この記事では「佳人」について解説する。

端的に言えば佳人の意味は「美人」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

大手企業で35年以上文章に携わってきた経験をもつベテランのKAIKAIを呼んです。一緒に「佳人」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/KAIKAI

東京の大手企業に35年以上勤務し、仕事でたくさんの文章に携わってきた経験を持つ。学生時代から国語が得意で言葉の意味には自信あり。

「佳人」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「佳人」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「佳人」の意味は?

「佳人」(かじん)には、次のような意味があります。

美しい女性。美人。

出典:デジタル大辞泉 コトバンク(小学館)「佳人」

「佳人」とは、「顔が美しく姿のよい女性」という意味と、「男女を問わず素晴らしい人物や美しい人物」という意味があります。「佳」という漢字は「きれい」という意味です。「美人」よりもランクが上とされています。「佳人」は「佳人薄命」という四字熟語でよく使われますね。「美しい人は短命である」という意味です。「佳人」は書き言葉であり、会話で使われることはありません。

なお、「佳人」に関連して、「月下佳人」とは花の名前です。「月下氷人」という言葉もありますが、これは「仲人」のことになります。「月下」とは中国の古典にある縁結びの神様とされる「月下老人」のことで、「氷人」とは、氷の上から氷の下の人と話をする夢を見たという故事からきたもので、「結婚の手伝いの達人」の意味です。

「佳人」の語源は?

次に「佳人」の語源を確認しておきましょう。

「佳人」の「佳」は「美しい」という意味があります。「佳人薄命」という四字熟語は、ひと昔前は、美しい女性は病弱な人が多かったり、権力者の闘争に巻き込まれて不運な運命をたどることが多かったのでこにように言われるようになりました。中国の北宋時代の詩人蘇軾(そしょく)の漢詩「薄命佳人」がその語源とされています。

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「佳人」の使い方・例文

「佳人」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.あの女優が亡くなりました。まさに佳人薄命です。
2.みんながあこがれ続けてきたあの人は絶大の佳人だ。
3.佳人から立派な贈りものをいただいた試しはない。

「佳人」は書き言葉であり、会話で使われることはほとんどありません。会話の場合はもっぱら「美人」が使われます。従って、例文も文語調になってしまうのです。1の例文はきれいな女性のことですが、2と3の例文は男女どちらもでもよく、きれいな人というよりは素晴らしい人という意味になります。

「佳人」の類義語は?違いは?

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「佳人」の類義語は何でしょうか。

その1「麗人」

「麗人」(れいじん)は、「美人」よりもランクが上で、「佳人」よりはランクが下と言われています。「麗」「非常に魅力的、又は誘惑的な女性」の意味があるのです。よく「美人薄命」とか「佳人薄命」と言いますが、「麗人薄命」とは言いません。「麗人」も「佳人」と同様書き言葉であり、会話で使われることはほとんどありません。「スーツを着た彼女はまさに男装の麗人だ」などと使われます。

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その2「別嬪」

「別嬪」(べっぴん)とは、江戸時代に東海道にある宿場の割烹が、お店のウナギ料理を宣伝するために「頗(すこぶる)別品」と看板に書いたのが由来となっています。その料理が有名になったことで「別品」という言葉も使われるようになったのです。当初は男女区別なく使われていました。その後、「別嬪」と書くようになり、明治時代になってから美しい女性を指す言葉となったのです。話し言葉として日常会話でよく使われ、「あの子は別嬪さんだ」などと言います。

その3「大和撫子」

「大和撫子」(やまとなでしこ)は、「美しい日本人女性」の意味です。容姿が美しいだけではなく、しとやかで、清楚でおくゆかしく、男性を立てるような気働きのある女性のことを言います。あるいは、か弱さの中にもりんとしたところがある女性のことを言うのです。ナデシコの花の美しさがその由来となっています。女性のサッカー日本代表のことを「なでしこジャパン」などと言いますね。

「佳人」の対義語は?

「佳人」の対義語は何でしょうか。

その1「ぶす」

「ぶす」「容姿が劣ること」を意味する俗語です。通常、ひらがなやカタカナで書きます。一般的には女性に対して使われますが、関西では男性に対しても使われることがあるのです。話し言葉で使われるることが多く、「実物は写真よりぶすだな」などと使います。

「附子」と漢字で書く場合は、トリカブトの毒の意味になるのです。もともと「ぶす」は、漢字で「附子」と書き、トリカブトの毒の意味でした。これを飲むと、神経が麻痺して無表情になったことから「無表情」のことを「附子」と言うようになりました。それが変化して醜いもののことを言うようになったのです。また、トリカブトの毒を題材にした狂言にも「附子」という演目があります。

その2「不細工」

「不細工」(ぶさきく)は、「見た目が劣ること」の意味です。もともとは、できの悪い工芸品という意味で使われていました。それが転じて、できがわるいもの全体のことを言うようになり、容姿についても言われるようになったのです。「不細工な格好をして出かけるな」などと言います。

「佳人」の英訳は?

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「佳人」は英語では何でしょうか。

\次のページで「「a beautiful woman」」を解説!/

「a beautiful woman」

佳人の英訳は「a beautiful woman」です。他に同じ意味の単語として「sweetheart」「stunner」「dish」「mantrap」「ravisher」「kockout」など日本語同様、多数の単語があります。

日本語の「佳人薄命」と解釈される英語の慣用句は以下です。

「The fairest flowers soonest fade」
「Beauty and long life seldom go hand in hand」
「Beautiful woman are liable to misfortune」
「God takes soonest those he loved best 」
「Those whom the gods love young 」
「Whom the gods love die young」

「佳人」を使いこなそう

この記事では「佳人」の意味・使い方・類語などを説明しました。

人の容姿をあらわす言葉はたくさんありますが、そのランク付けはいろんな説がありますし、はっきりした順番があるわけではありません。古来から世の男性が勝手に順番を付けて楽しんできたのでしょう。現代ではセクハラにつながりそうですね。

また、そのほとんどが文語表現であるのも特徴です。おそらく直接本人に向かって言うのは少しはばかられたのでしょう。そして、このような人の容姿を表す言葉の意味は時代背景や場面によっても意味が変化してきています。現在は誉め言葉の「佳人」もこの先どう変化するのか楽しみでしね。

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国語言葉の意味

「佳人」の意味や使い方は?例文や類語をたくさんの文章に携わってきたライターがわかりやすく解説!

この記事では「佳人」について解説する。

端的に言えば佳人の意味は「美人」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

大手企業で35年以上文章に携わってきた経験をもつベテランのKAIKAIを呼んです。一緒に「佳人」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/KAIKAI

東京の大手企業に35年以上勤務し、仕事でたくさんの文章に携わってきた経験を持つ。学生時代から国語が得意で言葉の意味には自信あり。

「佳人」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「佳人」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「佳人」の意味は?

「佳人」(かじん)には、次のような意味があります。

美しい女性。美人。

出典:デジタル大辞泉 コトバンク(小学館)「佳人」

「佳人」とは、「顔が美しく姿のよい女性」という意味と、「男女を問わず素晴らしい人物や美しい人物」という意味があります。「佳」という漢字は「きれい」という意味です。「美人」よりもランクが上とされています。「佳人」は「佳人薄命」という四字熟語でよく使われますね。「美しい人は短命である」という意味です。「佳人」は書き言葉であり、会話で使われることはありません。

なお、「佳人」に関連して、「月下佳人」とは花の名前です。「月下氷人」という言葉もありますが、これは「仲人」のことになります。「月下」とは中国の古典にある縁結びの神様とされる「月下老人」のことで、「氷人」とは、氷の上から氷の下の人と話をする夢を見たという故事からきたもので、「結婚の手伝いの達人」の意味です。

「佳人」の語源は?

次に「佳人」の語源を確認しておきましょう。

「佳人」の「佳」は「美しい」という意味があります。「佳人薄命」という四字熟語は、ひと昔前は、美しい女性は病弱な人が多かったり、権力者の闘争に巻き込まれて不運な運命をたどることが多かったのでこにように言われるようになりました。中国の北宋時代の詩人蘇軾(そしょく)の漢詩「薄命佳人」がその語源とされています。

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