この記事では「しでかす」について解説する。

端的に言えばしでかすの意味は「大きな失敗をする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は、ロシアで2年間日本語教師として働いた大学院生ライターの「むかいひろき」を呼んです。一緒に「しでかす」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で2年間日本語教師として働いた経験を持つ大学院生。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「しでかす」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「しでかす」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「しでかす」の意味は?

「しでかす」の意味は、国語辞典には次のように掲載されています。

ふつうでは考えられないような大きなことや大失敗をする。やらかす。やってのける。「とんでもないことを―・したものだ」「何を―・すかわからない」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「し‐でか・す【仕出かす/▽為出かす】」

しでかす」は、「1.普通では考えられないような大きなことをする」「2.普通では考えられないような大失敗をする」という意味の言葉です。1番目の意味では、良いことに対して使われることもありますが、悪いことに対して使われることのほうが多いですね。また、とてもカジュアルな表現であるため、目上の人に対してやビジネス場面では使わないほうがいいでしょう。

漢字では「仕出かす」または「為出かす」と表記しますが、普通はひらがなで表記します。

「しでかす」の語源は?

次に「しでかす」の語源を確認しておきましょう。

実は、「しでかす」の語源ははっきりとしたことが分かっていません。現存している文献で最初に使用が確認されるのは、江戸時代後半(1813年)の歌舞伎『お染久松色読販』の、「まだ前髪の年季者、子供子供と思わせて、大きなことをしでかして、後々旦那へ御苦労懸け」という部分です。意外と新しい言葉のようですね。

\次のページで「「しでかす」の使い方・例文」を解説!/

「しでかす」の使い方・例文

「しでかす」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.この子は将来何か大きなことをしでかすかもしれない。
2.10年間刑務所にいたヤクザの組長が出所したらしいが、すぐに何かをしでかして、また刑務所に入るだろう。
3.国際大会の国歌独唱で、歌詞を間違えるという大失態をしでかしてしまった。
4.飲み会で、お酒に酔った勢いで女性陣に対して暴言を吐くという粗相をしでかしてしまった。

例文1と2は「1.普通では考えられないような大きなことをする」という意味で、例文3と4は「2.普通では考えられないような大失敗をする」という意味で「しでかす」が使われています。

例文1は「何か普通ではない大きなことをするかもしれない」という意味です。この文脈では「大きなこと」は「良いこと」「すごいこと」という意味合いで使用されています。例文2も「何か普通ではない大きなことをして」という意味ですが、この文脈の「大きなこと」は「悪いこと」という意味合いですね。「しでかす」は、例文2のように悪いことやマイナスのことに対して使うことが多いです。

例文3では「国歌の歌詞を間違えるという普通では考えられない大失敗をしてしまった」、例文4では「酔った勢いで女性に暴言を吐く普通では考えられない大失敗をしてしまった」という意味で「しでかす」が使われています。ここでの「大失敗」は客観的なものではなく、自分から見て「大失敗かどうか」が基準です。

「しでかす」の類義語は?違いは?

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「しでかす」の類義語には「やらかす」「ヘマをする」があります。意味や違いを確認していきましょう!

その1「やらかす」

やらかす」は、「やる」「する」という意味の俗語(くだけた言葉)で、「何か失敗した」「何か失態を犯した」場合に使われる言葉です。「しでかす」の「2.普通では考えられないような大失敗をする」と同じニュアンスで使用されます。「しでかす」と同様に、とてもカジュアルな表現であるため、目上の人に対してやビジネス場面では使わないほうがいいでしょう。

「しでかす」との違いは、「しでかす」の場合、「1.普通では考えられないような大きなことをする」という意味で良いことに対しても「しでかす」が使われますが、「やらかす」は失敗や失態など悪いことに対してしか使われません

例文を見てみましょう。

\次のページで「その2「ヘマをする」」を解説!/

・不注意から、著作権に関するデータベースの入ったUSBをなくすという失敗をやらかしてしまった。
・英語の翻訳のテストやらかしたわ。25点だった。

その2「ヘマをする」

ヘマをする」は、「間抜けな失敗をする」という意味の言葉です。「しでかす」の「2.普通では考えられないような大失敗をする」とほぼ同じ意味を表します。「ヘマをする」も「しでかす」や「やらかす」と同様に、とてもカジュアルな表現であるため、目上の人に対してやビジネス場面では使わないほうがいいでしょう。

「しでかす」との違いは、「しでかす」の場合、「1.普通では考えられないような大きなことをする」という意味で良いことに対しても「しでかす」が使われますが、「ヘマをする」は失敗や失態に対してしか使われません

例文を見てみましょう。

・クイズ大会で、敵チームにヒントのキーワードを言ってしまうというヘマをしてしまった。
・彼女の誕生日にデートに遅刻するヘマをしてしまい、結局別れることになった。

「しでかす」の対義語は?

「しでかす」に対義語はありません。同様に類義語の「やらかす」「ヘマをする」にも対義語は存在しませんね。

「しでかす」の英訳は?

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ここでは「しでかす」の英語での表現を確認していきましょう。

その1「mess up」

mess up」は「しでかす」「やらかす」「ヘマをする」という意味の英語表現です。また、日本語と同じように「mess up」もスラングになります。ビジネスなどの堅い場面では使わないほうがよいでしょう。

例文を見てみましょう。

\次のページで「その2「screw up」」を解説!/

I messed up on my Science exam.

理科の試験でしでかした

その2「screw up」

screw up」も「しでかす」「やらかす」「ヘマをする」という意味を表す英語表現です。「mess up」よりもさらに大きな失敗に対して使う傾向があります。主にアメリカで日常的に使用されるスラングです。

「screw up」の形では動詞として用いられますが、「screwup」「screw-up」というくっついた形では名詞となり、「失敗」「ヘマ」という意味や「いつも失敗ばかりしている人」という意味を表します。

例文を見てみましょう。

I totally screwed up the presentation yesterday.

昨日のプレゼンテーションで完全にしでかしてしまった。

「しでかす」を使いこなそう

この記事では「しでかす」の意味・使い方・類語などを説明しました。

しでかす」は、「1.普通では考えられないような大きなことをする」「2.普通では考えられないような大失敗をする」という意味の言葉です。1番目の意味では良いことに対しても用いられますが、悪いことに対して用いることのほうが多いですね。

「しでかす」や、今回ご紹介した「しでかす」の類義語、英語表現はどれもカジュアルな表現です。相手や場面によっては使用が不適切なこともあるので気を付けましょう。

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国語言葉の意味

「しでかす」の意味や使い方は?例文や類語を日本語教師の大学院生がわかりやすく解説!

「しでかす」の使い方・例文

「しでかす」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.この子は将来何か大きなことをしでかすかもしれない。
2.10年間刑務所にいたヤクザの組長が出所したらしいが、すぐに何かをしでかして、また刑務所に入るだろう。
3.国際大会の国歌独唱で、歌詞を間違えるという大失態をしでかしてしまった。
4.飲み会で、お酒に酔った勢いで女性陣に対して暴言を吐くという粗相をしでかしてしまった。

例文1と2は「1.普通では考えられないような大きなことをする」という意味で、例文3と4は「2.普通では考えられないような大失敗をする」という意味で「しでかす」が使われています。

例文1は「何か普通ではない大きなことをするかもしれない」という意味です。この文脈では「大きなこと」は「良いこと」「すごいこと」という意味合いで使用されています。例文2も「何か普通ではない大きなことをして」という意味ですが、この文脈の「大きなこと」は「悪いこと」という意味合いですね。「しでかす」は、例文2のように悪いことやマイナスのことに対して使うことが多いです。

例文3では「国歌の歌詞を間違えるという普通では考えられない大失敗をしてしまった」、例文4では「酔った勢いで女性に暴言を吐く普通では考えられない大失敗をしてしまった」という意味で「しでかす」が使われています。ここでの「大失敗」は客観的なものではなく、自分から見て「大失敗かどうか」が基準です。

「しでかす」の類義語は?違いは?

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「しでかす」の類義語には「やらかす」「ヘマをする」があります。意味や違いを確認していきましょう!

その1「やらかす」

やらかす」は、「やる」「する」という意味の俗語(くだけた言葉)で、「何か失敗した」「何か失態を犯した」場合に使われる言葉です。「しでかす」の「2.普通では考えられないような大失敗をする」と同じニュアンスで使用されます。「しでかす」と同様に、とてもカジュアルな表現であるため、目上の人に対してやビジネス場面では使わないほうがいいでしょう。

「しでかす」との違いは、「しでかす」の場合、「1.普通では考えられないような大きなことをする」という意味で良いことに対しても「しでかす」が使われますが、「やらかす」は失敗や失態など悪いことに対してしか使われません

例文を見てみましょう。

\次のページで「その2「ヘマをする」」を解説!/

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