この記事では「腰が砕ける」について解説する。

端的に言えば腰が砕けるの意味は「腰の力が抜ける」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は難関私大の文学部を卒業し、表現技法にも造詣が深い十木陽来を呼んです。一緒に「腰が砕ける」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/十木陽来

難関私大の文学部卒ライター。現代文芸の表現技法を学びながら趣味で小説を書いたりもしてきた。その知識を使って様々な言葉の意味をわかりやすく丁寧に解説する記事を書いている。

「腰が砕ける」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「腰が砕ける」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「腰が砕ける」の意味は?

「腰が砕ける」はひらがなで書くと「こしがくだける」となります。以下が辞書に書かれている意味の一覧です。

1.腰の力が抜けて姿勢が崩れる。
2.事を成そうとする意気込みが途中で弱まり、あとが続かなくなる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「腰が砕ける」

「腰が砕ける」という慣用句は言葉の並びから意味が想像しやすいでしょう。辞書の意味1はまさに「腰の力が抜ける」様子を「砕ける」という比喩で表現されています。実際に腰が小さくばらばらになってしまうわけではありませんが、腰から崩れ落ちる様子が「砕ける」ように見えることから、こう言われるようになったのでしょう。

また、派生した意味として「意気込みが弱まる」というものもあります。何かを成そうとして一旦は立ち上がったものの、気勢を失って座り込んでしまう様子をもって「腰が砕ける」の表現が使われるようになったのでしょう。意気込みが弱まる原因としては、単に自らのやる気をなくした精神的なものから、外部要因がもたらした影響によるものまで様々です。

「腰が砕ける」の語源は?

「腰が砕ける」の具体的な語源ははっきりしていませんが、本来「腰」とは「下半身全体を支えるもの」という考え方があります。立っているために必要不可欠である「腰」が「砕ける」、つまり役に立たなくなってしまうと、当然立つことが不可能になってしまいますね。このことから「腰が砕ける」という慣用句で「腰の力が抜けて姿勢が崩れる」という意味になったものと思われます。

\次のページで「「腰が砕ける」の使い方・例文」を解説!/

「腰が砕ける」の使い方・例文

「腰が砕ける」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.ライフスタイルを改善しようと、無理に運動していたら腰が砕けた。
2.人気のエピソードを収録した単行本を企画したが、編集に一度も意見を聞き入れてもらえず腰が砕けた。

例文1はその様子がありありと目に浮かぶでしょう。まさか本当に腰が砕けてしまったわけではないでしょうが、下半身に何らかの異常をきたし、腰の力が抜けて立つことができなくなってしまいました。このように身体的な影響によって姿勢が崩れてしまった際に、この言葉が使われることが多いです。

例文2は「意気込みが途中で弱まる」という意味で使われています。やる気や気力がなくなって気持ちが折れてしまい、やりたかったことややろうとしていたことが後に続かなくなってしまいました。こちらは意味1とは違って精神的な影響によるものが多いです。ただ単に自ら面倒になってしまった場合にも、外部からの阻害によって遂行が不可能になった場合にも使用することができます。

「腰が砕ける」の類義語は?違いは?

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「腰が砕ける」と全く同じ意味を持つ言葉はありませんが、似たような意味を持つ言葉はいくつかあります。

その1「腰が抜ける」

「腰が抜ける」には「腰に力がなくなって立てなくなる」という意味があり、「腰が砕ける」が持つ「腰の力が抜けて姿勢が崩れる」と意味が似ていることがわかるでしょう。しかし「腰が抜ける」の方は「驚きや恐怖で立てなくなる」というニュアンスで用いられています。「腰が砕けて」立てなくなる時は身体的な原因が中心であるのに対し、「腰が抜けて」立てなくなる時は精神的な原因が中心であることが多いです。

\次のページで「その2「戦意喪失」」を解説!/

その2「戦意喪失」

「戦意喪失」には「物事に立ち向かう意思が挫ける」という意味があります。主に戦ったり立ち向かったりする場面で多く使われますが、単に意気込みを失ってしまった場合にも使用することが可能です。この点を見れば「腰が砕ける」と意味が似ていることがわかるでしょう。ただし、「戦意喪失」自体は「腰」に関連する言葉ではなく、「立てない」という意味合いは薄いので注意が必要です。

「腰が砕ける」の対義語は?

