この記事では「意に介する」について解説する。

端的に言えば意に介するの意味は「気にする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は難関私大の文学部を卒業し、表現技法にも造詣が深い十木陽来を呼んです。一緒に「意に介する」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/十木陽来

難関私大の文学部卒ライター。現代文芸の表現技法を学びながら趣味で小説を書いたりもしてきた。その知識を使って様々な言葉の意味をわかりやすく丁寧に解説する記事を書いている。

「意に介する」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「意に介する」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「意に介する」の意味は?

「意に介する」という慣用句には、次のような意味があります。

気にかける。気にする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「意に介する」

辞書だけを見てみると「気にかける」「気にする」としか書かれておらず、これだけを見ると非常に単純な言葉であるようにみえます。しかし「意に介する」は辞書だけでは図ることのできない非常に奥の深い言葉なのです。

まずこの言葉は「意に介さない」「意に介することなく」など否定形で用いられることがほとんどとなります。この形で「(相手のことを)気にかけない」「(批判を)気にしない」など、ネガティブなニュアンスで用いられることが多いでしょう。

また「意に介する」ものは自らの内面よりも、外部からの影響や印象によるものが対象となりやすいです。相手からの言葉や視線、そして相手からどう思われるかを気にする際に「意に介する」という表現が使われやすいからですね。

「意に介する」の語源は?

次に「意に介する」の語源を確認しておきましょう。まず「意」には「意識」「意向」などと言った熟語からもわかるとおり、「」「考え」「気持ち」といった意味があります。一方、動詞の「介する」には「間に置く」「挟む」といった意味です。つまりそのままの意味で考えた場合「心の間に置かれる」となりますが、そういったものに対しては何かしら気になってしまいますよね。このことから「気にかける」だったり「気にする」といった意味になっていったものと思われます。

\次のページで「「意に介する」の使い方・例文」を解説!/

「意に介する」の使い方・例文

「意に介する」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.彼は上司から仕事上の注意をされても、少しも意に介していないようだった。
2.彼女は周囲の出来事を意に介さず、教室で勉強に打ち込んでいる。

例文1は上司からの叱責をまったく気にかけていない様子が表現されています。「意に介する」他人からの発言を聞こえないふりをしたり無視したりなどといった態度を表し、それに対してネガティブであったり批判的であったりする気持ちが込められていることが多いです。

例文2は周りで起きている事柄をまったく気にしていないという意味で用いられています。勉強に集中することはいいことであることからもわかるとおり、「意に介する」をポジティブなニュアンスで使うことも可能です。

「意に介する」の類義語は?違いは?

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「意に介する」の意味はもともと単純なものであるため、いくつか類義語が存在します。

その1「心を配る」

「心を配る」には「気を付ける」「気を配る」といった意味があります。「意に介する」は否定形の形でネガティブなニュアンスで用いられることが多いのに対し、こちらは逆に相手を褒めるなどポジティブな場面で使われることが多いです。

\次のページで「その2「アンテナを張り巡らす」」を解説!/

その2「アンテナを張り巡らす」

「アンテナを張り巡らす」には「必要な情報を素早く手に入れる環境を作ること」の他に「物事の動向を常に確認し見守ること」といった意味があります。「意に介する」には「心にかける」だとか「気を揉む」といった意味もあるので、少々大げさにはなりますがある意味周りを「気にする」という意味では似ていると言えるでしょう。

「意に介する」の対義語は?

「意に介する」は否定形で用いられることが多いので、その対義語は言い換えれば「意に介さない」の類義語であるとも言えるでしょう。今回はそういった言葉の中からいくつかご紹介します。

その1「しれっと」

「しれっと」には「~する」なとどいった表現で「平然としている」だったり「素知らぬふりをしている」といった意味があります。ややネガティブなニュアンスもあり、そういった点から見ても「意に介さない」といった表現と通じるところがあるでしょう。

ちなみに現在では広く使われる「しれっと」ですが、もともと九州地方の方言です。またあまり使われることはありませんが、あえて漢字で書くならば「痴れっと」や「白れっと」というふうな表記になります。

その2「事も無げに」

「事も無げに」には「なにも特別なことではないかのように平然と」といった意味があります。「意に介さない」と意味が近いように見えますが、こちらは「軽々と」といった意味も含まれていることからも分かるとおり、(行動を)やり遂げることに対して用いられることが多いです。なのでただ単純に「気にしない」という意味で用いられることは少ないでしょう。

「意に介する」の英訳は?

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「意に介する」といった意味を表す英単語はいくつかあります。

その1「care」

「care」を動詞で用いた場合、「気にかける」「心配する」といった自動詞になります。また自動詞で用いる場合は「意に介する」と同様、通例は否定・疑問・条件文で用いられることが多いです。

\次のページで「その2「mind」」を解説!/

その2「mind」

「mind」を動詞で用いた場合、「気にかける」「注意する」といった他動詞になります。他動詞のため、「意に介する」の意味で用いるためには受動態にする必要がありますね。前者の意味では通例否定・疑問文で、後者の意味では通例命令法で用いられることが多いです。

その3「worry」

「worry」を自動詞で用いた場合、「心配する」といった意味となります。「意に介する」と似ている部分もありますが、「worry」は他動詞で「心配させる」といった使われ方をすることもありますね。

「意に介する」を使いこなそう

この記事では「意に介する」の意味・使い方・類語などを説明しました。否定形で使われることがほとんどなこの言葉ですが、皆さまは正しく使うことができていたでしょうか。別に間違っていても「意に介さない」なんて言ってはいけませんよ。語彙力や表現力を深めることは日常生活においても大切なことですから。

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【慣用句】「意に介する」の意味や使い方は?例文や類語を文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「意に介する」について解説する。

端的に言えば意に介するの意味は「気にする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は難関私大の文学部を卒業し、表現技法にも造詣が深い十木陽来を呼んです。一緒に「意に介する」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/十木陽来

難関私大の文学部卒ライター。現代文芸の表現技法を学びながら趣味で小説を書いたりもしてきた。その知識を使って様々な言葉の意味をわかりやすく丁寧に解説する記事を書いている。

「意に介する」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「意に介する」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「意に介する」の意味は?

「意に介する」という慣用句には、次のような意味があります。

気にかける。気にする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「意に介する」

辞書だけを見てみると「気にかける」「気にする」としか書かれておらず、これだけを見ると非常に単純な言葉であるようにみえます。しかし「意に介する」は辞書だけでは図ることのできない非常に奥の深い言葉なのです。

まずこの言葉は「意に介さない」「意に介することなく」など否定形で用いられることがほとんどとなります。この形で「(相手のことを)気にかけない」「(批判を)気にしない」など、ネガティブなニュアンスで用いられることが多いでしょう。

また「意に介する」ものは自らの内面よりも、外部からの影響や印象によるものが対象となりやすいです。相手からの言葉や視線、そして相手からどう思われるかを気にする際に「意に介する」という表現が使われやすいからですね。

「意に介する」の語源は?

次に「意に介する」の語源を確認しておきましょう。まず「意」には「意識」「意向」などと言った熟語からもわかるとおり、「」「考え」「気持ち」といった意味があります。一方、動詞の「介する」には「間に置く」「挟む」といった意味です。つまりそのままの意味で考えた場合「心の間に置かれる」となりますが、そういったものに対しては何かしら気になってしまいますよね。このことから「気にかける」だったり「気にする」といった意味になっていったものと思われます。

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