

「こそばゆし」の「はゆし」も大和言葉だ。「決まりが悪い」「恥ずかしい」といった意味を持っているぞ。組み合わせると「こそばゆし」は「くすぐったくて決まりが悪い」「くすぐったくて恥ずかしい」となるな。なんだか、ずいぶんとかわいらしい表現という気がする。
1.朝礼で校長先生が話している間、後ろの友達が何度も背中をつつくので、こそばゆくて仕方なかった。
2.なんだか足がこそばゆいと思っていたら、知らないうちに蚊に刺されていたようだ。
3.試合で活躍したチームメイトに「今日の勝利は君のおかげだ」と伝えると、彼はこそばゆげな表情を浮かべた。
4.おばあちゃんの家に久しぶりに遊びに行った。何を話しても「すごい」と褒めてくれるので、こそばゆい思いがした。
例文1.2は身体のこそばゆさ、例文3.4は気持ちのこそばゆさを意味しています。
例文1は、背中をつつかれてくすぐったいという意味です。学校の朝礼では割りとよく見る光景ですが、やりすぎると先生の注意を受けますよ。
例文2で表すのは、蚊に刺された部分がくすぐったかった、かゆかった、ということです。
例文3では、賞賛されている本人がそこまで大きなことをしたと思っていなかったのでしょう。褒められて、居心地の悪さやむずがゆさを感じています。
例文4は孫の話を、どんなことでも褒めたたえるおばあちゃんに対し、心のくすぐったさを感じているという状況です。孫には嬉しいけれどいたたまれないような感覚がありますが、きっとおばあちゃんは本当に孫の話をどれも喜んで聞いていることでしょう。

「こそばゆい」を使った慣用句に「尻がこそばゆい」がある。これは「恥ずかしくて居心地が悪い、身の置き所がない」という意味だ。「尻」からは、ソワソワとして座っていられないような雰囲気が伝わるな。
\次のページで「「こそばゆい」の類義語は?違いは?」を解説!/