この記事では「やたら」について解説する。
端的に言えば「やたら」の意味は「物事に規律・秩序・節度のないさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「やたら」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「やたら」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「やたら」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「やたら」の意味は?

「やたら」には、次のような意味があります。

【一】[形動][文][ナリ]根拠・節度がないさま。筋が通らないさま。めちゃくちゃ。むやみ。「矢鱈に買い込む」「矢鱈な事を言うもんじゃない」→無闇(むやみ)[用法]

【二】[副]【一】に同じ。「矢鱈(と)のどが乾く」「矢鱈(と)偉そうなことばかり言う」

[補説] 「矢鱈」は当て字。

出典:Weblio 辞書

「やたら」は程度がはなはだしいことを誇張する様子を表し、名詞にかかる修飾語になるときは打消しや禁止の表現を伴うことが多いです。表現としてはとても冷静で特定の感情を暗示しません。また制限がない様子を表しますよ。

「やたら」の語源は?

次に「やたら」の語源を確認しておきましょう。「やたら」の由来は「八多羅拍子」だと言われています。「八多羅拍子」はテンポが乱れやすい曲であることから、「みだり、むやみ」を意味する「やたら」という言葉が生まれました。

\次のページで「「やたら」の使い方・例文」を解説!/

「やたら」の使い方・例文

「やたら」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.なんだかさっきからやたらと喉がかわいてね、水分が極端に欠乏しているんだ。無理にとは言わないが、近くのサービスエリアに立ち寄ってくれないかな。むちゃくちゃだよ、さっきとおり過ぎたばかりだよ。

2.おじさんの犬を野原に連れていって放したら、やたら喜んでクルクル走り回っていたよ。頻繁に外に連れ出してやればいいんだろうけど、電話でも話したが最近あんまり調子が良くなくてね。

例文1は程度のはなはだしさに限界がないというニュアンスです。このように「やたら」はくだけた表現で日常会話中心に用いられますよ。そして例文2は深い考えもなく衝動的に行動し制限がないというニュアンスになります。

「やたら」の類義語は?違いは?

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「やたら」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「むやみに」

「むやみに」は結果を考えずに軽率に行動する様子を表しますよ。例えば「青島の奴、加奈子に振られてカッカしてるから、むやみなこと言うとこわいぞ」は名詞にかかる修飾語としての用法、また「待ち合わせをしたときは、約束の時間に相手が現れなくてもむやみに動かない方がいい」は述語にかかる修飾語の用法です。しばしば後ろに禁止や打消しの表現を伴いますが、述語としては用いられません

また、表現としてはとても冷静で特定の感情を暗示しません。なお「むやみに」は「むげに」や「やみくもに」に似ていますが、「むげに」は十分な配慮をしないというニュアンスで用いられますし、「やみくもに」は目標を定めずに行動するというニュアンスで、自業自得の暗示があるでしょう。ちなみに「やたら」との違いは「やたら」は程度がはなはだしいことを誇張する様子を表すという点です。

\次のページで「その2「むしょうに」」を解説!/

その2「むしょうに」

「むしょうに」は理由は分からないが程度がはなはだしい様子を表し、状態を表す述語にかかる修飾語として用いられます。例えば「後輩に先を越されむしょうに腹が立つ」も動作ではなく、主体が怒っているという状態を修飾していますよ。動作そのものは修飾しません。また「むしょうに」は、理由は分からないが程度のはなはだしい状態が衝動的に起こったり継続したりする様子を表します状態の程度は非常に高いので主体がしばしば抵抗できない暗示がありますが、表現としてはとても冷静で特定の感情を暗示しません

なお「むしょうに」は「むやみに」「やたら」などに似ていますが、「むやみに」は理由の分からないことについて困惑や慨嘆の暗示がありますし、「やたら」は程度のはなはだしさに限度がないというニュアンスで、理由の分からない暗示はありません。

その3「みだりに」

「みだりに」は後ろに禁止などの表現を伴って無制限の行為を禁止する様子を表します。また、打消しの当然・禁止などの表現を伴う述語にかかる修飾語になりますよ。とてもかたい文章語で公式の発言や標示などに用いられます。文字通りには「無分別に」という意味ですが、正当な理由のある場合以外は全部禁止するというニュアンスになることが多いでしょう。例えば「他人の家の事情にみだりに口出しすべきではない」は原則として他人の事情には口を出すなという意味、「小さな虫といえどもみだりに殺してはならない」は原則として生き物は殺すなという意味、「関係者以外みだりに立ち入ることを禁ず」は関係者以外は立ち入るなという意味です。

