「奉る」の使い方・例文
「奉る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.この歴史ある神社の保存のため、わが社では父の代から寄付金を奉ってまいりました。
2.歌舞伎の口上の最後に言う「隅から隅までずずずいとこいねがい上げ奉りまする」というのを聞くと、迫力でいつも鳥肌が立っちゃうんだよね。
3.試験も近いというのに英単語ひとつ覚えない我が子には、ゲームソフトを没収し、代わりに英語の辞典を奉るとしましょう。
4.この出版社のやつらは、俺のことを現代の芥川竜之介なんていって一時は神作家に奉りやがって、人気が落ちたらこのとおり、とたんに手のひら返しよ。
例文1では、「差し上げる」「献上する」という意味で「奉る」を使っています。「奉る」は古い言葉ですが、かしこまった場面や神仏に関係する場面では、現代でも「奉る」と使うことがあるでしょう。
例文2で使っているのは、「~申し上げる」という意味の補助動詞の「奉る」です。「こいねがう」は強く願うという意味で、「強くお願い申し上げます」となります。
例文3は「さずける」を「奉る」と言い換えることで、イヤミを言っているのですね。この例文の場合は、親を怒らせてしまった子どもが悪いかもしれませんが。
例文4は「祭り上げる」という意味での使い方です。尊敬されていたわけではなくいっときヨイショされただけと、本人も分かっている様子をあらわしています。
「献納する」
「献納する」とは、金品を国や神社・お寺に納めることです。「奉る」をまさに現代語に直した言葉といえるでしょう。「馬一頭を献納する」「榊の枝を献納する」などと使います。
神社では「お神楽(おかぐら)」のように、舞や歌、和琴や笛などの演奏を納める場合もありますね。その場合は「献納する」ではなく「奉納する」と使います。
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