この記事では「目くじらを立てる」について解説する。

端的に言えば目くじらを立てるの意味は「人のささいな欠点を責めたてること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「目くじらを立てる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「目くじらを立てる」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「目くじらを立てる」の意味や語源・使い方まとめ

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目くじらを立てる」(めくじらをたてる)は、日常会話でもよく耳にする慣用句ですね。「目」を用いた慣用句はとても多いですが、「目くじら」とは一体なんのことでしょうか。それでは早速「目くじらを立てる」の意味や語源・使い方を見ていきます。

「目くじらを立てる」の意味は?

まず初めに「目くじらを立てる」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「目くじらを立てる」には、次のような意味があります。

1.目をつりあげて人のあらさがしをする。他人の欠点を取り立てて非難する。目角 (めかど) を立てる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「目くじらを立てる」

2.目に角を立てて他人の欠点を探し出す。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「目くじらを立てる」

上記の通り、「目くじらを立てる」は、相手の失敗や欠点をあらさがししたり、それを非難したりすることを言います。辞書の引用に記述されている「目角(めかど)を立てる」と言うのは、怒って鋭い目つきでにらみつける、と言う意味です。つまり、「目くじらを立てる」とは、怖い表情をして非難する様子を表しているのですね。

また、ニュアンスとしては小さな失敗やミスを必要以上に責めたてる、と言う意味合いですから、ただ叱っている、怒っているのとは少し違いますので注意しましょう。

「目くじらを立てる」の語源は?

次に「目くじらを立てる」の語源を確認しておきましょう。「目くじら」とは一体なんのことでしょうか。字面から考えると動物の鯨(クジラ)に関係があるかと思いがちですが、実は鯨とは全くの無関係なのです。

「目くじら」とは、古語の「くじり/くじら」から由来した言葉と考えられています。「くじり」は、「口」と「尻」とが合わさった言葉で、物の両端、物の隅(すみ)と言う意味を持っていました。日本海側の方言では現在でも、物の隅っこのことを「すまくじら」と言うようです。つまり、「目くじら」は目の端、目尻のことを指しているのですね。このことから、目尻を吊り上げて怒っている様子を「目くじらを立てる」と言うようになったのです。

\次のページで「「目くじらを立てる」の使い方・例文」を解説!/

「目くじらを立てる」の使い方・例文

それでは「目くじらを立てる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.あの講師はわずかなミスの揚げ足を取って目くじらを立てるから、受講者からの評判が悪い。
2.近所の奥さんは旦那さんの行動にいちいち目くじらを立てるので、時々大変なケンカになっている。
3.姑が、料理の味が薄いだの、端っこにほこりがあるだのと目くじらを立ててくるので、内心苛立ちでいっぱいだ。

例文のように、「目くじらを立てる」は、ささいなことを必要以上に責めて怒る、と言う意味合いの文章で使われます。単に「叱られる」わけではなく、怒っている相手を非難している心情を含んでいるることもあるしょう。

また、目上の人から責められる、と言うシーンで使われることは多いのですが、目下の人から非難する、と言う場面ではあまり用いられません。注意してくださいね。

「目くじらを立てる」の類義語は?違いは?

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「目くじらを立てる」の類義語には、「咎めたてる」が挙げられます。

「咎めたてる」

咎めたてる」の読み方は「とがめたてる」です。

「咎める」にはいくつかの意味がありますが、過ちや罪・欠点などを取り上げて責める、非難すること、と言う意味も持っています。「咎めたてる」は、取りたててそのことをとがめる、必要以上に強くとがめる、と言う意味です。「目くじらを立てる」の類義語ですが、「目くじらを立てる」の方には、怖い顔をしてと言うイメージがある、と言うところが相違点と言えるでしょう。

「咎めだてする」という言い方で用いられることもあります。

「目を三角にする」

目を三角にする」と言う慣用句もあります。意味は、目を怒らす、怖い目つきをするということです。険しい目つきを、三角、と形容しているのですね。

ここまで紹介してきた通り、「目」を用いて、怒っている様子を表す形容詞は、「目くじらを立てる」「目角をたてる」「目を三角にする」というように三つもあります。このうち「目くじらを立てる」だけが、相手の欠点を非難する、というニュアンスが含まれる慣用句です。シーンに応じて使い分けられると良いですね。

「目くじらを立てる」の対義語は?

