この記事では「金切り声」について解説する。

端的に言えば金切り声の意味は「高く鋭い声」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元予備校校舎長で国語の指導歴が長い教育系ライターのみゆなを呼んです。一緒に「金切り声」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/みゆな

元大手予備校校舎長、現在は教育系のライター。国語、特に現代文の指導経験が豊富。難解な言葉や表現を中高生がスラスラ理解できるように解説するのが大得意。

「金切り声」の意味や語源・使い方まとめ

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「金切り声」と聞いてイメージするのはどんな声ですか?音の高さや大きさは?気持ちわるく、耳をふさぎたくなる声のイメージでしょうか?「金切り声」という表現は日常会話にも登場する言葉ですが、どんな場合に使うのか、また実際の用法も正しく理解しておきましょう。表現の幅が広がりますよ。

それでは早速「金切り声」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「金切り声」の意味は?

「金切り声」には、次のような意味があります。

金属を切るときに出る音のように、高く張り上げた鋭い声。細くて甲高い声。ふつう女性の声にいう。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「金切り声」

金切り声」の「金」は金属のことです。金属を切ると、キーキー、ギーギーといった高く鋭くて耳に響く音がしますね。高く張り上げた「キーン」と表現したくなるような鋭い声を、金属を切る音に喩えて表現したのが「金切り声」です。心地よい音ではなく、耳障りな音というニュアンスを含みます。

一般的に女性や子どもの声の方が高いですよね。そのため「金切り声」は基本的に女性や子どもの声について使われます。

「金切り声」の語源は?

金切り声」は文字通り、高く鋭い声を「金属を切る音」に喩えたのが始まりです。

文学作品にもよく登場します。芥川龍之介(1892年~1927年)や永井荷風(1879年~1959年)、海野十三(1897年~1949年)、柳田国男(1875年~1962年)といった近代作家の作品に使われていることから、明治時代に一般的になった表現だと考えられている言葉です。

たとえば芥川龍之介の『毛利先生』という作品には、「先生の見すぼらしい服装と金切声をあげて饒舌っている顔つきとが、いかにも生活難それ自身の如く思われて、幾分の同情を起させたからであろう。」と「金切り声」が使われています。

\次のページで「「金切り声」の使い方・例文」を解説!/

「金切り声」の使い方・例文

「金切り声」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.その女性は金切り声をあげ、ヒステリックに何か叫んでいた。
2.今日はかなり頭痛がひどい。子どもの金切り声がとても響く。
3.耳をつんざくような金切り声が聞こえた。事件だろうか。

金切り声は「高く鋭い、耳に障る声」という意味ですね。ポジティブな文脈で使われることはほとんどありません。不快な声として非難したり、ネガティブな印象を伝える際に使われるという点を大事に押さえましょう。

例文1は女性が大きな高い声でわめきちらしている、という意味ですね。例文2は子ども特有の甲高い声を言い表しています。「金切り声」は主に女性や子どもの声に対し使われるということがわかりますね。

よって例文3には主語はありませんが、おそらく女性が叫んでいたであろうと想像できます。

「金切り声」の類義語は?違いは?

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「金切り声」の類義語は実に多くの表現がありますが、代表的なものを4つご紹介します。

その1「悲鳴」

悲鳴(ひめい)」はお馴染みの表現ですね。「悲しんでなく声、苦痛・恐怖などのために声をあげること。また、その声」という意味です。「金切り声」との違いは、「悲鳴」は老若男女問わず使用可能な点ですね。

\次のページで「その2「絶叫」」を解説!/

その2「絶叫」

絶叫(ぜっきょう)」は「出せるかぎりの声を出して叫ぶこと。また、その叫び」という意味です。「金切り声」のように甲高く鋭い声だけを指すのではなく、恐怖などによって出る大きな声全てを含みます。

その3「叫換」

叫喚(きょうかん)」も「金切り声」の類義語です。「大声でわめきさけぶこと」という意味になります。「阿鼻叫喚(あびきょうかん)」という四字熟語は見たことがありますか?地獄のひとつで、殺生や盗み、淫らなことなどをした亡者が落ちるところだそうです。熱湯や猛火の中で苦しめられる、この地獄で聞こえる叫び声を「叫喚」と言います。

その4「奇声」

奇声(きせい)」は「普通ではない変な声。とんきょうな声」という意味です。特に高く鋭い声だけを指すのではなく、奇妙な印象を与える声、わけがわからない声全般を含みます。子どもから大人まで、誰に対しても使える表現です。

「金切り声」の対義語は?

