「とぼとぼ」の使い方・例文
「とぼとぼ」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。
1.おばあさんはむすこに借金を断られてとぼとぼと帰っていった。
2.少年は終電に乗り遅れ、タクシーに乗る金もなくて、雨に濡れながらとぼとぼアパートまであるくことにした。
3.ゆきの降るなか、ろうそくのとぼとぼするだいだい色のあかりをしょうねんは眺めていた。そこへつえをついた老婆がどこからともなく表れ少しくぐもった声で話しかけた。
4.とぼとぼと会社から出てくるあなたを見かけて私追いかけたのよ。手にしている荷物が少ないから最初は疑問に思ったの、他人だったらどうしようって。だからまちで声を掛けなくて正解だったわ。
5.中国語の翻訳を勉強しに来ていた彼は昨夜、複雑な上級レベルの文章を簡単に訳せるようになる夢を見た。そして今日、留学の期限が切れて彼は波止場から日本へとぼとぼ帰って行った。
例文1からは金の無心を断られ仕方なく帰って行く様子が、例文2からは雨の降るなか帰る足がなくなってしまい濡れるのを覚悟で歩き出した様子が伝わってきます。また例文3からはろうそくの仄かなあかりをじっと見つめている様子が、例文4からは人違いかもしれないとなかなか声を掛けられずにいる様子が、例文から5は夢が実現したと思ったもののむなしく帰郷する様子が伺えますね。
その1「てくてく」
「てくてく」は一歩一歩歩く様子を表す擬態語。例えば「峠の山道をてくてくと歩いて来る老人がいた」や「終電に乗り遅れて家までてくてく歩いて帰った」など、単独でまたは「と」が付いて「歩く」などの述語にかかる修飾語になります。また主体の労力と不本意の暗示があり、長距離を歩いたり乗り物に乗らずにあえて歩いたりする場面で用いることが多い。
「てくてく」は「えっちらおっちら」に似ていますが、「えっちらおっちら」は主体が大きな労力を費やして一歩一歩歩く様子を話者の軽い同情と慨嘆の暗示を伴って述べますよ。ちなみに「とぼとぼ」との違いは「とぼとぼ」は主体の孤独・疲労感・無気力・慨嘆の暗示があり、見る者の同情の暗示があるという点です。
\次のページで「その2「えっちらおっちら」」を解説!/