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「目くじらを立てる」の対義語には、「寛容」がふさわしいでしょう。

「寛容」

寛容」は、「かんよう」と読みます。「寛」と言う感じは、心が広いと言う意味を持ち、「容」には、ゆるす、受け入れる、と言う意味です。つまり「寛容」は、心が広くて、よく人の言動を受け入れること。他の罪や欠点などをきびしく責めないことなのです。人の間違いを責めない、と言うことは、「目くじらを立てる」の対義語にふさわしいでしょう。

間違えやすい「目」を使った慣用句

「目くじらを立てる」と同じく、「目」を使った慣用句はとても多くあります。その中でも意味を間違えやすいのが「目を細める」と言う慣用句です。紹介しましょう。

「目を細める」

目を細める」(めをほそめる)は、嬉しいことや幸せを感じて笑顔になることです。笑顔になると、自然に目が細くなりますね。このことから「目を細める」が、幸せで笑顔になると言う意味の慣用句として使われるようになりました。

そして、「目を細める」を、怒りを感じていると言う意味や、疑っている様子を表現するのに使っているのを散見しますが、これは誤用です。たしかに、訝し気に見る様子など、「目を細める」と言いたくなりますが、正しくは「眉をひそめる」などがふさわしいでしょう。注意してくださいね。

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「目くじらを立てる」を使いこなそう

この記事では「目くじらを立てる」の意味・使い方・類語などを説明しました。「目くじら」がなんのことか、知らない人も少なくないでしょう。動物の「クジラ」に関係していると勘違いしている人もいるかもしれません。「くじり」または「くじら」は、端っこという意味の古語でしたね。「くじら」と言う古語は、古く室町時代に使われていたようです。そんな古い語源の慣用句がいまだに一般的に使われているのは興味深いですね。

また、「目くじらを立てる」の使い方ですが、必要以上に非難していると言うことですから、言われて良い気分のする言葉ではないので注意しましょう。

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【慣用句】「目くじらを立てる」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「目くじらを立てる」について解説する。

端的に言えば目くじらを立てるの意味は「人のささいな欠点を責めたてること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「目くじらを立てる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「目くじらを立てる」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「目くじらを立てる」の意味や語源・使い方まとめ

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目くじらを立てる」(めくじらをたてる)は、日常会話でもよく耳にする慣用句ですね。「目」を用いた慣用句はとても多いですが、「目くじら」とは一体なんのことでしょうか。それでは早速「目くじらを立てる」の意味や語源・使い方を見ていきます。

「目くじらを立てる」の意味は?

まず初めに「目くじらを立てる」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「目くじらを立てる」には、次のような意味があります。

1.目をつりあげて人のあらさがしをする。他人の欠点を取り立てて非難する。目角 (めかど) を立てる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「目くじらを立てる」

2.目に角を立てて他人の欠点を探し出す。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「目くじらを立てる」

上記の通り、「目くじらを立てる」は、相手の失敗や欠点をあらさがししたり、それを非難したりすることを言います。辞書の引用に記述されている「目角(めかど)を立てる」と言うのは、怒って鋭い目つきでにらみつける、と言う意味です。つまり、「目くじらを立てる」とは、怖い表情をして非難する様子を表しているのですね。

また、ニュアンスとしては小さな失敗やミスを必要以上に責めたてる、と言う意味合いですから、ただ叱っている、怒っているのとは少し違いますので注意しましょう。

「目くじらを立てる」の語源は?

次に「目くじらを立てる」の語源を確認しておきましょう。「目くじら」とは一体なんのことでしょうか。字面から考えると動物の鯨(クジラ)に関係があるかと思いがちですが、実は鯨とは全くの無関係なのです。

「目くじら」とは、古語の「くじり/くじら」から由来した言葉と考えられています。「くじり」は、「口」と「尻」とが合わさった言葉で、物の両端、物の隅(すみ)と言う意味を持っていました。日本海側の方言では現在でも、物の隅っこのことを「すまくじら」と言うようです。つまり、「目くじら」は目の端、目尻のことを指しているのですね。このことから、目尻を吊り上げて怒っている様子を「目くじらを立てる」と言うようになったのです。

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