この記事では「すごすご」について解説する。
端的に言えば「すごすご」の意味は「失望し興ざめて立ち去るさま、がっかりして元気のないさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「すごすご」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「すごすご」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「すごすご」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「すごすご」の意味は?

「すごすご」には、次のような意味があります。

〘副〙 (多く「と」を伴って用いる)

① 気おちして元気のないさま、また、ひとりわびしく、しょんぼりとしているさまを表わす語。

② 特に、移動する状態で、元気なくその場を離れるさまを表わす語。

出典:コトバンク

「すごすご」は意気消沈して引き下がる様子を表します。目的を達成できなかった主体が、意気消沈してその場を立ち去る様子を表し、落胆・後悔の暗示があります

「すごすご」の語源は?

次に「すごすご」の語源を確認しておきましょう。漢字で「すごすご」は「悄悄」と書きます。それでは「悄」の意味について説明しましょう。「肖」は小さく細く素材を削って似姿をつくることで、小と同系です。心細げに心配するさまやひっそり静まったさまを表します。そのため「悄」は「心+音符肖」で、小さく細く、しょんぼりした気持ちになるという意味になります。

\次のページで「「すごすご」の使い方・例文」を解説!/

「すごすご」の使い方・例文

「すごすご」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.健康生活研究チームは朝日新聞社チームに負けてすごすごと球場をあとにしたとわざわざ電話で報告を受けた。今日は親友の増田君と植垣君が特別参加してくれた試合だったのでなおさら悔しさがこみ上げてくる。

2.抽選に外れたすべての応募者はすごすご帰っていった。サービス券を提供した出版社も赤字が続いてデイリーに当選者の数を増やせないようだ。

3.文雄は数多くの用語や単語がイラストとともに掲載されている国語辞典を買いに行ったが、その書店には「長年のご利用ありがとうございました。本日をもって閉店します」とお知らせが貼ってあった。一寸迷ったがすごすごと家路についた。

「すごすご」は単独でまたは「と」が付いて述語にかかる修飾語になりますよ。例文1からは負けたチームが意気消沈して帰って行った様子が伝わってきますし、例文2からは応募者が当選しなかったことに失望し興ざめして立ち去る様子が伝わってきます。また例文3からは文雄君がお目当ての辞書が買えずにしおしおと元気なく帰っていったことが伺えるでしょう。

「すごすご」の類義語は?違いは?

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「すごすご」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「しおしお」

「しおしお」は意気消沈しているように見える様子を表しますよ。例えば「男は宿を断られ、雨の中をしおしお出ていった」や「宿題を忘れしおしおと家に取りに戻った」は単独でまたは「と」が付いて述語にかかる修飾語になりますし、「この子はいつも元気で、しおしおしているところは見たことがない」は「…している」が付いて名詞にかかる修飾語になります。

主体は子供や敗者など弱者であることが多く、主体が意気消沈しているのが外見に現れている様子を話者が慨嘆の暗示を伴って述べるでしょう。「しおしお」は「すごすご」に似ていますが、「すごすご」は目的を達成できなかった主体が意気消沈してその場を立ち去る様子を表し、落胆・後悔の暗示があります。

\次のページで「その2「けちょんけちょん」」を解説!/

その2「けちょんけちょん」

「けちょんけちょん」は再起できないほど徹底的に打撃を受ける様子を表します。「今度の作品は自信作だったのに、友達にはけちょんけちょんにけなされた」や「ろくに準備もしないで面接に行ったらけちょんけちょんの目にあわされた」などくだけた表現で、親しい間のくだけた日常会話中心に用いられますよ。

「けちょんけちょん」は打撃を受けた側が意気消沈している様子を表し打撃と情けなさの暗示はありますが、被害者意識はそれほど強くありません。また「けちょんけちょん」は「こてんこてん」に似ていますが、「こてんこてん」は打撃を加える側に視点があります。なお「すごすご」との違いは「すごすご」は意気消沈して引き下がる様子を表すという点でしょう。

その3「がっかり」

「がっかり」は期待通りにならずに落胆する様子を表します。「息子の作品が落胆してがっかりしてしまった」「三時間並んだのに入場できずがっかりした」「君にはがっかりだな」など「…する」や「…だ」が付いて述語になることが多いでしょう。期待していたことが成就せず失望・落胆する様子を表しますが、慨嘆の暗示があり、あまり話者自身の切実な問題については用いない傾向にあります

また「がっかり」は肉体的・精神的に非常に消耗する様子をも表し、無気力と憔悴の暗示がありますよ。この「がっかり」は「がっくり」に似ていますが、「がっくり」は精神的に挫折した様子を表し衝撃と落胆の暗示があるでしょう。ちなみに「すごすご」との違いは「すごすご」は目的を達成できなかった主体が意気消沈してその場を立ち去る様子を表し、落胆・後悔の暗示がある点です。

「すごすご」の対義語は?

