この記事では「さぞや」について解説する。
端的に言えば「さぞや」の意味は「さぞを強めた語、さぞかし」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「さぞや」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「さぞや」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「さぞや」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「さぞや」の意味は?

「さぞや」には、次のような意味があります。

[1] 〘連語〙 (「さぞ」に助詞「や」が付いたもの) 「さぞ(一)」に疑問、詠嘆を加えた言い方。そんなにも。実際そのように。

[2] 〘副〙 ((一)が一語化したもの) 副詞「さぞ」に詠嘆を加えた言い方。さぞまあ。さだめしまあ。

出典:コトバンク

「さぞや」は程度がはなはだしいことを推量する様子を表し、推量の表現を伴う述語にかかる修飾語として用いられます。また「さぞかし」「さぞや」は「さぞ」の協調形でややかたい文章語となり、丁寧なニュアンスを伴うので公式の挨拶や発言などによく用いられますよ。自分の関係する以外の相手の様子や物の状態などの程度のはなはだしさを推量するというニュアンスがあり、同情の暗示を伴うでしょう。自分自身の状態については用いられません

「さぞや」の語源は?

次に「さぞや」の語源を確認しておきましょう。「さぞや」は「さぞ」に終助詞の「ヤ」を付けた言葉です。漢字で「さぞや」は「嘸や」と書きますよ。ちなみに「嘸」の意味は「何も言わない、またそのさま」です。そこから口には出さず、そうだろうと推量する気持ちをあらわす言葉「さぞや」の漢字に当てられるようになりました。

\次のページで「「さぞや」の使い方・例文」を解説!/

「さぞや」の使い方・例文

「さぞや」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.彼女はたった一人、外国で病気になってさぞ心細かったことだろう。その上さまざまな検査を受けさせられたそうだが、皮肉なことに結局診断名はつかなかったと言っていた。

2.本日届け出を全て済ませてまいりました。亡き父もさぞかし喜んでいることでございましょう。本当にありがとうございました。

3.あなた、今回の長の御旅行、さぞやお疲れでございましょう。簡単に食事を済ませてお休みになられてはいかがですか。

例文1からは外国で病気になって頼る人もなく不安な日々を送っただろうことを切なく思う気持ちが、例文2からは亡くなった父を偲んで訪れた人への感謝の気持ちが、例文3からは長旅での疲れを労う気持ちがそれぞれ読み取れます。

「さぞや」の類義語は?違いは?

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「さぞや」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「どんなに」

「どんなに」は程度についての疑問を表し述語にかかる修飾語として用いられます。具体的な程度については用いられず、最大限の程度を疑問の形を借りて強調して表し、感動の暗示を伴うでしょう。具体的な程度をたずねる場合には「どのくらい」「どれくらい」「どれだけ」などを用いますよ。また「どんなに」は「どれほど」に似ていますが、「どれほど」はややかたい文章語で客観的な表現になっています。なお「さぞや」との違いは「さぞや」は程度がはなはだしいことを推量する様子を表し、推量の表現を伴う述語にかかる修飾語として用いられるという点でしょう。

\次のページで「その2「どれほど」」を解説!/

その2「どれほど」

「どれほど」はだいたいの数量や程度などについての疑問を表すややかたい文章語。客観的な表現で特定の感情を暗示しません。例えば「彼が家を出て行ってから戻って来るまで、どれほどでしたか」は数量についての疑問を表しますよ。また「母にはどれほど感謝してもしたりないくらいだ」は程度についての疑問を表しますが、擬態的な距離・時間・数量・金額・程度についての疑問を表す場合には、日常的には「どのくらい」「どれくらい」「どれだけ」などを用いることが多いです。なお、後者の例文も最大限の程度を疑問の形で表現しているだけで、具体的な程度をたずねているわけではありません。ちなみに「さぞや」との違いは「さぞや」は程度がはなはだしいことを推量する様子を表すという点です。

その3「それはそれは」

「それはそれは」は共感を持って協調する様子を表しますよ。例えば「昔々ある所にそれはそれは美しいお姫様が住んでいました」や「おかげさまで息子が大学に合格しました。それはそれは何よりです」のように述語にかかる修飾語として用いられます。また、主に過去の物事や眼前にない物事の状態について共感をもって強調する場合に用いられますよ。表現としてはやや冷静で話者はそれほど無条件で感動しているわけではありません

ちなみに「まあ、それはそれは」などは感動詞的に用いられた用法で、この場合には驚きや意外・同情などの暗示を伴います。なお「それはそれは」は「それは」に似ていますが、「それは」のほうが共感の程度が低いでしょう。「さぞや」との違いは「さぞや」は程度がはなはだしいことを推量する様子を表すという点です。

「さぞや」の対義語は?

