この記事では「その旨」について解説する。

端的に言えばその旨の意味は「その内容」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広報担当者としての経験を持つライター「井上 樹」を呼んです。一緒に「その旨」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/井上 樹

“広報担当者”としての顔を併せ持つライター。「単語の意味レベルでも、誤った情報は発信しない」をモットーにしている。今回は「その旨」について分かりやすく解説していく。

「その旨」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「その旨」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「その旨」の意味は?

「その旨」には、次のような意味があります。

そのような内容、そのような話、などの意味の表現。

出典:実用日本語表現辞典「その旨」

「その旨」は「そのむね」と読み、ビジネスシーンでよく使用される言葉です。冒頭で桜木さんが説明したように、「その内容」という意味を持ち、直前に話した内容を繰り返したい場面などで用いられます。「さきほどお話した内容を」と言うと回りくどく感じてしまうので、代わりに「その旨」を使うことで端的に繰り返しを表現することができるわけですね。

ちなみに、「旨」という漢字には「うま」という読み方もありますが、「そのうま」とは読まないように注意しましょう。「その旨」の具体的な使い方は、後で例文を紹介しますね。

「その旨」の語源は?

次に「その旨」の語源を確認しておきましょう。

漢字の「旨」には「述べたことの中心、趣旨」という意味があります。また、「その」直前の内容を示す指示語なので、この2つの言葉が合わさったことで、「その旨」は「直前の内容の趣旨」を表す言葉になりました。

\次のページで「「その旨」の使い方・例文」を解説!/

「その旨」の使い方・例文

その旨は「直前に話した内容を繰り返したい場面で使われる」と紹介しましたが、実際にはどんな使われ方をするのでしょうか。「旨」にあたる部分の対象は幅が広く、前文全体を指すような場合もあります。以下の例文を見ながら、「その旨」が文章のどこを指しているのか確認していきましょう。

1.出席を希望される方は、その旨をご連絡くださいませ。

2.不合格の方には連絡を行いません。その旨をご了承いただければ幸いです。

3.イベントが中止になる場合は、わかり次第その旨をお知らせいたします。

例文1のその旨は、「出席を希望する」の部分を指しています。つまり、後半は「出席を希望するということをご連絡ください」と言い換えることができるわけです。その旨を使わなければ「出席を希望する」という言葉が重複するので、言い換えた後の例文では文章がすっきりした印象になりました。

例文2のその旨は、「不合格の方には連絡をしない」という内容を指します。また、「ご了承ください」は、「ご理解ください」という意味を表す言葉です。つまり、この例文の後半は「不合格の方に連絡しないことをご理解ください」と言い換えられるわけですね。

例文3のその旨は「イベントが中止になること」を指します。その旨を使わなければ、「イベントが中止になる場合は、わかり次第イベントが中止になることを連絡する。」となってしまい、かなりくどく感じますよね。

このように、その旨は直前の内容を繰り返し伝える際に使われる言葉です。それぞれの例文は「その旨」が指す部分が短めだったので、比較的わかりやすかったのではないでしょうか。その旨がどのように直前の内容を表すのかを理解できれば、自分でもスムーズに使いこなせるようになりますよ。

「その旨」の類義語は?違いは?

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さきほどの例文のように、ビジネスシーンでよく使われる「その旨」。しかし、日常会話で使うと、硬い表現に聞こえてしまいますよね。今回はその旨の類義語として、日常会話でも使える表現を紹介します。

その1「今の話は」

「今の話は」も、直前に話した内容を繰り返し伝えたい時に使える言葉で、「その旨」と同じような意味合いがあります。ただし、砕けた表現なので、使われる場面としてはビジネスシーンではなく日常会話の方が好まれるでしょう。

\次のページで「その2「そのことを」」を解説!/

昨日母と祖母が喧嘩をしてしまったらしい。今の話は、父にきちんと報告しておこう。

その2「そのことを」

「そのことを」も、「その旨」同様に直前の内容を繰り返し伝えることができます。「その旨」から言い換えても、ほぼ同じ意味が伝わる言葉です。使える場面や状況に合わせて使い分けましょう。

僕は魚が苦手なんだ。そのことを、知っておいてもらえると嬉しいな。

「その旨」の対義語は?

結論から言うと、「その旨」の対義語はありません。

その旨は特定の意味を持つわけではなく、直前の内容を表す指示語のような役割を持つ言葉なので、反対の意味になる表現がないと言えます。

「その旨」の英訳は?

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最後に、その旨を英訳するとどんな表現になるのかをご紹介しますね。

「to that effect」

英語の「to that effect」には「その趣旨で」という意味があり、今回のその旨と同じような意味やニュアンスを持ちます。しかし、単語1つ1つを見ると、それぞれに「その旨」を表す意味はなく、「to that effect」という形になることで「その旨」の意味を表すので、覚えておきましょう。

最後に、英語の例文を一つご紹介して、今回のその旨についての解説を終わります。

\次のページで「「その旨」を使いこなそう」を解説!/

When you attend,please let me know to that effect.
(出席する場合は、その旨をお知らせください。)

「その旨」を使いこなそう

この記事では「その旨」の意味・使い方・類語などを説明しました。

その旨は「その内容」という意味を持ち、ビジネスシーンなどで直前に話した内容を繰り返したい場面で使われることがわかりましたね。

ただし、多用したり、複数の事柄を説明した後に使ったりすると、どの部分を指しているのかがわかりにくくなってしまうので注意が必要です。

また、「その旨」を使うほど堅い場面でないと感じたら、今回説明したような「今の話は」や「そのことを」などの類義語に言い換えてみると伝わりやすくなりますよ。それぞれのニュアンスの違いをしっかりと理解して、「その旨」を使いこなしましょう。

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国語言葉の意味

「その旨」の意味や使い方は?例文や類語を広報担当者ライターがわかりやすく解説!

この記事では「その旨」について解説する。

端的に言えばその旨の意味は「その内容」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広報担当者としての経験を持つライター「井上 樹」を呼んです。一緒に「その旨」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/井上 樹

“広報担当者”としての顔を併せ持つライター。「単語の意味レベルでも、誤った情報は発信しない」をモットーにしている。今回は「その旨」について分かりやすく解説していく。

「その旨」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「その旨」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「その旨」の意味は?

「その旨」には、次のような意味があります。

そのような内容、そのような話、などの意味の表現。

出典:実用日本語表現辞典「その旨」

「その旨」は「そのむね」と読み、ビジネスシーンでよく使用される言葉です。冒頭で桜木さんが説明したように、「その内容」という意味を持ち、直前に話した内容を繰り返したい場面などで用いられます。「さきほどお話した内容を」と言うと回りくどく感じてしまうので、代わりに「その旨」を使うことで端的に繰り返しを表現することができるわけですね。

ちなみに、「旨」という漢字には「うま」という読み方もありますが、「そのうま」とは読まないように注意しましょう。「その旨」の具体的な使い方は、後で例文を紹介しますね。

「その旨」の語源は?

次に「その旨」の語源を確認しておきましょう。

漢字の「旨」には「述べたことの中心、趣旨」という意味があります。また、「その」直前の内容を示す指示語なので、この2つの言葉が合わさったことで、「その旨」は「直前の内容の趣旨」を表す言葉になりました。

\次のページで「「その旨」の使い方・例文」を解説!/

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