この記事では「一目散に」について解説する。

端的に言えば一目散にの意味は「まっしぐら」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

接客業で鍛えられた語学力を持つAYAを呼んです。一緒に「一目散に」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/AYA

長年接客業で培った「正しい敬語」を武器に、新人教育の経験も豊富なライターAYAが「一目散に」について読み方から使い方、よくある読み間違いも含めて、分かりやすく解説していく。

「一目散に」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

「一目散に」と聞いて、「逃げる」と思いつくのは私だけでしょうか。日常でよく使う言葉なので、意味は何となく理解している人も多いと思いますが、そもそも「一目散」とは何でしょうか?今回はそんな「一目散に」について詳しく解説していきます。

それでは早速「一目散に」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「一目散に」の意味は?

「一目散に」には、次のような意味があります。

1.わき目もふらずに走るさま。
2.一散。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「一目散に」

「一目散に」とは「いちもくさんに」と読み、「わき目もふらずに走るさま」の意。「一散」も一目散と同じ意味で、「逸散」と表記することもありますよ。この言葉は「一目散」だけでも成り立ちますが、多くは「に」を伴って用いられます。冒頭で「逃げる」を連想すると書きましたが、他にも「~に飛んでくる」や「~に走り出す」などの言葉を接続して使われる事が多いですね。

「一目散に」の語源は?

次に「一目散に」の語源を確認しておきましょう。この言葉には2つの説があるのでどちらも紹介しておきますね。

わき目もふらずに走るさまの「一散または逸散」と、ちょっと見る・一目ですべてを見渡すことの「一目」、この2つが組み合わさり「一目散」になったという説が一つで、こちらの方が信憑性が高いとされています。もう一つは日本民俗信仰における台風や暴風雨の神様「一目連」が、非常に速いスピードで突風などを起こしながら走り回っていた様子を転じて「一目散」と変化させたという説ですよ。

「一目連」については迷信というイメージもありますが、言葉の語源を調べるとき、信憑性は別として古くから語り継がれている物は多いですし、迷信の一言で済ませる事ができないような説得力も含まれているような気がします。知識が一つ増えると考えれば、覚えておいても損はないですね。

\次のページで「「一目散に」の使い方・例文」を解説!/

「一目散に」の使い方・例文

「一目散に」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.キャンプをしているとヘビが出てきて、みんなで一目散に逃げ出した。
2.帰り道に犬がいると、いつも一目散に走って帰っている。
3.大リーガーが出てくると、みんな一目散に駆け寄った。

3つの例文を挙げてみました。例文の1と2は、恐怖心から思わず走り出す様子が伺えますね。ヘビや追いかけてくる犬、女性なら知らない男性から追いかけられたら、それはもうなりふり構わず、周囲の事を気にしてる余裕なんてなくなりますよね。例文の3つ目は少し意味合いを変えてみました。有名人やお気に入りの選手を目の当たりにして、思わず我を忘れて駆け寄ってしまった経験はあるでしょうか?この機を逃したら二度と会えないかもしれない、そんな思いに駆られるのは幸せな事ではありますが、相手の迷惑を顧みない行動は慎まないといけないですね。

このように周りを見る余裕もなく、わき目もふらずに走るさまを「一目散に」と表現しますよ。

「一目散に」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

「一目散に」の類義語はどんな言葉があるでしょうか?

その1「わき目もふらずに」

「わき目もふらずに」とは、「周りの様子を窺うこともせず・ようすを見ることもしないさま」の意。「一目散に」の意味にもあるように、周囲を確認する余裕すらない程に必死にその方ばかりを見るさまが、「一目散に」と同じ意味なので類義語としてふさわしいでしょう。

\次のページで「その2「まっしぐら」」を解説!/

その2「まっしぐら」

「まっしぐら」とは、激しい様子でひたすら進む様子を表す言葉です。漢字にすると「驀地」と書き、「馬」が入っていることから本来は馬に乗って走る事を意味しますよ。ですが後ろに付く「地」は、「地面の地」ではなく、特に深い意味は無い接尾語なのです。これは中国語で、副詞を作る接尾語という少し難しい文法ですが、「特に意味は無い」と捉えて問題ありませんよ。この「驀地」という漢字、音読みすると「バクチ」と読みますが、もちろんあちらの方の「バクチ」とは無関係です。

「まっしぐら」もその意味から「一目散に」の類義語としてふさわしいと言えるでしょう。

「一目散に」の対義語は?

