受験生は受験勉強、就活生は就職活動、転職希望者は転職活動、学業や仕事、それぞれ頑張っていることでしょう。ただ、頑張りっぱなしではダメです。何事もどこかで「一息つく」必要がある。ん?「ハー」って息を吐いておしまい?いやいやいや。

ここでの「一息つく」というのは、「ちょっと休む」という意味の慣用句です。「ハー」って息を1回吐いて終わりではないからな。

今回は、この「一息つく」について、院卒日本語教師の"むかいひろき"に解説してもらうぞ。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学に再就職した、日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「一息つく」の意味や使い方は?

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「一息つく」という言葉、見聞きしたり、実際に使ったりしたことがある人が多いかもしれませんね。ただ、詳細な意味となるとあまり把握できていない人が多いのではないでしょうか。まずは、「一息つく」の意味や使い方を見ていきましょう。

「一息つく」の意味は「ちょっと休む」

最初に「一息つく」の辞書での意味を確認していきましょう。辞書では「一息」の意味の中で紹介されていることが多いです。よって「一息つく」に該当する「一息」の意味を確認してみましょう。

1.一度の息つぎ。一呼吸。また、ひとやすみ。「―いれる」「―つく」

出典:広辞苑 第7版(岩波書店)「ひと-いき【一息】」

「一息つく」は、辞書の意味の通り、「一度の息つぎ」という意味で使用されることもあります。こちらは「ハー」と一度呼吸をするような場合ですね。ただ、今回ご紹介するのはそちらではなく、「一休み」という意味での用法です。この場合、「一息つく」は「ちょっと休む」という意味になります。

「一息つく」の使い方を例文とともに確認!

次に、「一息つく」の使い方を例文とともに確認して行きましょう。「一息つく」は何かの活動の途中で「少し休もう」というニュアンスで使用されることが多いですね。また、この「少し」の時間の長さは、文脈によって異なる点も注意が必要です。

\次のページで「「一息つく」の類義語は?」を解説!/

1.ここまで沢山歩いたから、次の山小屋についたら一息つこう。お菓子でも食べようか。
2.新卒からずっと務めていた会社を定年退職した。休日以外は毎日働いていたから、まずは一息つきたい
3.富士山は江戸時代を最後に噴火していない。ただ、これまでも何回も噴火しているから、今は一息ついているだけかもしれない。

例文1では、「次の山小屋についたら少し休憩しよう」という文脈で「一息つく」が使用されています。ここでの「一息」の時間の長さは、10分~1時間程度でしょうか。

例文2では、「ずっと働いてばかりだったので、少しの期間休みたい」という文脈で「一息つく」が使用されています。ここでの「一息」の時間の長さは、1か月~数か月程度でしょうか。長い場合は1年程度になるかもしれません。ただ、これまで約40年働き続けてきた人にとっては、数か月~1年は短い時間だと言えるでしょう。

例文3では、「富士山は今はしばらくの間噴火を休んでいるだけかもしれない」という文脈で「一息つく」が使用されています。何千年以上前からもある富士山にとって、2~300年の噴火の休止期間は、短いと言えるでしょう

「一息つく」の類義語は?

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続いて、「一息つく」の類義語を確認していきましょう。「一息つく」の類義語は「一息入れる」「一休みする」「小休止を取る」「一服する」です。意味を確認し、「一息つく」と比較してみましょう。

「一息入れる」:ちょっと休む

「一息入れる」は「ちょっと休む」という意味の慣用句です。意味やニュアンスは「一息つく」と同じですが、使用対象に若干の違いがあります。「一息つく」は例文3のように「富士山」などの非生物にも使用可能ですが、「一息入れる」は人間や動物といった生物のみに用いられることが多いです。

「一休みする」:途中で少し休む

「一休みする」は「途中で少し休む」という意味の表現です。「一息つく」と意味やニュアンスの違いは特にありません。「一息つく」と言い換えが可能な表現です。「ひと休み」と表記されることも多いですね。

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「小休止をとる」:ちょっと休む

「小休止(しょうきゅうし)を取る」は「ちょっと休む」という意味の表現です。「小休止」はその漢字の通り「小さな休みを取って止まる」=「少しの休憩」という意味ですね。「一息つく」と意味やニュアンスの違いは特にありません

「一服する」:(お茶やたばこで)少し休む

「一服(いっぷく)する」は「お茶を飲んだり、タバコを吸ったりして少し休む」という意味の表現です。「お茶やコーヒーを飲む」「タバコを吸う」という休憩方法の条件があるところが「一息つく」との違いですね。また、「一息つく」とは異なり、休息の時間は長くても数時間以内という特徴があります。

「一息つく」の英語表現は?

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最後に、「一息つく」の英語表現を確認していきましょう。「一息つく」だから「一息」と「つく」という意味の英単語を組み合わせて…というわけではありません。「一息つく」の英語表現は「take a break」です。意味と例文を確認していきましょう。

「take a break」:休みを取る

「take a break」は「休みを取る」という意味の英語表現です。比較的短い時間の休憩を表す際に用いられる表現ですので、「一息つく」の翻訳としては、完全にピッタリではありませんが、適切と言えるでしょう。例文は以下の通りです。

1.Take a break at 12:00. Let's all go to that new Italian restaurant!
12時になったら一息つきましょう。みんなで新しくできたイタリアンレストランに行きましょうか!

2.When we get to that hill over there, let's take a break. Taking a break is important when climbing a mountain. Let's eat snacks and drink water at that hill.
あの丘についたら一息つこう。登山をするうえで休息は大切だ。あの丘でお菓子を食べて水分を取ろう。

\次のページで「集中できない時は「一息つこう」!」を解説!/

集中できない時は「一息つこう」!

今回は「一息つく」について解説しました。「一息つく」は「ちょっと休む」という意味の慣用句で、何かの活動の途中で「少し休もう」というニュアンスで使用されることが多いです。

勉強や仕事、どんなに一生懸命やっていても集中できない時はあると思います。そのような時は、思い切って「一息ついて」みましょう。その方がきっと、後で勉強や仕事がはかどりますよ。

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国語言葉の意味

ちょっとの間の休息を!「一息つく」の意味や類義語などを院卒日本語教師がわかりやすく解説

受験生は受験勉強、就活生は就職活動、転職希望者は転職活動、学業や仕事、それぞれ頑張っていることでしょう。ただ、頑張りっぱなしではダメです。何事もどこかで「一息つく」必要がある。ん?「ハー」って息を吐いておしまい?いやいやいや。

ここでの「一息つく」というのは、「ちょっと休む」という意味の慣用句です。「ハー」って息を1回吐いて終わりではないからな。

今回は、この「一息つく」について、院卒日本語教師の”むかいひろき”に解説してもらうぞ。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学に再就職した、日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「一息つく」の意味や使い方は?

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「一息つく」という言葉、見聞きしたり、実際に使ったりしたことがある人が多いかもしれませんね。ただ、詳細な意味となるとあまり把握できていない人が多いのではないでしょうか。まずは、「一息つく」の意味や使い方を見ていきましょう。

「一息つく」の意味は「ちょっと休む」

最初に「一息つく」の辞書での意味を確認していきましょう。辞書では「一息」の意味の中で紹介されていることが多いです。よって「一息つく」に該当する「一息」の意味を確認してみましょう。

1.一度の息つぎ。一呼吸。また、ひとやすみ。「―いれる」「―つく」

出典:広辞苑 第7版(岩波書店)「ひと-いき【一息】」

「一息つく」は、辞書の意味の通り、「一度の息つぎ」という意味で使用されることもあります。こちらは「ハー」と一度呼吸をするような場合ですね。ただ、今回ご紹介するのはそちらではなく、「一休み」という意味での用法です。この場合、「一息つく」は「ちょっと休む」という意味になります。

「一息つく」の使い方を例文とともに確認!

次に、「一息つく」の使い方を例文とともに確認して行きましょう。「一息つく」は何かの活動の途中で「少し休もう」というニュアンスで使用されることが多いですね。また、この「少し」の時間の長さは、文脈によって異なる点も注意が必要です。

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