この記事では「こんこんと」について解説する。
端的に言えば「こんこんと」の意味は「木質系のものを軽く続けて打つ音、軽い咳を続けてする音、狐の鳴き声、雪やあられがしきりに降るさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「こんこんと」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「こんこんと」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 54332607

それでは早速「こんこんと」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「こんこんと」の意味は?

「こんこんと」には、次のような意味があります。

[1] 〘副〙 (「と」を伴って用いることもある)

① 咳(せき)をする時の声を表わす語。

② キツネの鳴く声を表わす語。

③ 堅いものが打ち当たってたてる音、また、堅い物を打つ音などを表わす語。

④ 雨や雪、あられなどの降るさまを表わす語。

[2] 〘名〙 (その鳴声から) キツネのこと。こんこん様。

出典:コトバンク

「こんこん」は硬い面に小さくて硬いかたまりが連続して衝突する音や様子を表します。また「こんこん」は痰の絡まない乾いた咳が連続して出る音や様子を表しますよ。客観的な表現で特定の感情を暗示しません。ちなみに、痰がからんだ重い湿った咳は「ごほんごほん」や「げほげほ」などで表しますよ。さらに「こんこん」は狐の鳴く声を表します。「お山でこんこんが鳴いてるよ」は狐そのものを表す名詞の用法。客観的な表現で特定の感情を暗示しません。おまけに「こんこん」は雪やあられなどが次々と連続して降る様子を表します

「こんこんと」の語源は?

「こんこんと」はオノマトペなので語源はありませんが、漢字では「昏々」「滾々」「懇々」「渾渾」と書き表します。それではそれぞれの漢字の意味や成り立ちについて説明しましょう。「昏」は物が見えないくらい夜を意味しますし、「滾」は水がぼこぼこと転がるように流れるさまを表します。また「懇」は「心」と心がきれいな意味の音を示す「コン」とを合わせた字。心がきれいでなんの混じりけもないことから「真心」の意味を表します。さらに「渾」は全体がまるくまとまり溶け合っていることを意味しますよ。

\次のページで「「こんこんと」の使い方・例文」を解説!/

「こんこんと」の使い方・例文

「こんこんと」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.毎朝トイレで何時間もマネー関連の投稿ページやグルメ・エンタメ情報誌を読んでいる祖父にしびれを切らして、トイレのドアをこんこんとノックしてみた。

2.やどなしのその女性は長火鉢の端で煙管をこんこん叩き、小娘のような生気で恋愛について語っていた。

3.俺は栓抜きでこんこん叩いてからビールの栓を抜いていた。ふと人の気配を感じて出口に目を転じると、人気ファッションモデルの豊島きほがそこに立っていた。

4.井原先生、西鶴は不孝かもしれないけど火災があった日、俺とあいつは一緒に警察に駆け込んだんだと弁舌をふるった。すると医者は患者の背中を指でこんこんと打診しながらゆっくり口を開いた。

5.夜になると子供がこんこん咳き込むので、熱を測ってみると36度7分と表示されていた。念のため、明日は病院に連れて行こう。

6.「雪やこんこ、あられやこんこ」というフレーズを小さい頃よく耳にした。

例文1~4は実際の音を描写する用法で、単独でまたは「と」が付いて述語にかかる修飾語です。この場合出る音は比較的小さくてこもっているでしょう。また例文5の「こんこん」は痰の絡まない乾いた咳で、「またこんこんが出ちゃったね」は咳そのものを表す名詞の用法です。例文6は客観的な表現で特定の感情を暗示しません。

「こんこんと」の類義語は?違いは?

image by PIXTA / 59659532

「こんこんと」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「かんかん」

「かんかん」は非常に硬くて比較的軽い物の表面に小さくて硬いかたまりが連続して衝突して出る、澄んだ高い音を表します。実際の音を描写する用法で用いることが多く、この場合は叩くとかんかん音がしそうなほど硬いという意味になりますよ。叩かれる面の材質が非常に硬いために音が表面で反射する暗示があるでしょう。なお「こんこんと」との違いは「かんかん」は叩かれる面の材質が非常に硬いために音が表面で反射する暗示があるという点です。

\次のページで「その2「とんとん」」を解説!/

その2「とんとん」

「とんとん」は軽い物が連続して衝突する音や様子を表します。実際の音を描写する用法でも、単独でまたは「と」が付いて述語にかかる修飾語として用いられますよ。また材質がそれほど硬くなく、ぶつかり方もさほど強くないために音が吸収されているニュアンスで、身軽さと衝撃の暗示があります。この「とんとん」は「どんどん」に似ていますが、「どんどん」のほうが主体の重量があり衝撃の暗示が強くなりますよ。ちなみに「こんこんと」との違いは「とんとん」は材質がそれほど硬くないか、または叩き方が弱いために音が吸収されている暗示があるという点です。

「こんこんと」の対義語は?

