この記事では「大仰」について解説する。

端的に言えば大仰の意味は「大げさなこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語が好きで日本文学科を卒業したハルを呼んです。一緒に「大仰」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル

日本語が大好きで日本文学科を卒業。現在は子供が言葉を覚えていく様子を見ながら日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。

「大仰」の意味や語源・使い方まとめ

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「大仰」という言葉、正しく読むことができるでしょうか。日常生活の中ではなかなか口にしない言葉かもしれませんね。しかし、意味や使い方がわかれば普通に使うことのできる言葉なのですよ。それでは早速「大仰」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「大仰」の意味は?

まず初めに、辞書で「大仰」の意味を確認してみましょう。「大仰」には、次のような意味があります。

1.大げさなこと。また、そのさま。誇大。
2.(大形)規模や計画の大きいこと。また、そのさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「大仰」

「大仰」は「おおぎょう」と読みます。「たいぎょう」と読みたくなってしまうかもしれませんが、それは誤りです。「おうぎょう」でもありません。漢字表記のゆれにより「大形」と書く場合もあります。これを「おおがた」と読むと、「大型」と同様「形や規模が大きいこと」を表す言葉となってしまうのです。紛らわしいですね。「大げさなこと」を意味する「大仰」はこのように書いて「おおぎょう」と読むと覚えておくのがよさそうです。

「大仰」は、物事の見かけが実際より大きいさまや、実際より大変なように言ったりしたりすることを意味します。「大仰な言い方」「大仰に嘆く」などというように使うことができますよ。

 

「大仰」の語源は?

次に「大仰」の語源を確認しておきましょう。

仰仰しい」という言葉をご存知でしょうか。「大仰」と同様に「大げさであること」を意味する言葉です。同じ字が使われていますね。この言葉は、もともと「稀有稀有し(けうけうし)」と書いて「極めてまれなこと」という意味の言葉だったようです。古文における「けうけうし」は「きょうきょうし」と発音されます。これが後に「仰」の字があてられ、「ぎょうぎょうしい」という読みへ変化したという説があるのです。

」という漢字は、横から見た人の象形と、ひざまずく人が立つ人を仰ぎ見る象形から成り立っており、「あおぐ(頭を上げて見る)」「見上げる」を意味する文字となりました。そこから「高い、大きい、多い、盛ん」といった意味も持つようになったのです。「敬う」という意味の「あおぐ」、「命令」の尊敬語である「おおせ」、「言う」の尊敬語である「おっしゃる」の意味も持っているのですよ。

「大仰」は、「大きい」と「仰」の字を組み合わせて、とても大げさであることを表す言葉となったのです。

\次のページで「「大仰」の使い方・例文」を解説!/

「大仰」の使い方・例文

「大仰」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.あなたの文章は少し大仰ですね。
2.彼は大仰な表現で人気を博した。
3.そのレポートは、本来よりも大仰な内容となっている。

例文を見てわかるように、「大仰」は「大げさ」や「オーバー」と言い換えて使うことのできる言葉です。その対象となるのは、人の動作や表現だけでなく物事などあらゆるものに使うことができます。「大げさ」や「オーバー」というよりも「大仰」とした方が、漢字のインパクトからも、さらに仰々しい印象を与えることができるのではないでしょうか。

「大仰」の類義語は?違いは?

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「大仰」の類義語には、例文などで登場したように「大げさ」「オーバー」「仰々しい」といった言葉があります。他にも見ていきましょう。

その1「誇大」

誇大(こだい)」は、「実際以上に大げさに言ったり考えたりすること」を表す言葉です。「誇大広告」「誇大妄想」などと使いますね。「大仰」と同じように使うことができますよ。「誇大」は自分を誇ること、自慢すること、過信することの意味も持っています。そこは、「大仰」とは違うところです。

\次のページで「その2「大層」」を解説!/

その2「大層」

大層(たいそう)」は、「程度や分量がはなはだしいさま」を表す言葉ですが、「おおげさなさま」も表します。「大層」は「大変」と同じように使うことができますが、「大層」の方がやや改まった場面で使われることが多いでしょう。「大層」に「御」をつけて「御大層(ごたいそう)」とすると、「おおげさなわりに中身がない」という意味で使われることになります。「御大層なあいさつにあきれた」などと言うことがありますね。

その3「喋々しい」

喋々しい(ちょうちょうしい)」は、あまり耳になじみのない言葉かもしれません。「 口数が多い、いいかげんで調子がいい」ことを表す言葉ですが、「おおげさである」という意味も持っています。「蝶々しくもてなされた」などと使うことがあるのですよ。

「大仰」の対義語は?

「大仰」と反対の意味を持つ言葉を見ていきましょう。

その1「ささやか」

ささやか」は「細やか」と書きます。これを「こまやか」と読むと少し意味が変わってきてしまいますので気をつけましょう。「ささやか」は、「形や規模があまり大げさでなく、控えめなさま」を表す言葉です。形ばかりで粗末なさまやわずかなさまも表し、多くは謙遜して用いられます。「ささやかな商売を営んでいる」などと使いますね。

その2「控え目」

控え目(ひかえめ)」は、「言動を遠慮がちにすること」「量や程度を少なめにすること」を意味する言葉です。「控え目な態度」「塩分を控え目にする」などと使いますね。

「大仰」の英訳は?

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「大仰」を英語に訳すとどのように表現できるか見ていきましょう。

\次のページで「その1「exaggeration」」を解説!/

その1「exaggeration」

exaggeration」は、「誇張、過大視」といった意味を持つ言葉です。「大げさな」という意味で使われますので、「大仰」を表すこともできます。

その2「overstate」

overstate」は、「大げさに話す、誇張する」を意味する言葉です。「言い過ぎる」ことを表す場合にも使われますよ。

その3「big~」「over~」

前に挙げた二つの単語は、普段あまりなじみのない言葉かもしれません。こうした単語を使わずに、「big~」「over~」とすることでも、「大仰」を表現することもできますよ。

He has a proclivity for exaggeration.(彼には大仰に言う癖がある。)

She overstates her case.(彼女は自分の主張を大仰に言い過ぎる。)

He always talks like there is big news.(彼はいつも大仰に話す。)

She overreacted to my answer.(彼女は、私の答えに大仰に反応した。)

「大仰」を使いこなそう

この記事では「大仰」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「大仰」は、「大げさなこと」を意味する言葉でしたね。「おおぎょう」と読んで「たいぎょう」とは読みませんので、気をつけましょう。かつて祖父が「大仰だな」とよく言っていたのを思い出します。やはり少し古い表現なのかもしれませんね。でも、昔の言葉だとか国語の教科書や小説の中に登場する言葉だと切り捨ててしまわずに、さりげなく「大仰」を使ってみることができたら素敵だなと思います。「オーバー」や「大げさ」の代わりに、ぜひ挑戦してみてください。

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国語言葉の意味

「大仰」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学科卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「大仰」について解説する。

端的に言えば大仰の意味は「大げさなこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語が好きで日本文学科を卒業したハルを呼んです。一緒に「大仰」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル

日本語が大好きで日本文学科を卒業。現在は子供が言葉を覚えていく様子を見ながら日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。

「大仰」の意味や語源・使い方まとめ

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「大仰」という言葉、正しく読むことができるでしょうか。日常生活の中ではなかなか口にしない言葉かもしれませんね。しかし、意味や使い方がわかれば普通に使うことのできる言葉なのですよ。それでは早速「大仰」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「大仰」の意味は?

まず初めに、辞書で「大仰」の意味を確認してみましょう。「大仰」には、次のような意味があります。

1.大げさなこと。また、そのさま。誇大。
2.(大形)規模や計画の大きいこと。また、そのさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「大仰」

「大仰」は「おおぎょう」と読みます。「たいぎょう」と読みたくなってしまうかもしれませんが、それは誤りです。「おうぎょう」でもありません。漢字表記のゆれにより「大形」と書く場合もあります。これを「おおがた」と読むと、「大型」と同様「形や規模が大きいこと」を表す言葉となってしまうのです。紛らわしいですね。「大げさなこと」を意味する「大仰」はこのように書いて「おおぎょう」と読むと覚えておくのがよさそうです。

「大仰」は、物事の見かけが実際より大きいさまや、実際より大変なように言ったりしたりすることを意味します。「大仰な言い方」「大仰に嘆く」などというように使うことができますよ。

 

「大仰」の語源は?

次に「大仰」の語源を確認しておきましょう。

仰仰しい」という言葉をご存知でしょうか。「大仰」と同様に「大げさであること」を意味する言葉です。同じ字が使われていますね。この言葉は、もともと「稀有稀有し(けうけうし)」と書いて「極めてまれなこと」という意味の言葉だったようです。古文における「けうけうし」は「きょうきょうし」と発音されます。これが後に「仰」の字があてられ、「ぎょうぎょうしい」という読みへ変化したという説があるのです。

」という漢字は、横から見た人の象形と、ひざまずく人が立つ人を仰ぎ見る象形から成り立っており、「あおぐ(頭を上げて見る)」「見上げる」を意味する文字となりました。そこから「高い、大きい、多い、盛ん」といった意味も持つようになったのです。「敬う」という意味の「あおぐ」、「命令」の尊敬語である「おおせ」、「言う」の尊敬語である「おっしゃる」の意味も持っているのですよ。

「大仰」は、「大きい」と「仰」の字を組み合わせて、とても大げさであることを表す言葉となったのです。

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