この記事では「さも」について解説する。
端的に言えば「さも」の意味は「そのように、そのとおりに、いかにも、よくも」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「さも」の意味や例文、類語などを見ていきます。

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仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「さも」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「さも」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「さも」の意味は?

「さも」には、次のような意味があります。

[副]《副詞「さ」+係助詞「も」から》

1 そうも。そのようにも。「然もあろう」

2 確かにそれに違いないと思われるさま。いかにも。「然もうれしそうな顔をする」

3 まったく。実に。

《副詞「しか」+係助詞「も」から》[接]

1 前述の事柄を受けて、さらに別の事柄を加えるときに用いる。その上。「あの方は私の恩師で、―命の恩人だ」

2 前述の事柄を受けて、それに反する帰結を付け加えるときに用いる。それなのに。それでも。「あれだけ練習して、―勝てなかった」

[副]そんなにまでも。

出典:コトバンク

「さも」は典型的な状態に非常によく似て見えるのを誇張する様子を表し、様態を表す表現にかかる修飾語として用いられます。ややかたい文章語で、日常会話にはあまり登場しません。「さも」は対象の状態の外見が話者の目にはある典型的な状態によく似て見える点にポイントがあり、実際に主体がそのように意図しているか、事実はどうかについては言及しません。そこで、断定的な文の述語にはかからず述語を修飾する語句として様態の内容を説明するにとどまることが多いです。

「さも」の語源は?

次に「さも」の語源を確認しておきたいところですが、残念ながら「さも」の語源は明確には分かっていません。ちなみに「さも」は漢字で「然も」と書きます。それでは「然」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「然」は火を表す「レンガ」と炎の意味の音を示す「ゼン」とを合わせた字。火が燃える意味を表します。後に「燃」が「そのとおり」「そうである」の意味に使われたので、もう一つ「火」を加えた「燃(ネン)」の字で「もえる」意味を表すようになりました。

\次のページで「「さも」の使い方・例文」を解説!/

「さも」の使い方・例文

「さも」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.もち子はさも大事そうにクマの人形を抱いていた。あなたに小さな子が興味のある物を教えてくれって頼まれたから少しヒントを与えたのよ。参考になったみたいね。

2.彼はオススメのタイプがコピーされたお知らせを見て、さもおかしてくたまらないというように腹をかかえて笑った。

3.アメリカ人の課長は部下の持ち物をさも当たり前のような顔をして使う。今日も他人の物を手軽にかすめ取っていく姿を複雑な気持ちで見つめていた。

4.彼女はさも嬉しそうに話題のサービスすべてについて語っていた。

5.父は日本語はどの言語よりもレベルが高いんだとさも誇らしげに言う。出版社に勤務していた時は辞書や辞典を数多く世に送り出し、退職後は学習塾で国語の講師を務めているのだから素直に頷ける。

例文1からはプレゼントされたクマの人形をいかにも大事そうに抱いている子供の様子が、例文2からは抱腹絶倒する彼の様子がそれぞれ伺えます。また、例文3は他人の持ち物を自分の物のように使う課長の常識のなさを「当たり前のような顔をして」という表現で強調していますよ。さらに例文4からは嬉々とした様子でサービス内容について話している彼女の顔が容易に想像できますし、例文5からはなぜそれほどまでにも母国語に対する思い入れが強いのかを、父親のバックグラウンドを取り上げて第三者に説得力を持たせているのが読み取れるでしょう。

「さも」の類義語は?違いは?

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「さも」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「みるからに」

「みるからに」は外見から典型的であることを推量する様子を表し、状態を表す表現にかかる修飾語として用いられますしばしば後ろに様態を表す表現を伴いますよ。また、あまり好ましくない状態が典型的であることを外見から推量するというニュアンスで用いられることが多く、好ましい状態を推量する例はあまり多くありません。外見をちょっと見てわかるほど内容の程度がはなはだしいという意味で誇張の暗示があるでしょう。

なお「みるからに」は「いかにも」や「さも」「いっけん」などに似ていますが、「いかにも」は典型的な状態に合致しているというニュアンスで驚きやあきれ、感動などの暗示を含みますし、「さも」は話者の目には典型的な状態によく似て見えるというニュアンスで、主体の意図や客観的な事実には言及しません。また「いっけん」は外見をちょっと見るという意味で、外見と内容がしばしば異なる暗示があります。

\次のページで「その2「いかにも」」を解説!/

その2「いかにも」

「いかにも」は典型的な状態に合致している様子を表す副詞。そして「いかにも」は述語に示される典型的な状態に合致しているという意味です。したがって、結果的に程度は高くなり「まったく」などに似てきますが、驚きやあきれ、感動などの暗示を含み単に程度が高いという意味ではありません。ちなみに「いかにも」は「まるで」や「さも」によく似ていますが、「まるで」は対象の状態を別の典型的なものにたとえるというニュアンスで、類似の程度は問題にしません。また「さも」は対象の意見が話者の目にはそのように見えるというニュアンスで、実際にそうであるかどうかには言及しません。

その3「いっけん」

「いっけん」は外見をちょっと見る様子を表しますよ。「彼女の指輪はいっけんして偽物とわかる」は外見をちょっと見るとそう見えるという意味で、「一見して(したところ)…」という形で述語にかかる修飾語になります。この場合「一見した」内容は現実の内容に合っていても違っていても問題ありません

また「彼はいっけん学者ふうなので、すぐに信用される」は「外見は□□のようだが、実は△△である」という意味で単独で述語にかかる修飾語になります。「一見した」内容と現実の内容がしばしば相違している暗示があるでしょう。なお「さも」との違いは「さも」は典型的な状態に非常によく似て見えるのを誇張する様子を表すという点です。

「さも」の対義語は?

「さも」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「みじんも」

「みじんも」は後ろに打消しの表現を伴って存在しないことを誇張する様子を表します。「夫には愛情というものがみじんも感じられない」や「奴には人に感謝する気持ちなんかみじんもない」など打消しの表現を伴う述語にかかる修飾語として用いられますよ。物事や可能性が全く存在しないことを誇張的に表し、しばしば釈明や非難の文脈で用いられます。また抽象的なものについて用いることが多く、具体物についてはふつう用いません。さらに誇張のニュアンスが強いため通常の物事についてはあまり用いられませんし、打消し一般を誇張する意味はありません

その2「なにひとつ」

「なにひとつ」は後ろに打消しの表現を伴って存在の可能性を強く否定する様子を表す副詞。「私には何一つやましいところはありません」「旅行中に空き巣に入られ、帰ってみたら部屋には何一つとして残っていなかった」など、「何一つ」「何一つとして」の形で打消しの表現を伴う述語にかかる修飾語になります物事が存在しないことを表すのではなく、存在の可能性を主体が全部否定するという意味でとても主観的な表現になっており客観的に存在しないかどうかには言及しません。また、打消しを強調する語としては他に「ぜんぜん」「まったく」などがありますが、これらは客観的な表現になっていますよ。

「さも」の英訳は?

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「さも」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「さも」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

\次のページで「「all over」」を解説!/

「all over」

「all over」は「いかにも…らしい、さも…らしい」という意味です。「His behavior is also Biden's way all over」で「彼の行動はさもバイデン流のやり方だ」、「That's what he's likely to do all over」で「さも彼のやりそうなことだよ」と表現することができますよ。

「さも」を使いこなそう

この記事では「さも」の意味・使い方・類語などを説明しました。「さも」は典型的な状態に非常によく似て見えるのを誇張する様子を表す副詞。そして様態を表す表現にかかる修飾語として用いられると解説しましたね。また「さも」は「みるからに」や「まるで」に似ていますが、「みるからに」は外見から程度のはなはだしいことを推量するというニュアンスがありますし、「まるで」は対象の状態の全体的な印象をたとえるというニュアンスで、特に外見を強調するニュアンスはありません。

そのため「この肉、さも一流レストランのみたいにおいしいね」は間違った表現となり、正しくは「この肉、まるで一流レストランのみたいにおいしいね」となりますよ。言葉の意味の違いを正しく理解し使い分けるようにしましょう。

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国語言葉の意味

「さも」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「さも」について解説する。
端的に言えば「さも」の意味は「そのように、そのとおりに、いかにも、よくも」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「さも」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「さも」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「さも」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「さも」の意味は?

「さも」には、次のような意味があります。

[副]《副詞「さ」+係助詞「も」から》

1 そうも。そのようにも。「然もあろう」

2 確かにそれに違いないと思われるさま。いかにも。「然もうれしそうな顔をする」

3 まったく。実に。

《副詞「しか」+係助詞「も」から》[接]

1 前述の事柄を受けて、さらに別の事柄を加えるときに用いる。その上。「あの方は私の恩師で、―命の恩人だ」

2 前述の事柄を受けて、それに反する帰結を付け加えるときに用いる。それなのに。それでも。「あれだけ練習して、―勝てなかった」

[副]そんなにまでも。

出典:コトバンク

「さも」は典型的な状態に非常によく似て見えるのを誇張する様子を表し、様態を表す表現にかかる修飾語として用いられます。ややかたい文章語で、日常会話にはあまり登場しません。「さも」は対象の状態の外見が話者の目にはある典型的な状態によく似て見える点にポイントがあり、実際に主体がそのように意図しているか、事実はどうかについては言及しません。そこで、断定的な文の述語にはかからず述語を修飾する語句として様態の内容を説明するにとどまることが多いです。

「さも」の語源は?

次に「さも」の語源を確認しておきたいところですが、残念ながら「さも」の語源は明確には分かっていません。ちなみに「さも」は漢字で「然も」と書きます。それでは「然」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「然」は火を表す「レンガ」と炎の意味の音を示す「ゼン」とを合わせた字。火が燃える意味を表します。後に「燃」が「そのとおり」「そうである」の意味に使われたので、もう一つ「火」を加えた「燃(ネン)」の字で「もえる」意味を表すようになりました。

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