「こんこんと」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「がんがん」

「がんがん」は硬くて重い物が連続して強く衝突する音や様子を表しますよ。例えば「ドラム缶をがんがんと叩く」や「トンネル内にがんがんいう音が響き渡った」は実際の音を描写する用法です。また「本番間近は心臓ががんがん鳴って破裂しそうだ」「男は鍵のかかったドアにがんがん体当たりした」「ホームランをがんがんとかっとばす」などは単独でまたは「と」が付いて述語にかかる修飾語になりますよ。出る音は非常に大きく騒音で、音を出す主体の乱暴・無造作の暗示、音を聞く者の衝撃と不快の暗示があるでしょう。

その2「どんどん」

「どんどん」は重い物が連続して衝突する音や様子を表します。実際の音を描写する用法でも、単独でまたは「と」が付いて述語にかかる修飾語としても用いられますよ。「彼は胸をどんどんと叩いて悔しがった」や「社長は不機嫌そうに机をどんどん蹴飛ばした」は重い物が連続して衝突したり重い物で叩いたりする音や様子を表します。また、様子を表す場合には重量と不快・深刻の暗示を持つことがありますよ。この「どんどん」は「とんとん」に似ていますが、「とんとん」のほうが主体が軽く音も軽いでしょう。

「こんこんと」の英訳は?

image by PIXTA / 58468649

「こんこんと」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「こんこんと」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

「gush out」

「gush out」は「こんこんと湧き出る」という意味です。「Water is gushing out of the spring」で「泉からはこんこんと水が湧き出ている」、「This is the place where the groundwater springs up」で「ここは地下水がこんこんと湧き出る場所だ」と訳すことができますよ。

\次のページで「「こんこんと」を使いこなそう」を解説!/

「こんこんと」を使いこなそう

この記事では「こんこんと」の意味・使い方・類語などを説明しました。「こんこんと」は硬い面に小さくて硬いかたまりが連続して衝突する音や様子、痰の絡まない乾いた咳が連続して出る音や様子、雪やあられなどが次々と連続して降る様子、さらに狐の鳴く声を表す擬態語だと解説しましたね。

ちなみに、他に「こんこんと」の形で述語にかかる修飾語になる語には、漢語を起源とする次の語があります。非常に深い眠りについている様子を表す「昏々」清らかな水などが次々にあふれ出る様子を表す「滾々」落ち着いて丁寧に教え諭す様子を表す「懇々」などです。参考にしてくださいね。

" /> 「こんこんと」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

「こんこんと」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「こんこんと」について解説する。
端的に言えば「こんこんと」の意味は「木質系のものを軽く続けて打つ音、軽い咳を続けてする音、狐の鳴き声、雪やあられがしきりに降るさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「こんこんと」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「こんこんと」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 54332607

それでは早速「こんこんと」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「こんこんと」の意味は?

「こんこんと」には、次のような意味があります。

[1] 〘副〙 (「と」を伴って用いることもある)

① 咳(せき)をする時の声を表わす語。

② キツネの鳴く声を表わす語。

③ 堅いものが打ち当たってたてる音、また、堅い物を打つ音などを表わす語。

④ 雨や雪、あられなどの降るさまを表わす語。

[2] 〘名〙 (その鳴声から) キツネのこと。こんこん様。

出典:コトバンク

「こんこん」は硬い面に小さくて硬いかたまりが連続して衝突する音や様子を表します。また「こんこん」は痰の絡まない乾いた咳が連続して出る音や様子を表しますよ。客観的な表現で特定の感情を暗示しません。ちなみに、痰がからんだ重い湿った咳は「ごほんごほん」や「げほげほ」などで表しますよ。さらに「こんこん」は狐の鳴く声を表します。「お山でこんこんが鳴いてるよ」は狐そのものを表す名詞の用法。客観的な表現で特定の感情を暗示しません。おまけに「こんこん」は雪やあられなどが次々と連続して降る様子を表します

「こんこんと」の語源は?

「こんこんと」はオノマトペなので語源はありませんが、漢字では「昏々」「滾々」「懇々」「渾渾」と書き表します。それではそれぞれの漢字の意味や成り立ちについて説明しましょう。「昏」は物が見えないくらい夜を意味しますし、「滾」は水がぼこぼこと転がるように流れるさまを表します。また「懇」は「心」と心がきれいな意味の音を示す「コン」とを合わせた字。心がきれいでなんの混じりけもないことから「真心」の意味を表します。さらに「渾」は全体がまるくまとまり溶け合っていることを意味しますよ。

\次のページで「「こんこんと」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: