「寄進する」
「寄進する」は、金品を神社・お寺に納めることです。古代・中世の時代において「奉る」は高貴な人すべてを対象に使いましたが、「寄進する」は国や公共機関を対象には使いません。神社やお寺に寄付をするときに使う言葉です。
金銭の寄付には「寄進する」を使うと間違いがないでしょう。金額の大きさに関係なく「〇円寄進する」と使えます。上の「献納する」の場合は「献納」だけで金銭をあらわすことはありませんが、「寄進」の場合は「寄進によって建立された社殿」のようにあらわすことが可能です。
「賜る(たまわる)」
「賜る(たまわる)」は「もらう」の謙譲語。目上の人からいただくという意味です。「差し上げる」と「いただく」ですから対義語になります。
元のかなづかいは「たまはる」。「奉る」は古文の世界では謙譲語としても尊敬語としても使うのですが、なんと「たまはる」も同じです。「奉る」は謙譲語としては「差し上げる」、尊敬語としては「召し上がる」「お召しになる(着る)」「お乗りになる」。「たまはる」は謙譲語としては「いただく」、尊敬語としては「お与えになる」。
高貴な人に差し上げたものは、その人が召し上がり、お召しになり、お乗りになるでしょう。こちらがいただいたものというのは、高貴な人がお与えになったものですよね。最終的には同じ動作を指していると考えると、尊敬語・謙譲語関係なく一つの言葉になっているのも納得がいくでしょうか。
「奉る」を使いこなそう
この記事では「奉る」の意味・使い方・類語などを説明しました。
「奉る」は「差し上げる」という意味の言葉です。「~申し上げる」という補助動詞としての使い方は、現代も歌舞伎などで使われています。「奉る」をあえて使い、相手をからかったりヨイショして持ち上げたりする用法も紹介しました。
現代語として移り変わっていく際に、このようにイヤミな意味が加わってしまうとは驚きです。「皮肉」とは知的な言葉遊びの面もあるので、ある意味日本人の感性が成長してきた証なのかもしれませんね。