この記事では「どさくさ」について解説する。
端的に言えば「どさくさ」の意味は「取り込んで騒々しいさま、混雑」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「どさくさ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「どさくさ」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「どさくさ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「どさくさ」の意味は?

「どさくさ」には、次のような意味があります。

[名]突然の出来事や急用などのため混乱している状態。「どさくさにまぎれて逃げ出す」

[副](スル) ごたごたして落ち着きを失っているさま。「引っ越しでどさくさしている」

出典:コトバンク

「どさくさ」は混乱している様子を表し困惑の暗示がありますよ。また、主体が混乱した状態の中で好ましくない事態・事件が起こったという場合に用いられることが多いです。

「どさくさ」の語源は?

次に「どさくさ」の語源を確認しておきましょう。「どさくさ」は「どさを食った」から派生した言葉です。「どさ」に漢字はありませんので「食」の漢字の成り立ちに付いて説明しましょう。「食」は器に食べ物をもった形の「こんづくり」とかみ砕く意味の音を示す「ショク」とを合わせた字。器に盛られた食べ物をかみ砕くこと、つまり「たべる」意味を表します。

\次のページで「「どさくさ」の使い方・例文」を解説!/

「どさくさ」の使い方・例文

「どさくさ」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.引っ越しのどさくさで大事な国語辞典をなくしてしまった。自分が悪いのは分かっていても気持ちが沈んだ。たくさんの物をもとの家から運び出す際に急いでダンボールにしまったのがいけなかった。

2.そこで古老は過去を振り返り語りだした。終戦後の日本はどさくさに紛れて闇市で大もうけする奴もいた。とりわけ品川街道沿いは盛んでな、みな隠語でやりとりをしていたもんだ。兄の鉱夫は浅草の方で糊口をしのいでいたらしい。

3.王島、どさくさまぎれに逃げようたってだめだぞ。不利な状況に立たされた彼は怯んだ表情で少し後ずさりした。

ここでは「どさくさ」の用法について説明しましょう。例文1と例文2は名詞の用法、例文3は「どさくさ紛れ」の形で名詞を作りますよ。

「どさくさ」の類義語は?違いは?

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「どさくさ」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「騒々しい」

「騒々しい」は事件などが起こって落ち着かない様子を表します。ただし、この用法は非常に限定されていて「時々刻々とかわる事件の推移に世間がなんとなくそうぞうしい」などのように「世の中が…」というような形か、「どうもそうぞうしいことで」のように慣用句となったあいさつ語の形でのみ用いられ、述語にかかる修飾語の形ではあまり用いられません。また、落ち着かない様子を表す場合にはふつうは「騒がしい」のほうがよく用いられます。「騒々しい」は「うるさい」や「やかましい」にも似ていますが、「うるさい」「やかましい」が音の性質によらず不快であることを暗示する点が異なりますよ。なお「どさくさ」との違いは「どさくさ」は混乱している様子を表し、困惑の暗示があるという点です。

\次のページで「その2「騒がしい」」を解説!/

その2「騒がしい」

「騒がしい」は落ち着かない様子を表しますよ。「今日は朝から隣がなんとなく騒がしい」「毎週会見論争が騒がしく戦わされた」など「騒がしい」で表される音は、単一の音や瞬間的な音というよりはさまざまの種類の音がまじって濁っている音です。また「騒がしい」は音が複雑で大きいだけでなく、そういう音によって象徴される落ち着きのなさが暗示されている語。音や声が複雑で大きいという意味では「そうぞうしい」に似ていますが、「そうぞうしい」が主に音の性質についていうのに対して「騒がしい」では音によってもたらされる落ち着きのなさに視点のある点が異なります

なお「騒がしい」は「うるさい」や「やかましい」にも似ていますが、「うるさい」や「やかましい」は音の性質によらず不快であることを意味する点が異なりますよ。ちなみに「どさくさ」との違いは「どさくさ」は主体が混乱した状態の中で好ましくない事態・事件が起こったという場合に用いられるという点です。

その3「けたたましい」

「けたたましい」は突然起こった音や声の調子が高くて刺激的な様子を表す形容詞。「彼はけたたましい電話のベルで目が覚めた」「サイレンがけたたましく聞こえてくる」など音の種類は人や動物の声、物音の両方があります。また「けたたましい」はそれまで静かであったところへ突然不快な音が起こるという音の発生の仕方に視点があり、持続した音について用いられる場合でも聞く人を驚かせるような調子をもつというニュアンスがありますよ。この点で、単に音の調子が高く鋭いことについての不快感を暗示する「甲高い」とは異なります

ちなみに「うるさい」や「やかましい」も音が不快である意味を表しますが、「うるさい」や「やかましい」は音の種類や調子などには言及せず、ただ音による不快感を暗示する点が異なります。なお「どさくさ」との違いは「どさくさ」は混乱している様子を表し困惑の暗示があるという点。

「どさくさ」の対義語は?

「どさくさ」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「はっきり」

「はっきり」は澄明である様子を表し、「はっきりしない」の形で打消しを伴い全体でややマイナスイメージの語句になります。例えば「最近頭がはっきりしない日が多い」は完全に健全でないという意味、「コーヒーを飲んだらやっと頭がはっきりした」は健全に澄明であるという意味で明瞭の暗示があるでしょう。この「はっきり」は「すっきり」に似ていますが、「すっきり」は無駄なものやよけいな物がなくなって爽快である様子を表し、清涼感・空白・簡素・整備・解決の暗示があります。

その2「ひそやか」

「ひそやか」は極端に音や声が少ない様子を表す表現。「失意の彼は田舎でひそやかに暮らしている」「人気のない森はひそやかに静まりかえっていた」など述語にかかる修飾語として用いられた場合には、副詞の「ひっそり」に近い意味になります。この「ひそやか」は「静か」に似ていますが、「静か」が音が少ないという客観的な意味を表すのに対して、「ひそやか」は音の量がもっと少なくしばしば人がいないという暗示を伴う点が異なりますよ。

また「ひそやか」はまた「しめやか」にも似ていますが、「しめやか」は音量が少ないことによってその場の雰囲気が沈潜し気分が深く沈んでいく暗示があるのに対して、「ひそやか」はやや人為的で人気のありなしに視点があります。音が少ないという意味では「ひそやか」は「ひめやか」にも似ていますが、「ひめやか」は人が意識して音声を抑えている暗示があるのに対して「ひそやか」には人のいないという暗示があるでしょう。

「どさくさ」の英訳は?

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「どさくさ」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「どさくさ」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

\次のページで「「confusion」」を解説!/

「confusion」

「confusion」は「混乱、困惑、ろうばい、どさくさ」という意味です。「He stole money and goods from the store in the confusion of the fire」で「火事場のどさくさに紛れて店から金品を盗んだ」、「confusion of moving, I forgot all about it」で「引っ越しのどさくさですっかり忘れていた」となりますよ。

「どさくさ」を使いこなそう

この記事では「どさくさ」の意味・使い方・類語などを説明しました。「どさくさ」は混乱している様子を表し、主体が混乱した状態の中で好ましくない事態・事件が起こったという場合に用いられることが多いと解説しましたね。また「どさくさ」は「どたばた」に似ていますが、「どたばた」は主に人が飛んだり跳ねたりして騒ぐ音や様子を表し、騒音・迷惑・不快の暗示があります。そのため「引っ越しのどさくさで写真をなくした」は「家の中も頭の中も混乱していたから」、「引っ越しのどたばたで写真をなくした」は「家中大騒ぎしていたから」と解釈できますよ。それぞれのニュアンスの違いをしっかり覚えておきましょう。

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国語言葉の意味

「どさくさ」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「どさくさ」について解説する。
端的に言えば「どさくさ」の意味は「取り込んで騒々しいさま、混雑」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「どさくさ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

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仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「どさくさ」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「どさくさ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「どさくさ」の意味は?

「どさくさ」には、次のような意味があります。

[名]突然の出来事や急用などのため混乱している状態。「どさくさにまぎれて逃げ出す」

[副](スル) ごたごたして落ち着きを失っているさま。「引っ越しでどさくさしている」

出典:コトバンク

「どさくさ」は混乱している様子を表し困惑の暗示がありますよ。また、主体が混乱した状態の中で好ましくない事態・事件が起こったという場合に用いられることが多いです。

「どさくさ」の語源は?

次に「どさくさ」の語源を確認しておきましょう。「どさくさ」は「どさを食った」から派生した言葉です。「どさ」に漢字はありませんので「食」の漢字の成り立ちに付いて説明しましょう。「食」は器に食べ物をもった形の「こんづくり」とかみ砕く意味の音を示す「ショク」とを合わせた字。器に盛られた食べ物をかみ砕くこと、つまり「たべる」意味を表します。

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