この記事では「統べる」について解説する。「統べる」は意味は簡単であるものの、やや言い方としては固めで、フォーマル寄りの表現と言えるぞ。そのためイメージで難しそうと思われがちですが、学習するとそこまで難しくもないことに気づくでしょうから、安心してほしい。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「統べる」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「統べる」ってどういう意味?

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「統べる」の意味は以下のとおりです。

1 全体をまとめて支配する。統轄する。
2 多くの物を一つにまとめる。

出典:Weblio辞書「統べる 意味」

「統べる」には統治する、まとめるという意味があります。「統べる」の「統」という漢字は「統一/統治」などの「統」であるため、比較的連想しやすいでしょう。

一方で「統治」にはそこを納めるという意味があり、「統一」には一つに取りまとめるという意味があります。しかし「統べる」は両方に当てはめることができる言葉であり、ニュアンスの幅が広いため使い勝手が良い言葉です。やや言い回しとして固いという側面もあるため、柔らかい言い方が優先される時は避け、フォーマルな場などで使うと文章が引き締まります。

「統べる」って何て読むの?

「統べる」の読み方は「すべる」です。「統」の文字だけで「す」と読みます。通常は「統」を「す」とは読まないため、読み方を知らない人の多くは「とうべる/とべる」などと読んでしまいますが、これは明確な誤読です。

また、大きな注意のひとつとして、人の話の中に「統べる」が出てきてしまった場合、「すべる」という音だけが耳に入ってきます。しかし「統べる」をあらかじめ知らなければ、「滑る」という意味かと勘違いしてしまい、文章として意味が通らない話になってしまうでしょう。

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「統べる」ってどう使う?

「統べる」は以下のように使用します。

1.リーダーは彼ということになっているが、実質このチームを「統べる」のは彼女の方だ。
2.多くの人を「統べる」立場にあるのなら、言葉には気をつけた方が良い。
3.来月には部署を「統べる」部長を決めなくてはならない。

いずれも「統一する/支配する/取りまとめる」という意味です。厳密な意味を追うと「統一する/支配する/取りまとめる」はそれぞれ指し示すものが異なります。しかし現実問題としてそれぞれをはっきり区別できないことも多いため、包括的に表現するにあたり「統べる」を使えると便利です。

一方で「統べる」はやや固い表現になり、ひいては大袈裟である、誇大表現であると取られることもあります。注意すべきというほどではありませんが、使いどころは意識した方が、より相手に真意を伝えやすくなるでしょう。

「統べる」について注意するポイント

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「統べる」は基本的には難しくない言葉であり、慣れると難なく使いこなせるようになりますが、注意すべき点がまったくないというわけではありません。意識していなければすぐ間違うと言えるほどの紛らわしいポイントはありませんが、ふとした時に迷わないように頭に使用上の注意点を入れておきましょう。

「統べる」には漢字がまだある?

「統べる」という言葉は基本的に統一の「統」の字で表記しますが、まれに「総べる」と表記されることもあります。意味も読み方もまったく同じであり、「すべる」と読んで取りまとめるという意味を持つ言葉。ただ漢字だけが異なっている状態です。

「総べる」と表記されて「すべる」とはなかなか読めず、こちらもやや難読と言えます。また、「総合」の「総」の字が当てられており、「統」の字よりもさらに少し「取りまとめる」というニュアンスを受け取りづらくなっているのです。一方で「総」の字には元々ひとつに取りまとめるという意味があるため、その点を知っていると意味の推測も容易となります。

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「滑る」との区別に注意

「滑る」は「統べる」と非常によく混同されます。正確に言うと、「滑る」という表現に対し「統べる」の間違いかと誤解するケースは少ないですが、「統べる」と表現したのを「滑る」だと思い込むケースは多いです。

もちろん「滑る」と「統べる」は意味がまったく違うため、混同すると文章の意味が一気に繋がらなくなり、混乱の元になります。しかし「統べる」の知名度の低さに対し「滑る」は小学生でも知っている言葉であるため、つい知っている言葉に引きずられてしまうということはあり得るのです。

必ずしもリーダーを指すわけではない

「統べる」は必ずしもリーダーを指している言葉ではありません。たとえば一国の王に対し、「国を統べる」という言い方をすると、王が国を支配しているということです。国の支配とはすなわち国の方向を導くということであるため、その国のリーダーと取れます。これはリーダーに対し「統べる」を適用した例です。

一方で、社内にあるいくつかのシステムに対し、それらのデータを集約しているマザーデータベースがある場合、そのマザーデータベースに対して「システムを統べる存在」と表現することもできます。しかし、マザーデータベースは各種システムを集約しているだけであり、動きを導いたり指示を伝えたりということはありません。これがリーダーでない「統べる」の例です。

「統べる」の類義語は?

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「統べる」の類義語は、「統治する/治める/支配する/取りまとめる/ひとつにする」などです。大勢をまとめたり支配したり、リーダーになって導いたりという意味がある言葉であれば、類義語として使用できるでしょう。なお、「総べる」は異なる点が漢字だけであり、「統べる」とあまりにも同様の点が多すぎるため、言い換えたいときにはあまり役に立たないかもしれません。

状況によっては、「リーダーになる/中心になる」などの言葉も類義語として使えます。「統べる」は「統べる」そのものの示す範囲が広いため、類義語も多く言い換えに苦労することは無いでしょう。

「統べる」のニュアンスはさまざま

「統べる」が指し示す範囲は広いため、ニュアンスも人によってさまざまです。同じ「統べる」でも、ある人は「取りまとめる」と受け取り、またある人は「支配する」と受け取るということもあり得ます。そして並べると明らかなとおり、「取りまとめる」と「支配する」は意味が異なる言葉です。

一方で、具体的なニュアンスをあえてぼかせることも「統べる」の長所といえます。つまるところ「統べる」とは元々抽象性を含んでおり、具体的にどういった行為・立場を示すのかはある程度その場の状況に合わせて変化するわけです。どんな場合でも当てはめることができる所が、「統べる」の便利なポイントとも言えるでしょう。

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幅広い場面で簡単に使える!「統べる」の意味や使い方・類義語などを言葉大好きライターがわかりやすく解説!

この記事では「統べる」について解説する。「統べる」は意味は簡単であるものの、やや言い方としては固めで、フォーマル寄りの表現と言えるぞ。そのためイメージで難しそうと思われがちですが、学習するとそこまで難しくもないことに気づくでしょうから、安心してほしい。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「統べる」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「統べる」ってどういう意味?

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「統べる」の意味は以下のとおりです。

1 全体をまとめて支配する。統轄する。
2 多くの物を一つにまとめる。

出典:Weblio辞書「統べる 意味」

「統べる」には統治する、まとめるという意味があります。「統べる」の「統」という漢字は「統一/統治」などの「統」であるため、比較的連想しやすいでしょう。

一方で「統治」にはそこを納めるという意味があり、「統一」には一つに取りまとめるという意味があります。しかし「統べる」は両方に当てはめることができる言葉であり、ニュアンスの幅が広いため使い勝手が良い言葉です。やや言い回しとして固いという側面もあるため、柔らかい言い方が優先される時は避け、フォーマルな場などで使うと文章が引き締まります。

「統べる」って何て読むの?

「統べる」の読み方は「すべる」です。「統」の文字だけで「す」と読みます。通常は「統」を「す」とは読まないため、読み方を知らない人の多くは「とうべる/とべる」などと読んでしまいますが、これは明確な誤読です。

また、大きな注意のひとつとして、人の話の中に「統べる」が出てきてしまった場合、「すべる」という音だけが耳に入ってきます。しかし「統べる」をあらかじめ知らなければ、「滑る」という意味かと勘違いしてしまい、文章として意味が通らない話になってしまうでしょう。

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