この記事では「騒擾」について解説する。

端的に言えば騒擾の意味は「集団で騒いで秩序を乱すこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

ドラマやアニメなど、数多くの映像字幕を作成した経験があるNagiを呼んです。一緒に「騒擾」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Nagi

映像翻訳スクール出身。翻訳、チェッカー以外にも、CC字幕(クローズドキャプション)の制作多数。言葉を文字で表現する「字幕」の世界に数多く触れてきた経験を活かして、分かりやすく解説する。

「騒擾」の意味や語源・使い方まとめ

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騒擾」は「そうじょう」と読みます。普段、見聞きすることがあまりない言葉なので、読めた人はほとんどいないのではないでしょうか。

それでは早速「騒擾」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「騒擾」の意味は?

まず、国語辞典に記載されている意味を見てみましょう。「騒擾」には、次のような意味があります。

集団で騒ぎを起こし、社会の秩序を乱すこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「騒擾」

「騒擾」の意味は難しいものではありませんが、なかなかピンとこないかもしれません。口語では使わない文章語でもあるので、「そうじょう」と聞いても「相乗効果」の「相乗」が浮かんでしまうのではないでしょうか。

「騒擾」の語源は?

ここで「騒擾」の語源を確認しておきましょう。「騒(そう)」には「暴れて周りに影響を与える」という意味があります。うるさい音を立てるといったイメージも強く、喧騒・騒動・騒音といった言葉にも使われていますね。

一方の「擾(じょう)」は初見の漢字だという人が多いのではないでしょうか。漢検準1級レベルのこの字には「乱す、乱れる」といった意味があります。

\次のページで「「騒擾」の使い方・例文」を解説!/

「騒擾」の使い方・例文

「騒擾」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.新政に反発する民衆の騒擾が各地で勃発した。

2.昭和に起きた反政府的な騒擾事件がドラマ化された。

3.騒擾に巻き込まれて店舗のガラス窓が壊された。

例文1や例文2のような騒擾事件は、明治や大正、昭和初期といった時代に頻繁に起きていたようです。現代の日本においての騒擾といえば、渋谷でのハロウィーンの騒ぎが思い浮かぶのではないでしょうか。暴徒化した若者が軽トラックを横転させたり、例文3のように店のガラスを割ったりしたため「騒乱罪」を適応すべきといった声も多く聞かれました。騒乱罪(騒擾罪)とは集団犯罪の一つで、社会の公共の平穏を害した際に問われる罪のことです。

「騒擾」の類義語は?違いは?

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ここからは「騒擾」の類義語を見ていきましょう。「集団で騒いで秩序を乱すこと」と同じような意味を持つ言葉を、いくつか紹介していきます。

その1「擾乱」

擾乱」の読み方は「じょうらん」です。意味は「入り乱れて騒ぐこと」。騒擾と同義ですが、フォーカスしている部分が違います。「擾乱」が指しているのは、秩序を乱す騒ぎそのもの。一方の「騒擾」は、騒ぎによって秩序が乱れることに焦点を当てています。

\次のページで「その2「暴動」」を解説!/

その2「暴動」

暴動(ぼうどう)」は、大勢で騒動をひき起こすことを意味します。「騒擾」からイメージする「秩序」のニュアンスは、「暴動」からは感じられません。暴力行為や衝突シーンがストレートに浮かんでくる言葉だといえるでしょう。

「騒擾」の対義語は?

次は「騒擾」の対義語を見ていきましょう。「集団で騒いで秩序を乱すこと」と反対の意味合いを持つ言葉を紹介します。

その1「安泰」

安泰(あんたい)」は、無事で安らかな状態を意味する言葉です。年始の祈祷などで「国家安泰」や「一家の安泰」といった言葉を見聞きしたことがあるでしょう。「泰」は穏やかな印象を与える字なので、泰子や泰弘など「泰」を使った名前も(世代によっては)一般的ですね。

その2「平穏」

平穏(へいおん)」は、変わったことがなく穏やかな状態を意味します。波風が立たずに時間がゆっくりと流れるさまが見て取れるでしょう。「騒擾」とは、まさに対照的な表現ですね。同じような言葉を重ねることで意味を強調した「平穏無事」という四字熟語もあります。

「騒擾」の英訳は?

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日本語の「騒擾」は英語で表現すると、どのようになるのでしょうか?ここからは日本というフィールドを離れて、文化や習慣の異なる英語圏の視点から「騒擾」の英語訳を見ていきましょう。

その1「disturbance」

disturbance」は「平穏な状態を混乱させること、騒乱」という意味の英単語です。動詞形は「disturb」。ホテルのドアノブにかけるタグ「Please do not disturb.(起こさないでください)」でもおなじみですね。「raise」「create」「cause」といった動詞と「disturbance」を組み合わせれば「騒擾を起こす」という意味になります。

\次のページで「その2「riot」」を解説!/

その2「riot」

riot」は「暴動」の訳語として、英語のニュースでもよく使われている単語です。「大きな騒ぎ」全般に使えるので、騒擾・騒動・一揆・大混乱などの訳にも当てはめることができます。「騒乱罪(騒擾罪)」の英訳が「crime of rioting」になることも合わせて覚えておきましょう。

1.The Metropolitan Police Department suppressed disturbances in the Shibuya area of Tokyo.
警視庁によって渋谷エリアで起きた騒擾は制圧された。

2.Civil disturbances broke out in many places.
民衆の騒擾が各地で勃発した。

「騒擾」を使いこなそう

この記事では「騒擾」の意味・使い方・類語などを説明しました。騒擾に巻き込まれて損害を被ったとしても、火災保険に入っていれば補償対象になる場合があるそうです。関わりがないと思われるような言葉でも、どこで必要となるか分からないもの。どんな言葉も覚えておいて損はありません。積極的に「騒擾」という言葉を使っていきましょう。

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国語言葉の意味

「騒擾」の意味や使い方は?例文や類語を字幕制作者がわかりやすく解説!

この記事では「騒擾」について解説する。

端的に言えば騒擾の意味は「集団で騒いで秩序を乱すこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

ドラマやアニメなど、数多くの映像字幕を作成した経験があるNagiを呼んです。一緒に「騒擾」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Nagi

映像翻訳スクール出身。翻訳、チェッカー以外にも、CC字幕(クローズドキャプション)の制作多数。言葉を文字で表現する「字幕」の世界に数多く触れてきた経験を活かして、分かりやすく解説する。

「騒擾」の意味や語源・使い方まとめ

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騒擾」は「そうじょう」と読みます。普段、見聞きすることがあまりない言葉なので、読めた人はほとんどいないのではないでしょうか。

それでは早速「騒擾」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「騒擾」の意味は?

まず、国語辞典に記載されている意味を見てみましょう。「騒擾」には、次のような意味があります。

集団で騒ぎを起こし、社会の秩序を乱すこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「騒擾」

「騒擾」の意味は難しいものではありませんが、なかなかピンとこないかもしれません。口語では使わない文章語でもあるので、「そうじょう」と聞いても「相乗効果」の「相乗」が浮かんでしまうのではないでしょうか。

「騒擾」の語源は?

ここで「騒擾」の語源を確認しておきましょう。「騒(そう)」には「暴れて周りに影響を与える」という意味があります。うるさい音を立てるといったイメージも強く、喧騒・騒動・騒音といった言葉にも使われていますね。

一方の「擾(じょう)」は初見の漢字だという人が多いのではないでしょうか。漢検準1級レベルのこの字には「乱す、乱れる」といった意味があります。

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