この記事では「しどろもどろ」について解説する。
端的に言えば「しどろもどろ」の意味は「甚だしく乱れもつれたさま。話し方などが、筋が通らずあっちにつかえ、こっちにつかえるさま。まとまりがなく支離滅裂なさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「しどろもどろ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「しどろもどろ」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 62441971

それでは早速「しどろもどろ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「しどろもどろ」の意味は?

「しどろもどろ」には、次のような意味があります。

[形動][文][ナリ]《「しどろ」を強めていう語》言葉の使い方や話の内容などが、とりとめなく、ひどく乱れたさま。「しどろもどろに言いわけをする」「しどろもどろな答え」

出典:コトバンク」

「しどろもどろ」は発話が混乱している様子を表します主体が非常に緊張しているかやましいことがあるために、内容・表現ともに流暢で明快な発話ができない様子を表し、混乱・焦燥・恥の暗示を伴うでしょう。

「しどろもどろ」の語源は?

「しどろもどろ」はオノマトペなので語源はありませんが、漢字では「しどろ班」と書きます。それでは「班」の漢字の成り立ちに付いて説明しましょう。「班」は玉を二つ並べた形の文字と「刀」とを合わせた字。玉を刀で二つに「わける」意味を表します。

\次のページで「「しどろもどろ」の使い方・例文」を解説!/

「しどろもどろ」の使い方・例文

「しどろもどろ」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.まだら模様の眼鏡をかけてアニメのキャラクターがプリントされてあるTシャツを着ている彼は就職浪人中だ。そんな彼は街で警官に強い口調で問い詰められてしどろもどろになっていた。

2.初めてテレビに出たときはあがってしまってインタビューもしどろもどろだった。最近ではメディアに登場する機会がたくさん増えたことで場慣れして、スター相手でも緊張しなくなった。

3.後ろの席から誰かが委員長に明解な答弁を求めた。ところが委員長はしどろもどろの弁解しかできなかった。

ここでは「しどろもどろ」の用法について説明しましょう。例文1は「…になる」が、例文2は「だ」が付いて述語になります。例文3は「の」が付いて名詞にかかる修飾語になりますよ。

「しどろもどろ」の類義語は?違いは?

image by PIXTA / 66638395

「しどろもどろ」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「れろれろ」

「れろれろ」は舌がもつれて発話が不明瞭になる様子を表し、不明瞭・困惑・不快の暗示がありますよ。例えば「れろれろと訳の分からぬことを口走る」や「薬が効いてくると口がれろれろになる」は酔いや薬などのために舌がもつれて発話が不明瞭になる場合、「証拠を見せると容疑者はもうれろれろだった」は心理的に混乱したために発話が乱れて倫理的でなくなる場合です。

また「れろれろ」は「べろべろ」や「しどろもどろ」に似ていますが、「べろべろ」は酒にひどく酔って舌を大きく出し入れするために発話が上手くできない様子を表し、見る者の不快・慨嘆の暗示がありますし、「しどろもどろ」は主体が非常に緊張しているかやましいことがあるために、内容・表現ともに流暢で明快な発話ができない様子を表し、混乱・焦燥・恥の暗示があるでしょう。

\次のページで「その2「ぐでんぐでん」」を解説!/

その2「ぐでんぐでん」

「ぐでんぐでん」は酒にひどく酔ってまともに起立・歩行・会話ができない状態になっている様子を表す擬態語。あまり女性については用いない傾向にあり、慨嘆と不快の暗示を伴います酒に飲まれた結果、まともな言動ができない状態になっていることを表しますが、どのくらい飲んでいるかについては言及しません

また「ぐでんぐでん」は「べろべろ」や「へべれけ」に似ていますが、「べろべろ」は酒に酔って舌を大きく出し入れするために発話がうまくできない様子を表し、見る者の不快と慨嘆の暗示を伴いますし、「へべれけ」は酒に酔って唇の両端が垂れ下がったために発話がうまくできない様子を表しますが、酔いの程度は「べろべろ」よりも軽く、寄っている主体の快感の暗示があります。なお「しどろもどろ」との違いは「しどろもどろ」は主体が非常に緊張しているかやましいことがあるために、内容・表現ともに流暢で明快な発話ができない様子を表すという点です。

その3「べろべろ」

「べろべろ」は酒にひどく酔って舌を大きく出し入れするために発話がうまくできない様子を表し、見る者の不快・慨嘆の暗示がありますよ。例えば「捕まった時男はべろべろに酔っていた」は「に」が付いて、「おれはどんなにべろべろになっても、降りる駅を間違えたことはないぞ」は「…になる」が付いて述語になりますし、「べろべろの男が肩を組んで千鳥足で歩いている」は「の」が付いて名詞にかかる修飾語になります。「しどろもどろ」との違いは「しどろもどろ」は混乱・焦燥・恥の暗示を伴うという点でしょう。

「しどろもどろ」の対義語は?

「しどろもどろ」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「明らか」

「明らか」は事柄が誰にでもわかるように明瞭である様子を表し、「火を見るよりも明らか」は慣用句で「客観的に見て間違いない」という意味。「明らか」のポイントは誰にでもわかる客観性にあり、主観的な保証や確信を暗示する「たしか」と異なります。したがって、自分の意見を述べる時に「明らか」を用いると客観的に見ているというニュアンスになり、場合によっては一方的な不遜な表現に受け取られることがありますよ。また「明らか」は「さだか」にも似ていますが、「さだか」は話者の感覚に基づく確信を暗示します。

その2「確か」

「確か」は確信を持っている様子を表しますよ。例えば「日本製品は品質管理がいいから確かだ」は「たしかに…だが」という条件の形を作り「…であるのは認めるが」という意味で、後ろにあまり好ましくない事柄が続きますし、「これでもまだ目は確かだ、バカにするな」は「確か」をそのまま副詞として用いた例で話者の確実な判断を表します

また「確か」は「明らか」に似ていますが、「明らか」が誰にもでもわかる客観性を暗示するのに対して、「確か」は話者の主観的な確信を暗示し客観性はありません主観的な確信と言っても「確か」の表す判断は知的な理解や保証に基づいていることが多く、その意味でとても理性的です。なお「確か」は「さだか」にも似ていますが、「さだか」は話者の感覚的な理解に基づく主観的な判断である点が異なりますよ。

「しどろもどろ」の英訳は?

image by PIXTA / 67036076

「しどろもどろ」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「しどろもどろ」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

\次のページで「「incoherent」」を解説!/

「incoherent」

「incoherent」は「首尾一貫しない、しどろもどろ」という意味です。「I can't listen to your mumbled incoherent explanations」で「しどろもどろの説明は聞くに堪えない」、「He is angry and incoherent」で「彼は怒りでしどろもどろになっている」と訳すことができますよ。

「しどろもどろ」を使いこなそう

この記事では「しどろもどろ」の意味・使い方・類語などを説明しました。「しどろもどろ」は発話が混乱している様子を表す擬態語。主体が非常に緊張しているかやましいことがあるために内容・表現ともに流暢で明快な発話ができない様子を表し、混乱・焦燥・恥の暗示を伴うと解説しましたね。また「しどろもどろ」は「れろれろ」に似ていますが、「れろれろ」は舌がもつれて発話が不明瞭になる様子を表し困惑・不快の暗示があります。そのため「しどろもどろの返事」は「言い逃れようとしているな」、「れろれろの返事」は「相当酔っぱらっているな」と解釈できるでしょう。それぞれの表現の違いを正しく理解しましょう。

" /> 「しどろもどろ」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

「しどろもどろ」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「しどろもどろ」について解説する。
端的に言えば「しどろもどろ」の意味は「甚だしく乱れもつれたさま。話し方などが、筋が通らずあっちにつかえ、こっちにつかえるさま。まとまりがなく支離滅裂なさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「しどろもどろ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「しどろもどろ」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 62441971

それでは早速「しどろもどろ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「しどろもどろ」の意味は?

「しどろもどろ」には、次のような意味があります。

[形動][文][ナリ]《「しどろ」を強めていう語》言葉の使い方や話の内容などが、とりとめなく、ひどく乱れたさま。「しどろもどろに言いわけをする」「しどろもどろな答え」

出典:コトバンク」

「しどろもどろ」は発話が混乱している様子を表します主体が非常に緊張しているかやましいことがあるために、内容・表現ともに流暢で明快な発話ができない様子を表し、混乱・焦燥・恥の暗示を伴うでしょう。

「しどろもどろ」の語源は?

「しどろもどろ」はオノマトペなので語源はありませんが、漢字では「しどろ班」と書きます。それでは「班」の漢字の成り立ちに付いて説明しましょう。「班」は玉を二つ並べた形の文字と「刀」とを合わせた字。玉を刀で二つに「わける」意味を表します。

\次のページで「「しどろもどろ」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: