
端的に言えば冥利に尽きるの意味は「これ以上ないほどに幸せに思うこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「冥利に尽きる」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/ヒマワリ
今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「冥利に尽きる」についてわかりやすく丁寧に説明していく。
「冥利に尽きる」の意味や語源・使い方まとめ

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「冥利に尽きる」は「みょうりにつきる」と読みます。日常会話でもしばしば使われる身近な表現ですね。しかし「冥利」とは何か、その由来を知っている人は少ないかも知れません。これを機会にしっかりと覚えましょう。それでは早速「冥利に尽きる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。
「冥利に尽きる」の意味は?
まず初めに「冥利に尽きる」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「冥利に尽きる」には、次のような意味があります。
1.その立場にいる者として、これ以上の幸せはないと思う。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「冥利に尽きる」
2.それ以外のものでは決して味わうことの出来ない、人間として最高の充足感
出典:新明解国語辞典(三省堂)「冥利」
上記の通り「冥利に尽きる」は、これ以上ないほどの充足感や満足感を感じる、と言う意味を持っています。
詳しく言うと「その立場において」と言う意味合いがあり、例えば「教師冥利に尽きる」など、その立場や役職などから、とても充足感や満足感を感じる、と言うことなのです。したがって「男冥利」や「女冥利」、「親の冥利」などと、その人の立場を具体的に示す言葉を前に置くことが多いでしょう。つまり、その立場から何かを行って、それに対してもたらされた結果が、これ以上ないほどの幸福感を感じるものである、と言うことなのです。
単純に幸福や幸せと言うより、行いに対しての結果により幸福感充足感がある、と言うニュアンスがあるので、気をつけましょう。
「冥利に尽きる」の語源は?
次に「冥利に尽きる」の語源を確認しておきましょう。「冥利」とは何のことなのでしょう。
実は「冥利」は、もともと仏教用語でした。「冥」とは、人の智や手が届かない神仏の領域を意味し、「利」は、ご利益の「利」と同じように、幸運なこと、恩恵のことです。仏語における「冥利」とは、よい行いをした報いとして仏様から受ける恩恵、と言うことなのですね。
そして、「尽きる」が、これ以上ない、と言う意味で後ろに付けられました。こうして、「冥利に尽きる」と言う慣用句が、これ以上ないほどの幸せ、充足感、と言う意味で一般に使われるようになったのです。
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