その2「やたらめったら」
「やたらめったら」は程度がはなはだしいことを誇張する様子を表す副詞。くだけた表現で日常会話でのみ用いられますよ。また「やたら」をさらに誇張した意味ですが慨嘆の暗示があり、無条件に好ましい事柄についてはふつう用いられません。「ハルビンの駅に降りたらさ、これがやたらめったらに寒くってじっとしてられないんだ」など述語にかかる修飾語として用いられます。「やたらめったら」は「めったやたら」によく似ていますが、「めったやたら」は名詞にかかる修飾語の場合には分別がないことを強調する様子を表し、話者の危惧と慎重さが暗示されます。なお、好ましいことについて用いた場合には対象を評価するというニュアンスになります。ちなみに「べらぼう」との違いは「べらぼう」は単に程度を誇張する場合には通常の程度をはなはだしく超えている様子を表すという点です。
その3「とてつもない」
「とてつもない」は常識に外れるほど程度がはなはだしい様子を表しますよ。例えば「今年はとてつもなく大きいカボチャが採れた」「組合の要求はとてつもない金額だった」など程度が非常に高いことを誇張的に表しますが、特定の感情は含まれていない点があきれや驚きの暗示を含む「突拍子もない」、対応の仕方がわからない放心やあきらめの暗示を含む「とほうもない」、慨嘆や怒りの暗示を含む「とんでもない」と異なります。ちなみに「べらぼう」との違いは「べらぼう」は好ましくない事柄について用いることが多いという点です。
「べらぼう」の対義語は?
「べらぼう」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。
その1「こころもち」
「こころもち」は程度が非常に少ない様子を表し、「こころもち右に寄ってくれないか」「彼女は左目が右目よりこころもち大きい」など状態を表す語にかかる修飾語として用いられます。ややかたい文章語で公式の発言などによく用いられますよ。「ほんの少し」という意味ですが、客観的に計量できるような程度は意味せず、話者の主観で感覚的に程度が非常に少ないというニュアンスで用いられます。
その2「少ししか」
「少ししか」は後ろに打消しの表現を伴って数量や程度が少ないことを慨嘆する様子を表しますよ。例えば「現場はここから少ししか離れていないらしい」「彼女は歌を習い始めて五年も経つのに少ししか進歩していない」など、打消しの表現を伴う述語にかかる修飾語として用いられます。数量や程度があまり多くは存在しないことについて慨嘆のニュアンスがあり、もっと多くてもいいのにという話者の判断を暗示するでしょう。ただし、数量や程度の存在そのものは認める暗示がある点で「少ない」とは異なります。
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