この記事では「心ばかり」について解説する。

端的に言えば心ばかりの意味は「気持ちだけ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「心ばかり」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で日本語学を専攻。心ばかりの品が決まってギフト券など無難なものになりがちだった。それでは良くないと考え、最近はどういう物が喜ばれるかをリサーチするようにしている。

「心ばかり」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「心ばかり」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「心ばかり」の意味は?

「心ばかり」には、次のような意味があります。

わずかに心の一部を表したものであること。贈り物をするときなどに謙遜していう語。副詞的にも用いる。「心許りの品」「お礼のしるしに、心許り粗餐を差し上げたいと存じます」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「心ばかり」

心ばかり」の意味は「ほんの気持ちだけ」です。主に贈り物をするときに、自らをへりくだって言うときに使います。

よく、「つまらないものですがお受け取りください」などと言うのを耳にしますよね。もちろん本当に取るに足らないようなつまらない品物を贈るわけではありません。贈り物としてふさわしい物を用意するはずです。それでも「つまらないもの」や「心ばかりの品」と言って渡すのは、特に海外の人には不思議に感じるでしょう。しかし、それが日本語ならではの謙遜する気持ちを表すものです。

「心ばかり」の語源は?

次に「心ばかり」の語源を確認しておきましょう。

前掲した辞書にも記載がありますが、「こころばかり」は漢字で「心許り」と書きます。「心」はともかく、「許り」に多少の違和感を覚えるかもしれません。漢字の「許」といえば、すぐに思い付くのは「許可」(きょか)や「許す」(ゆるす)などのはずです。しかし、「許り」は案外聞いたことがあるのではないでしょうか。「許り」の意味はいろいろと分かれますが、この場合は「甘いものばかり食べる」「あとは彼の到着を待つばかり」の「ばかり」と同じです。つまり、「許り」は「〜だけ、〜のみ」という意味であり、「心ばかり」は「ほんの気持ちだけ」となります

\次のページで「「心ばかり」の使い方・例文」を解説!/

「心ばかり」の使い方・例文

「心ばかり」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.心ばかりですがお祝いの品をお送りいたしました。
2.先日のお詫びとして心ばかりではございますが、どうぞお納めください。
3.心ばかりのお料理を用意してお待ちしておりますので、皆様お誘い合わせのうえお越しくださいませ。

「心ばかり」を使うパターンは、例文1と2の「心ばかりですがではございますが)」と例文3の「心ばかりの〜」に分かれます。「大したものではありませんが」という意味を込めて、その後の「受け取ってください」などの文につながるのが1と2です。3は「心ばかり」に「の」を付けることでその後の「お祝い」や「品」などにつなげることができるようになり、「品」などの名詞を修飾する役割を持ちます。

この「心ばかり」ですが、どの場面でも使えるというわけではありません。「心ばかり」は、あくまでも贈り物などをするときに自分をへりくだって言うときに使う言葉です。自分の友人や同僚、後輩などに「心ばかり」は適しません。また、相手から「心ばかりのものですが」といって渡されたものに対して、「心ばかりのものをいただきありがとうございます」などと返すことも誤用となります。受け取る側が「心ばかり」と言ってしまうと、相手が大したものをよこさなかったと不満を言うのと同然です。気を付けましょう。

「心ばかり」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

ところで、「心ばかり」の類義語は何でしょうか。違いとともに見ていきましょう。

「寸志」

寸志」(すんし)も自分の贈り物を謙遜して言うときに使う言葉です。のし紙に「寸志」と書かれたものを何度も目にしたことがあるでしょう。

しかし、「心ばかり」と「寸志」のどちらものし紙に書いて相手に金品を渡しますが、使う人が限られていることに注意が必要です。「心ばかり」は目下の者が目上の者に対して物を贈るときに自らを謙遜して使いますが、目上の者が目下の者にほんの気持ちで物を贈るときは「心ばかり」を使いません。その場合は「寸志」を使います。

\次のページで「「心ばかり」の対義語は?」を解説!/

「心ばかり」の対義語は?