「すごすご」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「どきどき」

「どきどき」は心臓の鼓動を強く激しく感じる様子を表す擬態語。「階段を上ると心臓がどきどきする」や「たまに心臓がどきどきっと早くなる」などが基本的な用法で、物理的に心臓の鼓動を強く激しく感じる場合です。また「本番前は胸がどきどきして死にたくなる」「胸がどきどきと高鳴るような経験をしたい」「当てられはしないかと授業中どきどきしていた」などは緊張・興奮・不安・期待などを強く感じるという意味ですが、実際に心臓が強く鼓動しているとは限りません

その2「どしどし」

「どしどし」は積極的に行動を継続して行う様子を表します。「探検隊は毎日どしどし工程を進んで予定より三日早く目的地に着いた」「社長は若手の意見をどしどし取り入れる」など主体の結果や成果が生まれるニュアンスで、積極性・無遠慮の暗示がありますが、複数の行動を行ったり大量の結果が生まれなかったりする場合には用いられません

この「どしどし」は「じゃんじゃん」や「ずんずん」「どんどん」に似ていますが、「じゃんじゃん」は行動や物量が大規模・大量である様子を表し、見る者がそばで応援するニュアンスで、景気の良さや勢いの暗示があります。また「ずんずん」は進行や進捗の程度が速い様子を表し、無遠慮・驚きの暗示がありますし、「どんどん」は物事が次々と勢いよく進行する様子を表し、勢い・放任・積極性の暗示がありますよ。

その3「じゃんじゃん」

「じゃんじゃん」は行動や物量が大規模・大量である様子を表します。例えば「親の金だと思ってじゃんじゃん遣うなよ」などは物量が大量である場合くだけた表現でやや下品なニュアンスがあるでしょう。また「ストーブをじゃんじゃんたいて部屋を暖める」は行動が大規模である場合で、見る者がそばで応援するニュアンスがあり、景気の良さや勢いの暗示があります。この「じゃんじゃん」は「じゃかじゃか」に似ていますが、「じゃかじゃか」は主体が無遠慮・無制限に獲得・消費・使用するというニュアンスで、見る者の慨嘆の暗示を伴うでしょう。

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「すごすご」の英訳は?

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「すごすご」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「すごすご」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

「dejectedly」

「dejectedly」は「しょんぼり、失望して、気抜けしたように」という意味です。「The old man came home with his shoulders down」で「その老人は肩を落としすごすごと帰ってきた」、「She replied dejected and took a seat dejected」で「彼女はすごすごと返事をして席に着いた」となりますよ。

「すごすご」を使いこなそう

この記事では「すごすご」の意味・使い方・類語などを説明しました。「すごすご」は目的を達成できなかった主体が意気消沈してその場を立ち去る様子を表し、落胆・後悔の暗示があと解説しましたね。また「すごすご」は「しおしお」「がっくり」に似ていますが、「しおしお」は主体が意気消沈しているのが外見に現れている様子を話者が慨嘆の暗示を伴って述べますし、「がっくり」は精神的に挫折した様子を表し衝撃と落胆の暗示があるでしょう。ニュアンスの違いを正しく理解し上手に使い分けましょう。

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国語言葉の意味

「すごすご」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「すごすご」について解説する。
端的に言えば「すごすご」の意味は「失望し興ざめて立ち去るさま、がっかりして元気のないさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「すごすご」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「すごすご」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「すごすご」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「すごすご」の意味は?

「すごすご」には、次のような意味があります。

〘副〙 (多く「と」を伴って用いる)

① 気おちして元気のないさま、また、ひとりわびしく、しょんぼりとしているさまを表わす語。

② 特に、移動する状態で、元気なくその場を離れるさまを表わす語。

出典:コトバンク

「すごすご」は意気消沈して引き下がる様子を表します。目的を達成できなかった主体が、意気消沈してその場を立ち去る様子を表し、落胆・後悔の暗示があります

「すごすご」の語源は?

次に「すごすご」の語源を確認しておきましょう。漢字で「すごすご」は「悄悄」と書きます。それでは「悄」の意味について説明しましょう。「肖」は小さく細く素材を削って似姿をつくることで、小と同系です。心細げに心配するさまやひっそり静まったさまを表します。そのため「悄」は「心+音符肖」で、小さく細く、しょんぼりした気持ちになるという意味になります。

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