この記事では「首魁」について解説する。

端的に言えば首魁の意味は「先駆者」「首謀者」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語科教員のminを呼んです。一緒に「首魁」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/min

高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターを目指して勉強中。

「首魁」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「首魁」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「首魁」の意味は?

「首魁」には、次のような意味があります。

しゅ‐かい〔‐クワイ〕【首×魁】

1 かしら。特に悪事・謀反などの首謀者。張本人。

2 さきがけをすること。また、そのもの。先駆。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

しゅかい」と読むこちらの熟語は、「悪事の首謀者・リーダー、張本人」と「物事のさきがけ・先駆者」の2つの意味を持っています。実際は物事のさきがけとなる「先駆者」としての意味で使われる場合よりも、違法行為や悪事の「首謀者」という意味で用いられる場合が多いですが、せっかくなのでどちらも合わせて覚えておきましょう。

「首魁」の熟語の構成は?

次に「首魁」という熟語を構成する漢字を深堀りしていきましょう。

まずは「」ですが、こちらは体の一部としてだけではなく「首相」「党首」のように、集団や組織の「おさ」という意味があります。また、「首位」という熟語からわかるように「物事のはじめ・第一」といった意味としても用いられる漢字です。

これを踏まえて「」の漢字も見ていきましょう。この漢字は「さきがけ」とも読むことができ、「まっさきに」「第一に」という意味を表す漢字です。他にもたくさんの意味がありますが、その中には集団の「かしら」という意味もあります。

つまり「首魁」は同じ意味の「」と「」の漢字がセットになった構成で、「首謀者・リーダー」「先駆者」という意味を為しているのです。

\次のページで「「首魁」の使い方・例文」を解説!/

「首魁」の使い方・例文

「首魁」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.この巨大な陰謀の首魁となった人物を、一刻も早く見つけ出す必要がある。
2.首魁である、組織のリーダーの逮捕によって事件は幕を下ろした。
3.彼は誰よりも先にその仕事に意味を見出した首魁である。

「首魁」は主に1、2のような「悪事の首謀者」という意味で用いられることがほとんどです。「悪事におけるリーダー・張本人」を表しますので、基本的に周囲の人を紹介する場合には使うことはないでしょう。これを踏まえて、くれぐれも使う場面には十分注意してくださいね。

また、「先駆者」という意味で3のように使用することも可能ですが、先に紹介した「悪事の首謀者」という意味の方が一般的には浸透しています。「先駆け」の意味で使ったつもりでも、説明不足だと相手には悪い意味で伝わってしまうかもしれません。この点にも留意して使うようにしましょう。

「首魁」の類義語は?違いは?

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次に「首魁」の2つの意味に対する類義語をそれぞれ紹介しますので、確認していきましょう。

その1「首謀者」

ここまで「首魁」の意味を説明する言葉として何度も登場しています。「中心になって悪事や陰謀を企てる人物」のことを指し、「悪事のリーダー」という意味での「首魁」の同義語にあたる言葉です。「首謀者」の方が「首魁」よりも、はるかに耳にする機会も多いと思います。

注意すべきところも「首魁」と同じで、「首謀者」も「悪事や陰謀における」という前提がある点です。特に人を紹介するような場面で、誤って使用しないように注意しましょう。

\次のページで「その2「黒幕」」を解説!/

その2「黒幕」

こちらも「首魁」や「首謀者」のように、悪事に関わる人を指す表現です。具体的には「陰で悪事を画策したり指図したりする人」という意味があります。

「首魁」「首謀者」と少し異なる点としては、悪事の「中心人物」「リーダー」に限らず、悪事を働く組織全体を指す場合などにも使うことができる点です。集団や組織全体を指したいときは「黒幕」という言葉が使えますし、その中でもリーダーや中心人物を強調したい場合は「首魁」「首謀者」という方が適切だと言えます。

その3「一番槍」

最後は「さきがけ」の意味との類義語として、この表現を紹介します。この「一番槍」という熟語は「最初に巧妙を立てる人」という意味です。

元々は「最初に敵陣を持って攻め入ること」を言いました。それができれば誰よりも先に巧妙を立てられるということから、「最初に巧妙を立てる」という意味で使われるようになりました。「さきがけ」という意味の「首魁」との類義語として、ぜひ覚えておいてほしい言葉です。

「首魁」の対義語は?

「首魁」という言葉にふさわしい対義語はありませんが、強いて言うなら「首魁」をリーダーとして捉えると、対義語として「配下」「手下」「子分」「部下」「家来」といった逆の身分となる言葉を挙げることができます。しかし、いずれも「悪事における」という前提がない言葉であり、対義語・反対語としては不十分でしょう。

「首魁」の英訳は?

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最後に「首魁」の英訳を確認してみましょう。英語ではどのように表現できるでしょうか。

首魁は英語で「ringleader」

「首魁」と同じく「悪事や不法行為のリーダー」を指す単語が英語にも存在します。それは「ringleader」という単語で、そのまま「首魁」や「首謀者」と訳すことが可能です。また、2つ目の意味である「さきがけ」としてであれば「forerunner」という単語に置き換えることもできます。

以下にそれぞれの単語を使用した例文を用意しましたので、ぜひチェックしてみてください。

He is  the ringleader of the murder .
彼こそが、その犯罪の首魁(首謀者)だ。

I studied the forerunner of Ukiyo-e .
私は浮世絵の首魁(先駆け)となった人物について勉強した。

\次のページで「「首魁」を使いこなそう」を解説!/

「首魁」を使いこなそう

この記事では「首魁」の意味・使い方・類語などを説明しました。

日常生活や会話の中で使用する機会はほとんどなく、初めて聞いたという方も多いかもしれません。基本は文語的な表現として、小説や記事の中で使われることが多いですが、覚えておいて損はないでしょう。また、2つの意味がある言葉であるものの、浸透している意味は「悪事の首謀者」であり、決して良い意味ではない言葉ではありません。使い方や意味を間違えないように、この記事を参考にしてもらえたら幸いです。

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国語言葉の意味

「首魁」の意味や使い方は?例文や類語を元国語科教員がわかりやすく解説!

この記事では「首魁」について解説する。

端的に言えば首魁の意味は「先駆者」「首謀者」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語科教員のminを呼んです。一緒に「首魁」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/min

高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターを目指して勉強中。

「首魁」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「首魁」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「首魁」の意味は?

「首魁」には、次のような意味があります。

しゅ‐かい〔‐クワイ〕【首×魁】

1 かしら。特に悪事・謀反などの首謀者。張本人。

2 さきがけをすること。また、そのもの。先駆。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

しゅかい」と読むこちらの熟語は、「悪事の首謀者・リーダー、張本人」と「物事のさきがけ・先駆者」の2つの意味を持っています。実際は物事のさきがけとなる「先駆者」としての意味で使われる場合よりも、違法行為や悪事の「首謀者」という意味で用いられる場合が多いですが、せっかくなのでどちらも合わせて覚えておきましょう。

「首魁」の熟語の構成は?

次に「首魁」という熟語を構成する漢字を深堀りしていきましょう。

まずは「」ですが、こちらは体の一部としてだけではなく「首相」「党首」のように、集団や組織の「おさ」という意味があります。また、「首位」という熟語からわかるように「物事のはじめ・第一」といった意味としても用いられる漢字です。

これを踏まえて「」の漢字も見ていきましょう。この漢字は「さきがけ」とも読むことができ、「まっさきに」「第一に」という意味を表す漢字です。他にもたくさんの意味がありますが、その中には集団の「かしら」という意味もあります。

つまり「首魁」は同じ意味の「」と「」の漢字がセットになった構成で、「首謀者・リーダー」「先駆者」という意味を為しているのです。

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