「一目散に」という言葉自体に、対義語は見つかりませんでした。「わき目もふらずに」や「まっしぐら」などの意味からも推測してみましたが、「注意が散漫に」や「上の空」という言葉になり、「一目散に」の対義語としては意味が離れてしまうため、「一目散に」の対義語は、存在しないという結論になりました。

「一目散に」の英訳は?

image by iStockphoto

「一目散に」を英語で表現するとどうなるでしょうか?一緒に見ていきましょう。

「as fast as one can」

「as fast as one can」の「one」に該当する名詞を入れて直訳すると、「one can(oneが可能な限り)」、「as fast as(早く)」なので、「なるべく早く」の意味になります。簡単な例文を挙げておくので参考にしてください。

「When he saw the snake,he ran away as fast as he could.」

(彼はヘビを見ると一目散に逃げ出した。)

\次のページで「「一目散に」を使いこなそう」を解説!/

「一目散に」を使いこなそう

この記事では「一目散に」の意味・使い方・類語などを説明しました。「一目散に」とは「わき目もふらずに走るさま・一散」の意味でしたね。周囲の様子を確認する余裕すらない必死なさまを表す言葉ですよ。一般的には「に」を伴って、「~に駆け寄る」のような使い方をします。「一目散に」が使い慣れなければ、「まっしぐらに・わき目もふれずに」などと言い換えも出来ますよ。

「(一目散に)駆け寄る・逃げる・飛んでいく」ような時は、周囲に注意を払えないほど切羽詰まった状態とも言えます。思わぬ事故や危険を伴う場合もあるので、充分注意をして心のゆとりを持つよう心がけたいですね。

" /> 「一目散に」の意味や使い方は?例文や類語を読書好きWebライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

「一目散に」の意味や使い方は?例文や類語を読書好きWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「一目散に」について解説する。

端的に言えば一目散にの意味は「まっしぐら」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

接客業で鍛えられた語学力を持つAYAを呼んです。一緒に「一目散に」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/AYA

長年接客業で培った「正しい敬語」を武器に、新人教育の経験も豊富なライターAYAが「一目散に」について読み方から使い方、よくある読み間違いも含めて、分かりやすく解説していく。

「一目散に」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

「一目散に」と聞いて、「逃げる」と思いつくのは私だけでしょうか。日常でよく使う言葉なので、意味は何となく理解している人も多いと思いますが、そもそも「一目散」とは何でしょうか?今回はそんな「一目散に」について詳しく解説していきます。

それでは早速「一目散に」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「一目散に」の意味は?

「一目散に」には、次のような意味があります。

1.わき目もふらずに走るさま。
2.一散。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「一目散に」

「一目散に」とは「いちもくさんに」と読み、「わき目もふらずに走るさま」の意。「一散」も一目散と同じ意味で、「逸散」と表記することもありますよ。この言葉は「一目散」だけでも成り立ちますが、多くは「に」を伴って用いられます。冒頭で「逃げる」を連想すると書きましたが、他にも「~に飛んでくる」や「~に走り出す」などの言葉を接続して使われる事が多いですね。

「一目散に」の語源は?

次に「一目散に」の語源を確認しておきましょう。この言葉には2つの説があるのでどちらも紹介しておきますね。

わき目もふらずに走るさまの「一散または逸散」と、ちょっと見る・一目ですべてを見渡すことの「一目」、この2つが組み合わさり「一目散」になったという説が一つで、こちらの方が信憑性が高いとされています。もう一つは日本民俗信仰における台風や暴風雨の神様「一目連」が、非常に速いスピードで突風などを起こしながら走り回っていた様子を転じて「一目散」と変化させたという説ですよ。

「一目連」については迷信というイメージもありますが、言葉の語源を調べるとき、信憑性は別として古くから語り継がれている物は多いですし、迷信の一言で済ませる事ができないような説得力も含まれているような気がします。知識が一つ増えると考えれば、覚えておいても損はないですね。

\次のページで「「一目散に」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: