‐ウント‐ドラング」の訳語で、十八世紀後半ゲーテらを中心に展開された文学革新運動をいう。
出典:新明解四字熟語辞典(三省堂) 「疾風怒涛」
荒い波である「怒涛」と、激しい風である「疾風」が組み合わさった語ということですね。また辞書にある通り、語源はドイツ語の「シュトゥルム(嵐)‐ウント(そして)‐ドラング(衝動)」です。
「疾風怒涛」はドイツ文学の革新運動のこと!
18世紀後半のドイツでは、文学の革新運動が起こりました。その内容は、端的に言えば合理・形式主義(理性)から非合理・個人主義(感情)への変化です。それまで主流だった古典主義や啓蒙主義は、均整・調和や理性・合理性に重きをおいた考え方でした。これに対し、感情や主観に重きをおいた「ロマン主義」と呼ばれる考え方が勃興します。
ここに至る革新運動のことを、当時制作された戯曲名から取って「シュトルム‐ウント‐ドラング」と呼ぶように。そしてこの和訳が「疾風怒涛」とされました。「ロマン主義」では恋愛が賛美され、民族意識を高めるような特徴があります。代表的な作家としては、ゲーテやシラーが挙げられるでしょう。
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「怒涛」の中にもしっかり自分を持つことが大切
この記事では「怒涛」の意味について解説しました。また「疾風怒涛」をキーワードに、ドイツ文学の革新運動(シュトルム‐ウント‐ドラング)についても触れています。
気候変動・世界的な疫病の蔓延・経済の崩壊・戦争など、世界には大きなうねり(まさに怒涛)がしばしば起こってきました。身近なところでも、ショッキングなニュースや流行り廃りに、自分の考え方や行動が左右されることもあるでしょう。しかしその中にあっても、絶対に譲れない自分軸を持っておくことは、他者の考えに左右されず『自分の人生を生きる』ために大切なこと。とりわけ情報過多な現代にあっては、その重要性が増しているのではないでしょうか。
この記事が「怒涛」の理解と、強い自分を持つことを意識するきっかけになりましたら幸いです。