
その2「ぐでんぐでん」
「ぐでんぐでん」は酒にひどく酔ってまともに起立・歩行・会話ができない状態になっている様子を表す擬態語。あまり女性については用いない傾向にあり、慨嘆と不快の暗示を伴います。酒に飲まれた結果、まともな言動ができない状態になっていることを表しますが、どのくらい飲んでいるかについては言及しません。
また「ぐでんぐでん」は「べろべろ」や「へべれけ」に似ていますが、「べろべろ」は酒に酔って舌を大きく出し入れするために発話がうまくできない様子を表し、見る者の不快と慨嘆の暗示を伴いますし、「へべれけ」は酒に酔って唇の両端が垂れ下がったために発話がうまくできない様子を表しますが、酔いの程度は「べろべろ」よりも軽く、寄っている主体の快感の暗示があります。なお「しどろもどろ」との違いは「しどろもどろ」は主体が非常に緊張しているかやましいことがあるために、内容・表現ともに流暢で明快な発話ができない様子を表すという点です。
その3「べろべろ」
「べろべろ」は酒にひどく酔って舌を大きく出し入れするために発話がうまくできない様子を表し、見る者の不快・慨嘆の暗示がありますよ。例えば「捕まった時男はべろべろに酔っていた」は「に」が付いて、「おれはどんなにべろべろになっても、降りる駅を間違えたことはないぞ」は「…になる」が付いて述語になりますし、「べろべろの男が肩を組んで千鳥足で歩いている」は「の」が付いて名詞にかかる修飾語になります。「しどろもどろ」との違いは「しどろもどろ」は混乱・焦燥・恥の暗示を伴うという点でしょう。
「しどろもどろ」の対義語は?
「しどろもどろ」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。
その1「明らか」
「明らか」は事柄が誰にでもわかるように明瞭である様子を表し、「火を見るよりも明らか」は慣用句で「客観的に見て間違いない」という意味。「明らか」のポイントは誰にでもわかる客観性にあり、主観的な保証や確信を暗示する「たしか」と異なります。したがって、自分の意見を述べる時に「明らか」を用いると客観的に見ているというニュアンスになり、場合によっては一方的な不遜な表現に受け取られることがありますよ。また「明らか」は「さだか」にも似ていますが、「さだか」は話者の感覚に基づく確信を暗示します。
その2「確か」
「確か」は確信を持っている様子を表しますよ。例えば「日本製品は品質管理がいいから確かだ」は「たしかに…だが」という条件の形を作り「…であるのは認めるが」という意味で、後ろにあまり好ましくない事柄が続きますし、「これでもまだ目は確かだ、バカにするな」は「確か」をそのまま副詞として用いた例で話者の確実な判断を表します。
また「確か」は「明らか」に似ていますが、「明らか」が誰にもでもわかる客観性を暗示するのに対して、「確か」は話者の主観的な確信を暗示し客観性はありません。主観的な確信と言っても「確か」の表す判断は知的な理解や保証に基づいていることが多く、その意味でとても理性的です。なお「確か」は「さだか」にも似ていますが、「さだか」は話者の感覚的な理解に基づく主観的な判断である点が異なりますよ。
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