この記事では「しとど」について解説する。
端的に言えば「しとど」の意味は「ひどく濡れるさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「しとど」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「しとど」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「しとど」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「しとど」の意味は?

「しとど」には、次のような意味があります。

〘副〙 (多く「に」を伴って用いる。古くは「しとと」か) はなはだしく濡れるさまを表わす語。びっしょり。ぐっしょり。じとじと。

① 雨、露などにびっしょり濡れるさまを表わす語。

② 涙、汗などにぐっしょり濡れるさまを表わす語。

[補注](1)「しとしと」は雨の降るさまや、静的なさまを表わし、「しとど」とは意味の違いが認められ、また、用例の上からも「しとど」の方が古いところから、「しとしと」から「しとど」が成立したとは考えられない。

出典:コトバンク

「しとど」は多量の水分で完全に濡れる様子を表す表現です。やや古風な表現で、文芸作品や小説によく用いられますよ。十分に濡れた結果しずくが垂れるまでになった状態を表しますが、不快の暗示は少ないです。

「しとど」の語源は?

「しとど」は潤いがあって落ち着いて見える様子を表す「しっとり」から派生した言葉です。特に景色や女性の容姿など主に外見に潤いがあって落ち着いて見える様子を表し、美の暗示があるでしょう。湿潤な物に美を見出す日本文化の特徴を表した日本語でもあります。

\次のページで「「しとど」の使い方・例文」を解説!/

「しとど」の使い方・例文

「しとど」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.会社からの帰り道、夕立に打たれ下着までしとどに濡れた。週間予報では今日の降水確率は10%と表示されていたので、雨が降る可能性は低いと考え傘は持って出なかったのだ。

2.朝目が覚めると悪夢に汗もしとどになっていた。特別気になるわけではなかったが、検索サービスで悪夢というキーワードで一致する情報から夢見の良いヒントを探ることにした。

3.傘をささずに歩いていたら道行く人がすれ違いざまに親切に傘を貸してくれた。雨にしとど濡れてしまう前で良かった。その傘の柄には小さな文字で電話番号が書かれてあったので、私はお礼の連絡を入れることにした。

ここでは「しとど」のそれぞれの用法について学習しましょう。例文1は「に」が付いて述語にかかる修飾語の用法です。全身がずぶ濡れになってしまった様子が伝わってきますね。例文2は「…になる」が付いて述語になる用法。よほど悪い夢をみたのでしょう。じっとりと汗がにじんでいる様子が伺えます。例文3は単独で述語にかかる修飾語の用法です。

「しとど」の類義語は?違いは?

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「しとど」と似たような意味をもつ言葉や用語をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「しっとり」

「しっとり」は湿気や水分がしみ込んで内部が少し濡れている様子を表します。ただ濡れていることが対象にとって好ましいかどうかによって、イメージが決まる表現でもありますよ。また、物の表面や内部に湿気や水分が適度に行き渡っている様子を表し、快感の暗示を伴います。「しっとり」は湿気の多い日本の気候を肯定的にとらえた語で、日本文化の一つの特徴を表していると言えるでしょう。なお「しっとり」は「しっぽり」や「しとど」に似ていますが、「しっぽり」はある区切られた空間の中が適度に湿っている様子を表し、「しとど」は水分や湿気の量が多いために、しずくが垂れるほど濡れる様子を表しますよ。

\次のページで「その2「しっぽり」」を解説!/

その2「しっぽり」

「しっぽり」は区切られた空間の中が適度に湿っている様子を表す副詞です。春雨など快い水分がある区切られた空間を塗らし、湿気を含む様子を表しますよ。また、性的関係にある男女が一定の空間の中で親しく語り合う様子を「濡れ場」になぞらえて表した表現でもあります。そのため快感の暗示を伴うでしょう。「しっぽり」は「しっとり」に似ていますが、「しっとり」は物理的に物の表面や内部に水分や湿気が適度に行き渡っている様子を表します。ちなみに「しとど」との違いは「しとど」は多量の水分で完全に濡れる様子を表すという点ですよ。

その3「しとしと」

「しとしと」は弱い雨が静かに降り続く様子を表す表現。細かい雨がほとんど音を立てずに継続して降る様子を表し、快感の暗示を伴います。この「しとしと」は「しょぼしょぼ」や「さわさわ」に似ていますが、「しょぼしょぼ」は少量の雨が断続的に降る様子を表し、見る者の情けなさ・慨嘆の暗示を伴いますよ。また「さわさわ」は弱い風や雨などが軽い音を立てて吹いたり降ったりする様子を表し、軽さ・清涼感の暗示があります。「しとど」との違いは「しとど」はやや古風な表現で、文芸作品によく用いられるという点でしょう。また「しとしと」は「梅雨時は洗濯物が乾かずしとしとしている」など、本来乾燥しているべき物の表面に湿気が浮いている様子をも表しますが、不快の暗示は少ないです。この「しとしと」は「しっとり」に似ていますが、「しっとり」は湿気が適度に行き渡っていることについて快感の暗示があるでしょう。

「しとど」の対義語は?

「しとど」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「からから」

「からから」は非常に乾燥している様子を表す擬態語です。物の表面および内部の水分が失われて干からびている様子を表し、慨嘆の暗示を伴いますよ。例えば「東京の水瓶は今からからの状態だ」は「の」が付いて名詞にかかる修飾語になりますし、「からから天気は当分続くでしょう」などは「からから天気」の形で名詞を作ります。また「暮れのデパート、暖房の効きすぎでのどはカラカラ、財布もカラカラ」などは語呂合わせを用いた表現で、前者はのどが渇いているという意味、後者は財布の中身が失われて存在しないという意味になりますよ。ちなみに「からから」は「かさかさ」に似ていますが、「かさかさ」は物の表面が乾燥して摩擦する様子を表し、内部まで乾燥が及んでいる様子は表しません。

その2「かさかさ」

「かさかさ」は表面が乾燥して摩擦する様子を表します。例えば「やたら喉が渇いて唇がかさかさする」などは「…する」が付いて述語になりますし、「かさかさとした水虫には軟膏がいい」などは「…とした」が付いて名詞にかかる修飾語になりますよ。そしてこれらの用法が「かさかさ」の基本的な意味になります。「年をとってもかさかさした女にはなりたくない」などは比喩的な用法で、摩擦が多くて不快な様子を表し慨嘆の暗示を伴うでしょう。なお「かさかさ」は「がさがさ」に似ていますが、「がさがさ」の方が摩擦の程度が大きく、不快・慨嘆の程度も高いです。

「しとど」の英訳は?

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「しとど」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英単語で「しとど」と言い表す時の例やフレーズをさっそく見ていきましょう。

\次のページで「「dripping wet」」を解説!/

「dripping wet」

「dripping wet」は「ずぶ濡れになるほど、ずぶ濡れの」という意味です。「I dripping wet in the rain and caught a cold」で「雨にしとど濡れて風邪をひいてしまった」、「She stood dripping wet at the front door in a soaked appearance」で「彼女はずぶ濡れの姿で玄関に立っていた」と訳すことができますよ。

「しとど」を使いこなそう

この記事では「しとど」の意味・使い方・類語などを説明しました。「しとど」は多量の水分で完全に濡れる様子を表す表現で、十分に濡れた結果しずくが垂れるまでになった状態を表しますが、不快の暗示は少ないと解説しましたね。また「しとど」は「じっとり」や「じとじと」「じめじめ」などに似ていますが、「じとじと」は空間全体に水分や湿気が溢れる暗示が、「じめじめ」は低層に水分や湿気が漂う暗示があります。そして「じっとり」は水分や湿気が多量にあって表面ににじんでいる様子を表しますよ。それぞれのワードのニュアンスの違いをしっかり押さえましょう。

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国語言葉の意味

「しとど」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「しとど」について解説する。
端的に言えば「しとど」の意味は「ひどく濡れるさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「しとど」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「しとど」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「しとど」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「しとど」の意味は?

「しとど」には、次のような意味があります。

〘副〙 (多く「に」を伴って用いる。古くは「しとと」か) はなはだしく濡れるさまを表わす語。びっしょり。ぐっしょり。じとじと。

① 雨、露などにびっしょり濡れるさまを表わす語。

② 涙、汗などにぐっしょり濡れるさまを表わす語。

[補注](1)「しとしと」は雨の降るさまや、静的なさまを表わし、「しとど」とは意味の違いが認められ、また、用例の上からも「しとど」の方が古いところから、「しとしと」から「しとど」が成立したとは考えられない。

出典:コトバンク

「しとど」は多量の水分で完全に濡れる様子を表す表現です。やや古風な表現で、文芸作品や小説によく用いられますよ。十分に濡れた結果しずくが垂れるまでになった状態を表しますが、不快の暗示は少ないです。

「しとど」の語源は?

「しとど」は潤いがあって落ち着いて見える様子を表す「しっとり」から派生した言葉です。特に景色や女性の容姿など主に外見に潤いがあって落ち着いて見える様子を表し、美の暗示があるでしょう。湿潤な物に美を見出す日本文化の特徴を表した日本語でもあります。

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