

「蒸散」は中学校の理科で学習する用語だ。基本的な内容ではあるが、そのしくみや目的を深く理解することはなかなか難しい。植物のからだの内側で何が起きているのか、少しずつ確認していこうじゃないか。
大学で生物学を学び、現在は講師としても活動しているオノヅカユウに解説してもらうぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/小野塚ユウ
生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。
Ⅰ.蒸散とは
蒸散(じょうさん)とは、植物の葉や茎などから水蒸気が放出される現象を指す言葉です。
植物のからだのいろいろなところで、蒸散は起きています。その中でも、とくに蒸散が盛んにおこなわれるのは葉、それも葉の裏側です。
蒸散は常に一定量で行われているわけではなく、周囲の環境の変化によって能動的に調節できます。そのメカニズムや蒸散量を左右する要因については、後ほど詳しく見ていきましょう。
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1.蒸散は何のために行われる?
蒸散では、植物体内の水分を水蒸気として植物体外に排出します。何もしなければ、植物体内からは水分が失われる一方ですが…なぜ蒸散が行われるのでしょうか?
じつは、「蒸散を行うことが、土壌からの新たな水の吸収を促している」のです!
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