では「心ばかり」の対義語は何でしょうか。

「大枚」

「心ばかり」には、「ささやかではあるが気持ちを込めた」という意味があるとこれまでに説明しました。では、その反対は何になるのか考えてみましょう。

単純に「ささやかだが気持ちがこもっている」を逆にしてみます。すると、「金額は大きいが気持ちがこもっていない」となるでしょう。しかし、それをどう表現するのかが問題となります。

それには「大枚」という言葉を使うと意味が通るでしょう。「大枚」とは「金額の大きいこと」を表しますが、「大枚をはたく」で「大金を支払う、有り金を使い切る」となります。ただ単に大金を使うこと自体は、特に非難されることではありません。ですが、お金で解決するような印象を受ければ、途端に気分は悪くなります。正確には対義語とは言えないかもしれませんが、「大枚」という言葉で「心ばかり」とは逆の印象を与えることは可能です。

「心ばかり」の英訳は?

image by iStockphoto

さらに「心ばかり」の英訳も見ていきましょう。

「a small token」

忠実に「心ばかり」を英訳するのであれば、「only from my heart」などとなるでしょう。ですが、それでは「心ばかり」という言葉の裏にある「大したものではありませんが」という意味を表現するには足りません。

それを表現したいのであれば、「a small token」というフレーズが良いでしょう。「token」は「しるし、記念品」のことです。「token of my gratitude」で「感謝のしるし」となります。

「token」が思い付かなければ、「gift」や「present」でも良いでしょう。日本人の感覚では「ギフト」や「プレゼント」だと生々しく感じるかもしれませんが、英語圏の人は特に気には留めません。むしろ素直に喜ばれるのではないでしょうか。

「心ばかり」を使いこなそう

この記事では「心ばかり」の意味・使い方・類語などを説明しました。

相手に喜んでもらおうと贈る物が、大したものでないわけがありません。もちろんそれなりの物を贈るはずです。それなのに、日本語では「心ばかりの品」などと言う習慣になってます。特に外国の人から見れば不思議に見えるでしょう。しかし、それは相手を立てる心遣いがあってこそです。確かに言葉遣いはこう、のし紙はこう、などといちいち考えるのは面倒かもしれません。でも、相手から心のこもった物をもらえばうれしいですよね。よって、相手に喜んでもらえて自分もいい気持ちになれるよう、正しい「心ばかり」の物を贈る習慣を身に付けましょう。

" /> 「心ばかり」の意味や使い方は?例文や類語を雑学大好きwebライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

「心ばかり」の意味や使い方は?例文や類語を雑学大好きwebライターがわかりやすく解説!

この記事では「心ばかり」について解説する。

端的に言えば心ばかりの意味は「気持ちだけ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「心ばかり」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で日本語学を専攻。心ばかりの品が決まってギフト券など無難なものになりがちだった。それでは良くないと考え、最近はどういう物が喜ばれるかをリサーチするようにしている。

「心ばかり」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「心ばかり」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「心ばかり」の意味は?

「心ばかり」には、次のような意味があります。

わずかに心の一部を表したものであること。贈り物をするときなどに謙遜していう語。副詞的にも用いる。「心許りの品」「お礼のしるしに、心許り粗餐を差し上げたいと存じます」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「心ばかり」

心ばかり」の意味は「ほんの気持ちだけ」です。主に贈り物をするときに、自らをへりくだって言うときに使います。

よく、「つまらないものですがお受け取りください」などと言うのを耳にしますよね。もちろん本当に取るに足らないようなつまらない品物を贈るわけではありません。贈り物としてふさわしい物を用意するはずです。それでも「つまらないもの」や「心ばかりの品」と言って渡すのは、特に海外の人には不思議に感じるでしょう。しかし、それが日本語ならではの謙遜する気持ちを表すものです。

「心ばかり」の語源は?

次に「心ばかり」の語源を確認しておきましょう。

前掲した辞書にも記載がありますが、「こころばかり」は漢字で「心許り」と書きます。「心」はともかく、「許り」に多少の違和感を覚えるかもしれません。漢字の「許」といえば、すぐに思い付くのは「許可」(きょか)や「許す」(ゆるす)などのはずです。しかし、「許り」は案外聞いたことがあるのではないでしょうか。「許り」の意味はいろいろと分かれますが、この場合は「甘いものばかり食べる」「あとは彼の到着を待つばかり」の「ばかり」と同じです。つまり、「許り」は「〜だけ、〜のみ」という意味であり、「心ばかり」は「ほんの気持ちだけ」となります

\次のページで「「心ばかり」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: