この記事では「しれっと」について解説する。
端的に言えば「しれっと」の意味は「他からの働きかけにも動ぜず平然としているさま。何事もなかったかの如く振舞うさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「しれっと」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「しれっと」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「しれっと」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「しれっと」の意味は?

「しれっと」には、次のような意味があります。

〘副〙 物に動じないさま、けろっとして何も問題にするものはないという態度であるさま、また、何事もなかったように厚かましくふるまうさまを表わす語。

出典:コトバンク

「しれっと」は平然として感情を顔に表さない様子を表します。また、客観的に見て重大なことについて当事者である主体が感情を顔に表さない様子を表しますよ。重大なことはよい場合も悪い場合もありますが、不敵さと見る者のあきれの暗示があるでしょう。

「しれっと」の語源は?

次に「しれっと」の語源を確認しておきましょう。漢字で「しれっと」は「痴れっと」と書きます。それでは「痴」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「痴」は病気を表す「やまいだれ」と遅い意味の音を示す「疑」とを合わせた字。知恵が止まって進まない病気、つまり「おろか」の意味を表します。

\次のページで「「しれっと」の使い方・例文」を解説!/

「しれっと」の使い方・例文

「しれっと」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.最近の女子高生は何度先生に遅刻を注意されてもしれっとしているばかりか、何食わぬ顔で授業を受けている。

2.社長の許諾なしにお客様の番号を持ち出すなんて、彼女はしれっとした顔ですごいことをやる。

3.妹は刑事の追及の質問にもしれっと回答した。受け答えしている妹の表情や素振りには余裕さえ感じられた。

ここでは「しれっと」の用法について説明しましょう。例文1は「…としている」が付いて述語、例文2は「…とした」が付いて名詞にかかる修飾語、例文3は述語にかかる修飾語になります。

「しれっと」の類義語は?違いは?

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「しれっと」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「けろっと」

「けろっと」は平然として悪い影響を受けない様子を表しますよ。主体が過去の重大な事柄を軽視して少しも影響されることなく平然としている様子を、意外・あきれの暗示を伴って述べます。また「けろっと」は急激な変化が起こる様子をも表しますよ。状態がはなはだしく変化することについて主体が重大に考えていない軽視の暗示を伴うでしょう。この「けろっと」は「ころっと」に似ていますが、「ころっと」はあっけなさ、物足りなさ・軽薄・狡猾の暗示をもつことはありますが、軽視の暗示はありません。「しれっと」との違いは「しれっと」は平然として感情を顔に表さない様子を表すという点です。

\次のページで「その2「あつかましい」」を解説!/

その2「あつかましい」

「あつかましい」は恥じる気持ちや遠慮がなく、人の迷惑をかまわず行動するのを不快に思う様子を表し、その行為を受ける側、あるいは見る側の不快感を表す語です。行為自体の無遠慮さには関係しません。また「あつかましいお願いで恐縮ですが」はほとんど慣用句となった言い方で、人にものを頼むときの前置きです。「すみませんが」や「もうしわけありませんが」などと全く同じ意味をもち、本当に自分で自分の行為を無遠慮だと思っているかどうかには関係しません

なお「あつかましい」は「ずうずうしい」に似ていますが、「ずうずうしい」のほうがやや客観的で他人の行為について用いることが多く、行為の無遠慮ぶりがより強調されるのに対して、「あつかましい」の不快感にはあきれや怒りの暗示のある点が異なります。全く同じ文脈で「あつかましい」と「ずうずうしい」が用いられると、ニュアンスの違いを生じますよ。ちなみに「しれっと」との違いは恥じる気持ちや遠慮がなく、人の迷惑をかまわず行動するのを不快に思う様子を表すという点でしょう。

その3「ずうずうしい」

「ずうずうしい」は恥じる気持ちや遠慮がなく、人の迷惑をかまわずに行動する様子を表します。「ずうずうしい」は「あつかましい」に似ていますが、「あつかましい」より客観的な表現で、他人の無遠慮な行為が第三者の目から見て不快に見えるというニュアンスを持ち、自分の行為について用いることは少ないでしょう。また「おくめんもない」にも似ていますが、「おくめんもない」はさらに客観的な表現で、「ずうずうしい」にある被害者意識は暗示されていない点が異なります。ちなみに「しれっと」との違いは、「しれっと」は客観的に見て重大なことについて当事者である主体が感情を顔に表さない様子を表すという点。

「しれっと」の対義語は?

「しれっと」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「律儀」

「律儀」は世間の常識に忠実に従う様子を表します。世間の常識とは社会生活を正常に営むための規範ですが、必ずすべての人が厳格に遵守しているわけではありません。「律儀」はそういう世間の常識を厳格に遵守する人の性質や行動を評する語で、厳格に遵守していない立場から見た感心の暗示があります。また、実際の行動に際しては一つ一つ丁寧にこなすという暗示がありますよ

世間の常識を遵守するという意味で「律儀」は「義理堅い」に似ていますが、「義理堅い」は他人との人間関係を尊重する姿勢に限定するニュアンスがあり、行動一般に表れる規範意識は暗示しません。また、行動に規範意識が表れている点で「律儀」は「まじめ」にも似ていますが、「まじめ」には全力で真正面からぶつかる誠意の暗示があるのに対して、「律儀」は世間の常識に従う暗示があり、個人の意思に基づく行動については用いられません

その2「義理堅い」

「義理堅い」は人と人との交流を大切にしている様子を表します。「義理」は日本文化に特有の語で、肉親以外の他人から恩を受けること、他人の恩を返さずに負ったままでいることを「義理がある」と言いますよ。このような他人からの恩に報いること「義理を返す」ことであり、義理を返すことによって人と人との関係をスムーズに保つことができると日本人は考えています。

日本文化においては、他人との人間関係(つまり社会的な人間関係)が個人の希望に優先するので、何をおいても他人の恩に報いることが要求され、それを果たすことによって初めて一人前の社会的人間として認められることになりますよ。また「義理堅い」は「律儀」に似ていますが、「律儀」が一つ一つの行為について真面目で模範的であるというニュアンスがあるのに対して、「義理堅い」はある行為から伺われるその人の人間関係を尊重する姿勢を評した語である点が異なります。

「しれっと」の英訳は?

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「しれっと」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「しれっと」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

\次のページで「「nonchalantly」」を解説!/

「nonchalantly」

「nonchalantly」は「何食わぬ顔で、平気で、しれっと」という意味です。「He may be warned of being late nonchalantly」で「彼は遅刻を注意されてもしれっとしている」、「She says awesome with a sly face」で「彼女はしれっとした顔ですごいことを言う」となりますよ。

「しれっと」を使いこなそう

この記事では「しれっと」の意味・使い方・類語などを説明しました。「しれっと」は客観的に見て重大なことについて当事者である主体が感情を顔に表さない様子を表し、不敵さと見る者のあきれの暗示があるでしょう。また「しれっと」は「けろっと」に似ていますが、「けろっと」は平然として悪い影響を受けない様子を表し、よい事態の場合にはふつう用いません

そのため「鈴木はけろっとした顔ですごいことをやる」などは間違った用法です。なお「遅刻を注意されてもしれっとしている」は「反省している様子が全然見えない」、「遅刻を注意されてもけろっとしている」は「悪いことだと思っていないようだ」というニュアンスになりますよ。それぞれのニュアンスの違いをしっかり覚えておきましょう。

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国語言葉の意味

「しれっと」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

その2「あつかましい」

「あつかましい」は恥じる気持ちや遠慮がなく、人の迷惑をかまわず行動するのを不快に思う様子を表し、その行為を受ける側、あるいは見る側の不快感を表す語です。行為自体の無遠慮さには関係しません。また「あつかましいお願いで恐縮ですが」はほとんど慣用句となった言い方で、人にものを頼むときの前置きです。「すみませんが」や「もうしわけありませんが」などと全く同じ意味をもち、本当に自分で自分の行為を無遠慮だと思っているかどうかには関係しません

なお「あつかましい」は「ずうずうしい」に似ていますが、「ずうずうしい」のほうがやや客観的で他人の行為について用いることが多く、行為の無遠慮ぶりがより強調されるのに対して、「あつかましい」の不快感にはあきれや怒りの暗示のある点が異なります。全く同じ文脈で「あつかましい」と「ずうずうしい」が用いられると、ニュアンスの違いを生じますよ。ちなみに「しれっと」との違いは恥じる気持ちや遠慮がなく、人の迷惑をかまわず行動するのを不快に思う様子を表すという点でしょう。

その3「ずうずうしい」

「ずうずうしい」は恥じる気持ちや遠慮がなく、人の迷惑をかまわずに行動する様子を表します。「ずうずうしい」は「あつかましい」に似ていますが、「あつかましい」より客観的な表現で、他人の無遠慮な行為が第三者の目から見て不快に見えるというニュアンスを持ち、自分の行為について用いることは少ないでしょう。また「おくめんもない」にも似ていますが、「おくめんもない」はさらに客観的な表現で、「ずうずうしい」にある被害者意識は暗示されていない点が異なります。ちなみに「しれっと」との違いは、「しれっと」は客観的に見て重大なことについて当事者である主体が感情を顔に表さない様子を表すという点。

「しれっと」の対義語は?

「しれっと」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「律儀」

「律儀」は世間の常識に忠実に従う様子を表します。世間の常識とは社会生活を正常に営むための規範ですが、必ずすべての人が厳格に遵守しているわけではありません。「律儀」はそういう世間の常識を厳格に遵守する人の性質や行動を評する語で、厳格に遵守していない立場から見た感心の暗示があります。また、実際の行動に際しては一つ一つ丁寧にこなすという暗示がありますよ

世間の常識を遵守するという意味で「律儀」は「義理堅い」に似ていますが、「義理堅い」は他人との人間関係を尊重する姿勢に限定するニュアンスがあり、行動一般に表れる規範意識は暗示しません。また、行動に規範意識が表れている点で「律儀」は「まじめ」にも似ていますが、「まじめ」には全力で真正面からぶつかる誠意の暗示があるのに対して、「律儀」は世間の常識に従う暗示があり、個人の意思に基づく行動については用いられません

その2「義理堅い」

「義理堅い」は人と人との交流を大切にしている様子を表します。「義理」は日本文化に特有の語で、肉親以外の他人から恩を受けること、他人の恩を返さずに負ったままでいることを「義理がある」と言いますよ。このような他人からの恩に報いること「義理を返す」ことであり、義理を返すことによって人と人との関係をスムーズに保つことができると日本人は考えています。

日本文化においては、他人との人間関係(つまり社会的な人間関係)が個人の希望に優先するので、何をおいても他人の恩に報いることが要求され、それを果たすことによって初めて一人前の社会的人間として認められることになりますよ。また「義理堅い」は「律儀」に似ていますが、「律儀」が一つ一つの行為について真面目で模範的であるというニュアンスがあるのに対して、「義理堅い」はある行為から伺われるその人の人間関係を尊重する姿勢を評した語である点が異なります。

「しれっと」の英訳は?

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「しれっと」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「しれっと」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

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