このように「みだりに」は客観的な表現で特定の感情を暗示しません。ちなみに「みだりに」は「むやみに」や「やたらに」に似ていますが、「むやみに」は結果に対する思慮が欠けているという暗示がありますし、「やたらに」は深い考えもなく衝動的に行動し制限がないというニュアンスになります。

「やたら」の対義語は?

「やたら」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「べつだん」

「べつだん」は後ろに打消しの表現を伴って特に言及する必要のない様子を表しますよ。「胃カメラは飲んでみたらべつだんどうってことはなかった」は述語にかかる修飾語、「前線の状況にべつだんの変化は見られない」は名詞にかかる修飾語の用法です。とても客観的かつ冷静な表現で特定の感情は暗示されていません。また「べつだん」は「べつに」によく似ていますが、「べつに」は侮蔑や無関心の暗示を伴うことが多く、客観的な表現にはなっていません。

その2「あまり」

「あまり」は後ろに打消しの表現を伴って程度がはなはだしくない様子を表す副詞。例えば「僕は生魚はあまり好きではない」は打消しを伴う述語にかかる修飾語の用法、「お前、やる気ないみたいだな。あんまりね…」は打消しの言葉が省略されている述語の用法です。やや客観的な表現で話者の冷静さが暗示されているでしょう。ちなみに「あまり」は「それほど」「かくべつ」「たいして」などによく似ていますが、「それほど」は程度が低くて存在しない方に視点がありますし、「かくべつ」には期待に反する暗示があります。また「たいして」は低い程度ながら存在する方に視点がありますよ。

「やたら」の英訳は?

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「やたら」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「やたら」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

\次のページで「「a lot」」を解説!/

「a lot」

「a lot」は「ずいぶん、たいそう、しこたま」という意味です。「A teacher who gives students a lot of homework」で「学生にやたらと宿題を出す先生だ」、「He has grown a lot in the last 6 months」で「彼はこの6カ月のうちにやたらに背が伸びた」と訳すことができますよ。

「やたら」を使いこなそう

この記事では「やたら」の意味・使い方・類語などを説明しました。「やたら」は程度がはなはだしいことを誇張する様子を表す副詞。名詞にかかる修飾語になるときは打消しや禁止の表現を伴うことが多いと解説しましたね。また「やたら」は「むやみに」や「みだりに」「むしょうに」などに似ていますが、「むやみに」は結果に対する思慮が欠けているという暗示がありますし、「みだりに」は正当な理由のある場合を除外してそれ以外を全部禁止するというニュアンスになりますよ。そして「むしょうに」は理由がわからないという暗示があります。それぞれのニュアンスの違いをしっかり覚えておきましょう。

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国語言葉の意味

「やたら」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「やたら」について解説する。
端的に言えば「やたら」の意味は「物事に規律・秩序・節度のないさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
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仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「やたら」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「やたら」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「やたら」の意味は?

「やたら」には、次のような意味があります。

【一】[形動][文][ナリ]根拠・節度がないさま。筋が通らないさま。めちゃくちゃ。むやみ。「矢鱈に買い込む」「矢鱈な事を言うもんじゃない」→無闇(むやみ)[用法]

【二】[副]【一】に同じ。「矢鱈(と)のどが乾く」「矢鱈(と)偉そうなことばかり言う」

[補説] 「矢鱈」は当て字。

出典:Weblio 辞書

「やたら」は程度がはなはだしいことを誇張する様子を表し、名詞にかかる修飾語になるときは打消しや禁止の表現を伴うことが多いです。表現としてはとても冷静で特定の感情を暗示しません。また制限がない様子を表しますよ。

「やたら」の語源は?

次に「やたら」の語源を確認しておきましょう。「やたら」の由来は「八多羅拍子」だと言われています。「八多羅拍子」はテンポが乱れやすい曲であることから、「みだり、むやみ」を意味する「やたら」という言葉が生まれました。

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