「腰が砕ける」には類義語と同様、全く逆の意味を持つ対義語というものはありません。ただし反対のような意味を持つ言葉については挙げることができます。

「高揚」

高揚する」という言い方で「精神や気分などが高まる」という意味になります。やる気が高まる際にもこの言葉を用いることができ、その点では意欲を失ってしまう「腰が砕けた」状態とは真逆であることがわかるでしょう。なお、こちらも「腰」とは関係のない言葉であるため、立てる立てないに関する意味合いからはやや遠いです。

「腰が砕ける」の英訳は?

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「腰が砕ける」と全く同じ意味を持つ英文や英単語はありませんが、似たような意味を持つ英語を挙げることはできます。

その1「lose one's nerve」

「lose one's nerve」は「腰砕けになる」を訳すことが可能です。ただしこちらは恐怖によってやる気をそがれてしまうという意味合いが強いので、「臆病風に吹かれる」「怖気づく」と訳されることが多いでしょう。ちなみに「hold one's nerve」とすることで真逆の意味にすることができます。

その2「give up」

「give up」は皆さんもよくご存じの通り「あきらめる」という意味があります。このことを踏まえると「腰が砕ける」の「意気込みが途中で弱まり、あとが続かなくなる」には「あきらめる」と似たニュアンスがあるので、日本語で言い換えが可能な場合には「give up」と英訳しても間違いにはならないでしょう。

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「腰が砕ける」を使いこなそう

この記事では「腰が砕ける」の意味・使い方・類語などを説明しました。皆さんは最後まで「腰が砕け」ずに記事を読んでいただけたでしょうか。まさか本当に腰が粉々になった人はいないでしょうが、慣用句にはこのように物事をオーバーに表現しているものも多いです。慣用句やことわざ、故事成語をもっと知りたいと興味を持った方はStudy-Zでサイト内検索をしてみてください。日本語の意味を紹介しているおすすめ記事やコンテンツは、他にも沢山あります。無料で閲覧できるので、皆さんも色んなページを見て様々な情報を仕入れていってくださいね。

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【慣用句】「腰が砕ける」の意味や使い方は?例文や類語を文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「腰が砕ける」について解説する。

端的に言えば腰が砕けるの意味は「腰の力が抜ける」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は難関私大の文学部を卒業し、表現技法にも造詣が深い十木陽来を呼んです。一緒に「腰が砕ける」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/十木陽来

難関私大の文学部卒ライター。現代文芸の表現技法を学びながら趣味で小説を書いたりもしてきた。その知識を使って様々な言葉の意味をわかりやすく丁寧に解説する記事を書いている。

「腰が砕ける」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「腰が砕ける」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「腰が砕ける」の意味は?

「腰が砕ける」はひらがなで書くと「こしがくだける」となります。以下が辞書に書かれている意味の一覧です。

1.腰の力が抜けて姿勢が崩れる。
2.事を成そうとする意気込みが途中で弱まり、あとが続かなくなる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「腰が砕ける」

「腰が砕ける」という慣用句は言葉の並びから意味が想像しやすいでしょう。辞書の意味1はまさに「腰の力が抜ける」様子を「砕ける」という比喩で表現されています。実際に腰が小さくばらばらになってしまうわけではありませんが、腰から崩れ落ちる様子が「砕ける」ように見えることから、こう言われるようになったのでしょう。

また、派生した意味として「意気込みが弱まる」というものもあります。何かを成そうとして一旦は立ち上がったものの、気勢を失って座り込んでしまう様子をもって「腰が砕ける」の表現が使われるようになったのでしょう。意気込みが弱まる原因としては、単に自らのやる気をなくした精神的なものから、外部要因がもたらした影響によるものまで様々です。

「腰が砕ける」の語源は?

「腰が砕ける」の具体的な語源ははっきりしていませんが、本来「腰」とは「下半身全体を支えるもの」という考え方があります。立っているために必要不可欠である「腰」が「砕ける」、つまり役に立たなくなってしまうと、当然立つことが不可能になってしまいますね。このことから「腰が砕ける」という慣用句で「腰の力が抜けて姿勢が崩れる」という意味になったものと思われます。

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