

端的に言えば心ばかりの意味は「気持ちだけ」だが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んだ。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「心ばかり」の意味や例文、類語などを見ていくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/タケル
某国立大で日本語学を専攻。心ばかりの品が決まってギフト券など無難なものになりがちだった。それでは良くないと考え、最近はどういう物が喜ばれるかをリサーチするようにしている。
「心ばかり」の意味は?
「心ばかり」には、次のような意味があります。
わずかに心の一部を表したものであること。贈り物をするときなどに謙遜していう語。副詞的にも用いる。「心許りの品」「お礼のしるしに、心許り粗餐を差し上げたいと存じます」
出典:デジタル大辞泉(小学館)「心ばかり」
「心ばかり」の意味は「ほんの気持ちだけ」です。主に贈り物をするときに、自らをへりくだって言うときに使います。
よく、「つまらないものですがお受け取りください」などと言うのを耳にしますよね。もちろん本当に取るに足らないようなつまらない品物を贈るわけではありません。贈り物としてふさわしい物を用意するはずです。それでも「つまらないもの」や「心ばかりの品」と言って渡すのは、特に海外の人には不思議に感じるでしょう。しかし、それが日本語ならではの謙遜する気持ちを表すものです。
「心ばかり」の語源は?
次に「心ばかり」の語源を確認しておきましょう。
前掲した辞書にも記載がありますが、「こころばかり」は漢字で「心許り」と書きます。「心」はともかく、「許り」に多少の違和感を覚えるかもしれません。漢字の「許」といえば、すぐに思い付くのは「許可」(きょか)や「許す」(ゆるす)などのはずです。しかし、「許り」は案外聞いたことがあるのではないでしょうか。「許り」の意味はいろいろと分かれますが、この場合は「甘いものばかり食べる」「あとは彼の到着を待つばかり」の「ばかり」と同じです。つまり、「許り」は「〜だけ、〜のみ」という意味であり、「心ばかり」は「ほんの気持ちだけ」となります。
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