この記事では「花より団子」について解説する。

端的に言えば花より団子の意味は「実利を取ること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「花より団子」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で日本語学を専攻。「花より団子」というよりは、「花より酒」だ。もしくは「花より猫」かもしれない。

「花より団子」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「花より団子」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「花より団子」の意味は?

「花より団子」には、次のような意味があります。

風流より実利のほうをとること。外観よりも実質を尊ぶことのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「花(はな)より団子(だんご)」

花より団子」とは、「風流より実利を取ること」という意味の慣用句です。「花(をめでること)」が「風流」、「団子(を食べること)」が「実利」を意味します。

「花より団子」の語源は?

次に「花より団子」の語源を確認しておきましょう。

今でこそ花見といえば桜を見ながら宴会というイメージですが、日本で花見が始まったとされる奈良時代では、主に貴族が梅の花を鑑賞するものでした。当時の和歌でも花といえば梅を指します。それが平安時代になると、花見の対象が梅から桜へと移りました。時代はさらに進み、安土桃山時代には豊臣秀吉により醍醐の花見が催され、それは名だたる武将など数千人が集う豪華絢爛なものでした。そこで振る舞われた団子こそが花見団子の始まりです(諸説あり)。江戸時代になれば庶民にも花見の文化が広まり、今に至ります。

花見というものが、もとは花が咲くのを見て和歌を詠んだりしたものから、時代とともに団子目当てに楽しむものへと変化しました。今は団子というよりも、お弁当やお酒なのかもしれません。そのような風流よりも飲み食いといった実益を優先したり、風流を楽しめない人を揶揄したりする例えとして、「花より団子」という言葉が使われるようになりました。

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「花より団子」の使い方・例文

「花より団子」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.せっかくの富士山なのに、君はさっきから食べてばかりでまさに花より団子だ。
2.ガーデニングが趣味である上司の家に招待されたが、私は花より団子なので特に感動はなかった。
3.花より団子主義の私は、ホールスタッフとして働くよりも、時給の高い深夜の厨房を任される方が性に合っている。

「花より団子」という言葉を使うときに注意しなければならないことがあります。それは、他人に対してあまり言うべきではないということです。価値観は人それぞれですし、最近はマイノリティの考えや志向を持つ人にも配慮するようになりました。特に上司や先輩に対して「花より団子」と言うのは失礼となります。

例文でも、2と3では自分のことで「花より団子」という言葉を使っていますし、1は親しい仲での会話であることが感じられるのではないでしょうか。仲の良い人をちょっとからかうまでが「花より団子」の許容範囲内と言えます。よって、「花より団子」という慣用句を使うのは、相手が不快に感じることはないと分かるときだけにしましょう。

「花より団子」の類義語は?違いは?

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ところで、「花より団子」の類義語とは何になるでしょうか。違いとともに見ていきましょう。

「色気より食い気」「花の下より鼻の下」

色気より食い気」(いろけよりくいけ)と「花の下より鼻の下」(はなのしたよりはなのした)は、厳密に言えば「花より団子」とは比較しているものが違います。「花より団子」では風流さと食欲を比較していますが、「色気より食い気」は恋愛と食欲、「花の下より鼻の下」は風流さと恋愛が比較対象です。それでも、2つのものを比較して「〜より〜がいい」という意味の慣用句であることは同じと言えます。

「一中節より鰹節」(いっちゅうぶしよりかつおぶし)や「挨拶より円札」(あいさつよりえんさつ)などは、あまり聞いたことがない人もいるかもしれません。それらも「花より団子」と同じ意味の慣用句です。「詩を作るより田を作れ」「理詰めより重詰め」など、この手の慣用句はいくらでもあります。

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「花より団子」の対義語は?

さらに「花より団子」の対義語も見ていきましょう。

「馬子にも衣装」「武士は食わねど高楊枝」

馬子にも衣装」(まごにもいしょう)とは、「取るに足らない者でも外見を整えると立派に見えること」という意味の慣用句です。外観や見栄を重視するという点では、実利を重視する「花より団子」とは対極にあると言えるでしょう。

見栄を張るという意味では、「武士は食わねど高楊枝」(ぶしはくわねどたかようじ)という慣用句も同じと言えます。「食うに困る武士でも体面を重んじる」という意味があり、武士の「清貧」や「やせ我慢」を表した言葉です。

「花より団子」の英訳は?

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では、「花より団子」に英訳はあるのでしょうか。

「Pudding before praise.」「Bread is better than the songs of birds.」

英語にも「花より団子」に相当する慣用句があり、中には食べ物が入ったものもあります。ここでは2つ紹介しましょう。

Pudding before praise.」は、直訳すると「ほめ言葉よりプディング」となります。ほめてくれるよりもプリンを食べさせてくれ、ということです。

Bread is better than the songs of birds.」も、中学英語レベルで訳せるのではないでしょうか。「鳥の歌よりもパンがいい」となります。「the songs of birds」が「花」、「bread」が「団子」と同じです。

「花より団子」を使いこなそう

この記事では「花より団子」の意味・使い方・類語などを説明しました。

桜の花が咲く時期はほんのわずかですので、せっかくの桜そっちのけで飲み食いする人をもったいないと思いたくもなります。しかし、人にはそれぞれの価値観がありますので、とやかく言う必要はないのかもしれません。若いうちは花に興味が持てなくても、年齢を重ねればいやでも花の美しさに目を奪われるようになるでしょう。花にも団子にも、両方に良さを感じられるようになりたいものです。

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国語言葉の意味

【慣用句】「花より団子」の意味や使い方は?例文や類語を雑学大好きwebライターがわかりやすく解説!

「花より団子」の使い方・例文

「花より団子」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.せっかくの富士山なのに、君はさっきから食べてばかりでまさに花より団子だ。
2.ガーデニングが趣味である上司の家に招待されたが、私は花より団子なので特に感動はなかった。
3.花より団子主義の私は、ホールスタッフとして働くよりも、時給の高い深夜の厨房を任される方が性に合っている。

「花より団子」という言葉を使うときに注意しなければならないことがあります。それは、他人に対してあまり言うべきではないということです。価値観は人それぞれですし、最近はマイノリティの考えや志向を持つ人にも配慮するようになりました。特に上司や先輩に対して「花より団子」と言うのは失礼となります。

例文でも、2と3では自分のことで「花より団子」という言葉を使っていますし、1は親しい仲での会話であることが感じられるのではないでしょうか。仲の良い人をちょっとからかうまでが「花より団子」の許容範囲内と言えます。よって、「花より団子」という慣用句を使うのは、相手が不快に感じることはないと分かるときだけにしましょう。

「花より団子」の類義語は?違いは?

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ところで、「花より団子」の類義語とは何になるでしょうか。違いとともに見ていきましょう。

「色気より食い気」「花の下より鼻の下」

色気より食い気」(いろけよりくいけ)と「花の下より鼻の下」(はなのしたよりはなのした)は、厳密に言えば「花より団子」とは比較しているものが違います。「花より団子」では風流さと食欲を比較していますが、「色気より食い気」は恋愛と食欲、「花の下より鼻の下」は風流さと恋愛が比較対象です。それでも、2つのものを比較して「〜より〜がいい」という意味の慣用句であることは同じと言えます。

「一中節より鰹節」(いっちゅうぶしよりかつおぶし)や「挨拶より円札」(あいさつよりえんさつ)などは、あまり聞いたことがない人もいるかもしれません。それらも「花より団子」と同じ意味の慣用句です。「詩を作るより田を作れ」「理詰めより重詰め」など、この手の慣用句はいくらでもあります。

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