「金切り声」は「甲高く鋭い声」ですね。では対義語はどのような言葉で表現できるのでしょうか?

「銅鑼声(どらごえ)」

「金切り声」の対義語は「銅鑼声(どらごえ)」と表現します。「だみ声」とも言いますが、「にごって下品な声」という意味です。「銅鑼」とは青銅、真鍮、鉄などでできた円盤型の楽器のこと。ばちで叩くと「ドーーン」と低い音が響くのを見たことがあるかもしれませんね。この「銅鑼」のように、低くにごった声のことを「銅鑼声」と表現し、「金切り声」の対義語になります。

「金切り声」の英訳は?

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高く鋭い声は世界共通のものですね。「金切り声」を英語で表現すると、どのようになるのでしょうか。

\次のページで「その1「scream」」を解説!/

その1「scream」

まず「scream」から見てみましょう。「scream」は「叫ぶ」という動作を表現する英単語です。恐怖や苦痛によって、大きく高い叫び声を上げる、というニュアンスを持っています。「金切り声」そのものの英訳というより、「金切り声を上げる」という動作を表した時に使ってみてください。

その2「a shrill voice」

2つ目は「a shrill voice」です。「a shrill voice」は 「黄色い声、金切り声、とがった声」と訳されます。英語の例文でも主に女性の声に使われていますから、まさに「金切り声」そのものですね。

その3「a piercing cry」

3つ目は「a piercing cry」です。これは「絹を裂くような声、金切り声、耳をつんざくような叫び声」と訳されます。「a shrill voice」より文学的な表現ですね。

「金切り声」を使いこなそう

この記事では「金切り声」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「金切り声」は耳をつんざくような、高く鋭い声という意味でしたね。「金切り声」が不快なのは、声の原因となっている恐怖や驚き、苛立ちをも聞き手に感じさせるからかもしれませんね。使う頻度があまり高くない方が良い言葉だとも言えます。自分が金切り声を出さないといけないような場面にも遭遇したくないものですね。

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国語言葉の意味

「金切り声」の意味や使い方は?例文や類語を元予備校校舎長がわかりやすく解説!

この記事では「金切り声」について解説する。

端的に言えば金切り声の意味は「高く鋭い声」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元予備校校舎長で国語の指導歴が長い教育系ライターのみゆなを呼んです。一緒に「金切り声」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/みゆな

元大手予備校校舎長、現在は教育系のライター。国語、特に現代文の指導経験が豊富。難解な言葉や表現を中高生がスラスラ理解できるように解説するのが大得意。

「金切り声」の意味や語源・使い方まとめ

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「金切り声」と聞いてイメージするのはどんな声ですか?音の高さや大きさは?気持ちわるく、耳をふさぎたくなる声のイメージでしょうか?「金切り声」という表現は日常会話にも登場する言葉ですが、どんな場合に使うのか、また実際の用法も正しく理解しておきましょう。表現の幅が広がりますよ。

それでは早速「金切り声」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「金切り声」の意味は?

「金切り声」には、次のような意味があります。

金属を切るときに出る音のように、高く張り上げた鋭い声。細くて甲高い声。ふつう女性の声にいう。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「金切り声」

金切り声」の「金」は金属のことです。金属を切ると、キーキー、ギーギーといった高く鋭くて耳に響く音がしますね。高く張り上げた「キーン」と表現したくなるような鋭い声を、金属を切る音に喩えて表現したのが「金切り声」です。心地よい音ではなく、耳障りな音というニュアンスを含みます。

一般的に女性や子どもの声の方が高いですよね。そのため「金切り声」は基本的に女性や子どもの声について使われます。

「金切り声」の語源は?

金切り声」は文字通り、高く鋭い声を「金属を切る音」に喩えたのが始まりです。

文学作品にもよく登場します。芥川龍之介(1892年~1927年)や永井荷風(1879年~1959年)、海野十三(1897年~1949年)、柳田国男(1875年~1962年)といった近代作家の作品に使われていることから、明治時代に一般的になった表現だと考えられている言葉です。

たとえば芥川龍之介の『毛利先生』という作品には、「先生の見すぼらしい服装と金切声をあげて饒舌っている顔つきとが、いかにも生活難それ自身の如く思われて、幾分の同情を起させたからであろう。」と「金切り声」が使われています。

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