「さぞや」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「たいして」

「たいして」は後ろに打消しの表現を伴って程度がはなはだしくない様子を表し、打消しの表現を伴う述語にかかる修飾語として用いられます。「僕は生魚はたいして好きではない」や「彼の忠告などその時はたいして気にも止めていなかったが、後になって身にしみてわかった」など「たいして…ない」は、程度がはなはだしくないことを軽い侮蔑の暗示を伴って表しますが、低い程度ながら存在するというニュアンスがあるでしょう。したがって、会話などで全部否定を婉曲に表現する場合などには用いられません。この場合には、ふつう非存在を表す「それほど」や客観的な「あまり」を用いることが多いです。

その2「さほど」

「さほど」は後ろに打消しの表現を伴って程度がはなはだしくない様子を表す副詞。例えば「ぼくは野球はさほど好きではありません」や「女子社員が倒れたので課長は救急車を呼べと騒いだが、僕の見るところさほどのことはないようだ」などのように述語または名詞にかかる修飾語として用いられます。とても客観的な表現で特定の感情は暗示しません。また「さほど」は「それほど」「そんなに」や「さして」に似ていますが、「それほど」「そんなに」は程度のはなはだしさを強調するニュアンスで肯定文にも用いられますし、「さして」には対象の程度がはなはだしくないことについて軽い侮蔑の暗示があります。

「さぞや」の英訳は?

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「さぞや」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「さぞや」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

\次のページで「「certainly」」を解説!/

「certainly」

「certainly」は「きっと、疑いなく、さぞかし」という意味です。「certainly After walking such a long distance, you will be tired」で「そんな長い距離を歩いたあとではさぞやお疲れでしょう」、「You may be in trouble if your wallet is dropped certainly」で「財布を落とされてさぞやお困りでしょう」となりますよ。

「さぞや」を使いこなそう

この記事では「さぞや」の意味・使い方・類語などを説明しました。「さぞや」は程度がはなはだしいことを推量する様子を表し、推量の表現を伴う述語にかかる修飾語として用いられる副詞です。また、自分の関係する以外の相手の様子や物の状態などの程度のはなはだしさを推量するというニュアンスがあり、同情の暗示を伴うと解説しましたね。

なお「さぞかし」「さぞや」は自分自身の状態については用いられないので、例えば「第一志望に受かって私はさぞかし嬉しかったことだろう」とはなりません。正しくは「第一志望に受かって私はどんなに嬉しかったことだろう」です。「さぞかし」「さぞや」は公式の発言などによく用いられますので適切な表現を心掛けるようにしましょう。

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国語言葉の意味

「さぞや」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

その2「どれほど」

「どれほど」はだいたいの数量や程度などについての疑問を表すややかたい文章語。客観的な表現で特定の感情を暗示しません。例えば「彼が家を出て行ってから戻って来るまで、どれほどでしたか」は数量についての疑問を表しますよ。また「母にはどれほど感謝してもしたりないくらいだ」は程度についての疑問を表しますが、擬態的な距離・時間・数量・金額・程度についての疑問を表す場合には、日常的には「どのくらい」「どれくらい」「どれだけ」などを用いることが多いです。なお、後者の例文も最大限の程度を疑問の形で表現しているだけで、具体的な程度をたずねているわけではありません。ちなみに「さぞや」との違いは「さぞや」は程度がはなはだしいことを推量する様子を表すという点です。

その3「それはそれは」

「それはそれは」は共感を持って協調する様子を表しますよ。例えば「昔々ある所にそれはそれは美しいお姫様が住んでいました」や「おかげさまで息子が大学に合格しました。それはそれは何よりです」のように述語にかかる修飾語として用いられます。また、主に過去の物事や眼前にない物事の状態について共感をもって強調する場合に用いられますよ。表現としてはやや冷静で話者はそれほど無条件で感動しているわけではありません

ちなみに「まあ、それはそれは」などは感動詞的に用いられた用法で、この場合には驚きや意外・同情などの暗示を伴います。なお「それはそれは」は「それは」に似ていますが、「それは」のほうが共感の程度が低いでしょう。「さぞや」との違いは「さぞや」は程度がはなはだしいことを推量する様子を表すという点です。

「さぞや」の対義語は?

「さぞや」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「たいして」

「たいして」は後ろに打消しの表現を伴って程度がはなはだしくない様子を表し、打消しの表現を伴う述語にかかる修飾語として用いられます。「僕は生魚はたいして好きではない」や「彼の忠告などその時はたいして気にも止めていなかったが、後になって身にしみてわかった」など「たいして…ない」は、程度がはなはだしくないことを軽い侮蔑の暗示を伴って表しますが、低い程度ながら存在するというニュアンスがあるでしょう。したがって、会話などで全部否定を婉曲に表現する場合などには用いられません。この場合には、ふつう非存在を表す「それほど」や客観的な「あまり」を用いることが多いです。

その2「さほど」

「さほど」は後ろに打消しの表現を伴って程度がはなはだしくない様子を表す副詞。例えば「ぼくは野球はさほど好きではありません」や「女子社員が倒れたので課長は救急車を呼べと騒いだが、僕の見るところさほどのことはないようだ」などのように述語または名詞にかかる修飾語として用いられます。とても客観的な表現で特定の感情は暗示しません。また「さほど」は「それほど」「そんなに」や「さして」に似ていますが、「それほど」「そんなに」は程度のはなはだしさを強調するニュアンスで肯定文にも用いられますし、「さして」には対象の程度がはなはだしくないことについて軽い侮蔑の暗示があります。

「さぞや」の英訳は?

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「さぞや」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「さぞや」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

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