この記事では「ひとしきり」について解説する。
端的に言えば「ひとしきり」の意味は「しばらくの間、盛んであるさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「ひとしきり」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「ひとしきり」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「ひとしきり」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ひとしきり」の意味は?

「ひとしきり」には、次のような意味があります。

〘名〙 ある時を中心として、その前後のまとまった時間。しばらくの間。多く、その間に集中して起こる事態を述べるのに用いる。ひとっきり。

出典:コトバンク

「ひとしきり」はある時間の幅だけ盛んである様子を表します。ある時間の幅だけ物事が盛んにおこなわれ、そのあと衰えてしまうという文脈で用いられますよ。過去についても未来についても用いられますが、「ひとしきり」の指す時間の幅はあまり長くなく、話者の感覚としてはしばしば短時間である暗示があります

「ひとしきり」の語源は?

次に「ひとしきり」の語源を確認しておきましょう。「ひとしきり」は「一齣(ひとくさり)」から派生した言葉です。一齣は謡い物・語り物などのまとまった一部分を意味します。そこから転じてある話題についてひとしきり話すことを「ひとくさり」と言うようになりました。ちなみに漢字では「ひとしきり」は「一頻り」と書きます。

\次のページで「「ひとしきり」の使い方・例文」を解説!/

「ひとしきり」の使い方・例文

「ひとしきり」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.番犬はひとしきり吠えると小屋にもぐりこんだ。「ひところはすこしの音でもすべてに反応して毎日のように吠えていたのよ。このあいだはしかりつけたい衝動に駆られたけど我慢したわ」

2.ペンションまでツーリングしていた矢先、夕立がひとしきり降った。季節がらそのあとは急に涼しくなった。

3.「こんな経営ではひとしきりはやってもすぐに客が来なくなるぞ。場合によっては何かほかのおすすめサービスをお知らせしてもっと魅力を伝えた方がいい」

「ひとしきり」は述語にかかる修飾語として用いられます。ややくだけた表現でかたい文章中にはあまり登場しません。例文1からは番犬が昼夜問わず吠え立てるので飼い主がうんざりしている様子が伺えますし、例文2からは夕立にあったことが読み取れますね。また、例文3からは今は売り上げが伸びて順調だが、この先が危ぶまれるので対策を考えろと助言されていることが分かります。

「ひとしきり」の類義語は?違いは?

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「ひとしきり」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「しばらく」

「しばらく」はある時間の幅を表し、「しばらくして」「ここしばらく」などの連語となって述語にかかる修飾語として用いられます。「しばらく」が表す時間の幅は主観的で実際の時間の隔たりには幅があり数分から数年に及びますが、心理的に「しばし」「暫時」よりは長い時間で、「久しく」などよりは短いことが暗示されますよ。また「しばらく」は現在の問題を先送りする様子を表し問題の解決を今すぐせず、ある程度時間をおいた将来にゆだねるという意味で用いられます。客観的な表現で特定の感情を暗示しません。なお「ひとしきり」との違いは「ひとしきり」はある時間の幅だけ盛んである様子を表すという点です。

\次のページで「その2「ひとわたり」」を解説!/

その2「ひとわたり」

「ひとわたり」は全体を通して行い区切りをつける様子を表し、述語にかかる修飾語として用いられます。全体を順に見渡して大雑把に行い、一区切りをつけるというニュアンスがあり、客観的な表現で特定の感情を暗示しません。また「ひとわたり」は「ひととおり」や「ひとしきり」に似ていますが、「ひととおり」は最初から最後まで順に行って暫定的に完結させるというニュアンスがありますし、「ひとしきり」はある時間の幅だけ盛んである様子を表し、全体を見渡す暗示はありません。ちなみに「ひとしきり」との違いは「ひとしきり」はある時間の幅だけ物事が盛んにおこなわれ、そのあと衰えてしまうという文脈で用いられる点でしょう。

