この記事では「ひっきりなし」について解説する。
端的に言えば「ひっきりなし」の意味は「絶え間なく続くさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「ひっきりなし」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「ひっきりなし」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「ひっきりなし」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ひっきりなし」の意味は?

「ひっきりなし」には、次のような意味があります。

[形動]絶え間なく続くさま。切れ目のないさま。「引っ切り無しに人が通る」「引っ切り無しに電話が鳴る」

出典:Weblio 辞書

「ひっきりなし」は動作や行為の頻度が非常に高い様子を表します。ややくだけた表現でかたい文章中にはあまり登場しません。また実際の動作や行為の頻度が高く、しばしば切れ目がないというニュアンスで話者の慨嘆の暗示がこもります

「ひっきりなし」の語源は?

次に「ひっきりなし」の語源を確認しておきましょう。漢字で「ひっきりなし」は「引っ切り無し」と書きます。それではそれぞれの漢字の成り立ちに付いて説明しましょう。「無」は割愛しますね。「引」は「弓」と引っ張る意味の音を示す「イン」とを合わせた字。弓の弦を「ひく」意味を表します。また「切」は「刀」と二つに切る意味の音を示す「セツ」とを合わせた字。刀で「きる」意味を表しますよ。

\次のページで「「ひっきりなし」の使い方・例文」を解説!/

「ひっきりなし」の使い方・例文

「ひっきりなし」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.今日は朝からでんわがひっきりなしだからで、あなた達は状況を見てフォローに回って。業務の支障になるほど連続して電話がかかってくるようだったら、自動音声が再生される機能に設定すること。

2.引っ越した家の前の道路は車がひっきりなしに通る。そこはオススメの物件でなお且つしごと場からも近いのでその点に目をつぶれば本当に理想的だ。

3.兄は母のひっきりなしの小言を受け流す。のべつ幕なしにことばを投げかけてくる母を簡単にやり過ごす方法は話題を変えることだと兄は言っていた。

4.雪は一日中ひっきりなしに降り続いた。アメリカでこれほどまで降る雪を見たのはこれまでの人生においてはじめてのことだった。

ここでは「ひっきりなし」の用法について説明しましょう。例文1は述語、例文2と例文4は述語にかかる修飾語、例文3は名詞にかかる修飾語の用法です。また例文1~3が基本的な頻度を表す用法で、例文4はこれから進んで切れ目なく継続する様子を表しますよ。

「ひっきりなし」の類義語は?違いは?

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「ひっきりなし」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「いれかわりたちかわり」

「いれかわりたちかわり」は大勢の人間が次々に姿を現す様子を表す副詞「来る・現れる」など出現を表す動詞にかかる修飾語として用いられます。例えば「その店には客がいれかわりたちかわりやって来る」「ファッションショーでは素人のモデルがいれかわりたちかわり現れてお客の目を引いた」など人間の出現の頻度が高いことを表しますが、複数の人間が交代して出現するという暗示があり、一人の人間の頻繁な出入りや出現以外の行動についてはふつう用いられません。ちなみに「ひっきりなし」との違いは「ひっきりなし」は動作や行為の頻度が非常に高い様子を表すという点です。

\次のページで「その2「しろくじちゅう」」を解説!/

その2「しろくじちゅう」

「しろくじちゅう」は動作や行為の頻度が非常に高く切れ目がないことを誇張する様子を表し、述語にかかる修飾語として用いられます。例えば「彼女は夫のことをしろくじちゅう心配している」「うちの部長はしろくじちゅう怒ってばかりいる」などややくだけた表現で日常会話中心に用いられ、かたい文章中にはあまり登場しません。動作や行為の頻度が非常に高いのでほとんど切れ目がなく持続的に感じられる点にポイントがあり、誇張的なニュアンスがあるでしょう。

また「しろくじちゅう」は「しじゅう」や「しょっちゅう」に似ていますが、「しじゅう」のほうが冷静で誇張の暗示はありませんし、「しょっちゅう」は高い頻度を慨嘆の暗示を伴って表し切れ目のない持続の暗示はありません。なお「ひっきりなし」との違いは「ひっきりなし」はしばしば切れ目がないというニュアンスで話者の慨嘆の暗示がこもるという点です。

その3「しょっちゅう」

「しょっちゅう」は動作や行為の頻度が非常に高い様子を表しますよ。とてもくだけた表現で日常会話中心に用いられ、かたい文章中にはあまり登場しません。また動作や行為の頻度が非常に高いことを表し、しばしば慨嘆の暗示を伴うでしょう。例えば「こんな名文にはそうしょっちゅうはお目にかかれないものだ」は後ろに打消しを伴って目にする機会が少ない、珍しくて貴重だという意味です。

なお「しょっちゅう」は「しじゅう」に似ていますが、「しじゅう」は動作や行為に切れ目がない様子を表し継続の暗示があります。また「しょっちゅう」は「しばしば」「しきりに」「ひっきりなしに」などに似ていますが、「しばしば」「しきりに」は「しょっちゅう」よりも頻度が低く慨嘆などの暗示はなくて客観的ですし、「ひっきりなしに」は実際の行為が頻繁に反復される様子を暗示し一般的な傾向は表さないでしょう。

「ひっきりなし」の対義語は?

「ひっきりなし」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「ときどき」

「ときどき」は頻度が少なくない様子を表す副詞。「寒くなるとときどき思い出したように古傷が痛む」「ときどきは窓を開けて空気を入れ換えなさい」など述語にかかる修飾語として用いられますよ。頻度は「ときおり」「ときたま」「たまに」よりも高く、「しばしば」「たびたび」「しょっちゅう」「しろくじちゅう」よりも低いです。例文のように主体の関知できない物事についても意図的な行為についても用いられますよ。また客観的な表現で頻度が少なくないことについて特定の感情を暗示しません。「ときどき」は「おりおり」に似ていますが、「おりおり」はとてもかたい文章語で日常会話にはあまり登場しません。

その2「ときたま」

「ときたま」は頻度が非常に少ない様子を表します。「その線路はほんのときたまローカル線が通るだけで、あとは猫の散歩道になっている」など述語にかかる修飾語として用いることが多いですが、述語部分を省略することもありますよ。また「ほんのときたま」は「ときたま」をさらに誇張したややくだけた表現で日常会話中心に用いられます頻度が非常に少なく滅多に同じようなことが起こらない様子を気軽さの暗示を伴って表すでしょう。なお、頻度を表す語としては他に「ときどき」「ときおり」「たまに」などがありますが、「ときどき」は「ときたま」より頻度が高いですし、「ときおり」はややかたい文章語で主体の意図的な行為についてはあまり用いられません。そして「たまに」は価値の暗示があります。

「ひっきりなし」の英訳は?

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「ひっきりなし」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「ひっきりなし」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

\次のページで「「continuous」」を解説!/

「continuous」

「continuous」は「ひっきりなし、絶え間のない」という意味です。「One after another, visitors are constantly arriving」で「次々と絶え間なく訪問客がやってくる」、「I can hear the noise constantly」で「ひっきりなしに騒音が聞こえる」と訳すことができますよ。

「ひっきりなし」を使いこなそう

この記事では「ひっきりなし」の意味・使い方・類語などを説明しました。「ひっきりなし」は動作や行為の頻度が非常に高い様子を表す副詞。実際の動作や行為の頻度が高く、しばしば切れ目がないというニュアンスで話者の慨嘆の暗示がこもると解説しましたね。また「ひっきりなし」は「しきりに」「しじゅう」「しょっちゅう」などに似ていますが、「しきりに」は「ひっきりなし」より頻度が低くとても客観的で特定の感情を暗示しませんし、「しじゅう」は全体の傾向として常に継続している暗示があるでしょう。そして「しょっちゅう」はとてもくだけた表現で、頻度が高いだけでなく一般的な傾向を表す意味もあります。それぞれのニュアンスの違いを正しく理解しましょう。

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国語言葉の意味

「ひっきりなし」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「ひっきりなし」について解説する。
端的に言えば「ひっきりなし」の意味は「絶え間なく続くさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「ひっきりなし」の意味や例文、類語などを見ていきます。

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仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「ひっきりなし」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「ひっきりなし」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ひっきりなし」の意味は?

「ひっきりなし」には、次のような意味があります。

[形動]絶え間なく続くさま。切れ目のないさま。「引っ切り無しに人が通る」「引っ切り無しに電話が鳴る」

出典:Weblio 辞書

「ひっきりなし」は動作や行為の頻度が非常に高い様子を表します。ややくだけた表現でかたい文章中にはあまり登場しません。また実際の動作や行為の頻度が高く、しばしば切れ目がないというニュアンスで話者の慨嘆の暗示がこもります

「ひっきりなし」の語源は?

次に「ひっきりなし」の語源を確認しておきましょう。漢字で「ひっきりなし」は「引っ切り無し」と書きます。それではそれぞれの漢字の成り立ちに付いて説明しましょう。「無」は割愛しますね。「引」は「弓」と引っ張る意味の音を示す「イン」とを合わせた字。弓の弦を「ひく」意味を表します。また「切」は「刀」と二つに切る意味の音を示す「セツ」とを合わせた字。刀で「きる」意味を表しますよ。

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