その3「ひととおり」

「ひととおり」は最初から最後まで順に行って暫定的に完結させる様子を表す副詞です。最初から最後まで完結してはいますが完璧さの暗示がなく、暫定的に完結させたとうニュアンスがありますよ。そのため通常・尋常の程度には達していて不足はないのですが、必ずしも満足すべき程度にまで達しているという保証はありません。例えば「お嬢さん、生花の師範なんですって?」「ええ、ひととおりは習わせました」などは師範であるからには客観的に不足はないが、母親の自分の目から見ればまだまだ十分でないという謙遜の暗示がこもります。ちなみに「ひとしきり」との違いは「ひとしきり」は過去についても未来についても用いられるという点です。

「ひとしきり」の対義語は?

「ひとしきり」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「いつまでも」

「いつまでも」は非常に長く続く様子を表し、述語にかかる修飾語として用いられます。時間が長く経過することを誇張的に表すニュアンスがあり、永久にという意味になりますよ。「いつまでもあると思うな親と金」はことわざで、親と金は永久に手元にあるわけではない、いつかはなくなってしまうものだという意味です。なお「いつまでも」には行為の終了時間や継続時間についての疑問の意味はありません

その2「ずっと」

「ずっと」は時間的・空間的に継続している様子を表し、述語にかかる修飾語として用いられます。例えば「三日前から雨がずっと降り続いている」は時間的に同じ状態が継続しているという意味、「坂の上から下まで桜並木がずっと続いている」は空間的に継続しているという意味です。とても客観的な表現で、同じ状態が継続することについて特定の感情は暗示されていません。

「ひとしきり」の英訳は?

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「ひとしきり」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「ひとしきり」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

\次のページで「「for a while」」を解説!/

「for a while」

「for a while」は「しばらくの間、ひとしきり」という意味です。「It rained for a while and wet the road surface」で「雨がひとしきり降って路面を濡らした」、「The cat screams for a while and begged for food」で「猫はひとしきり鳴いて餌をねだった」と訳すことができますよ。

「ひとしきり」を使いこなそう

この記事では「ひとしきり」の意味・使い方・類語などを説明しました。「ひとしきり」はある時間の幅だけ物事が盛んにおこなわれ、そのあと衰えてしまうという文脈で用いられる表現。「ひとしきり」の指す時間の幅はあまり長くなく、話者の感覚としてはしばしば短時間である暗示があると解説しましたね。また時間の幅を表す語としては他に「しばらく」がありますが、「しばらく」の指す時間の幅は非常に漠然としており、その時間の幅だけ盛んであるという意味はありません。この違いをしっかり理解しておきましょう。

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国語言葉の意味

「ひとしきり」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「ひとしきり」について解説する。
端的に言えば「ひとしきり」の意味は「しばらくの間、盛んであるさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「ひとしきり」の意味や例文、類語などを見ていきます。

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仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「ひとしきり」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「ひとしきり」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ひとしきり」の意味は?

「ひとしきり」には、次のような意味があります。

〘名〙 ある時を中心として、その前後のまとまった時間。しばらくの間。多く、その間に集中して起こる事態を述べるのに用いる。ひとっきり。

出典:コトバンク

「ひとしきり」はある時間の幅だけ盛んである様子を表します。ある時間の幅だけ物事が盛んにおこなわれ、そのあと衰えてしまうという文脈で用いられますよ。過去についても未来についても用いられますが、「ひとしきり」の指す時間の幅はあまり長くなく、話者の感覚としてはしばしば短時間である暗示があります

「ひとしきり」の語源は?

次に「ひとしきり」の語源を確認しておきましょう。「ひとしきり」は「一齣(ひとくさり)」から派生した言葉です。一齣は謡い物・語り物などのまとまった一部分を意味します。そこから転じてある話題についてひとしきり話すことを「ひとくさり」と言うようになりました。ちなみに漢字では「ひとしきり」は「一頻り」と書きます。

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