この記事では「やんわり」について解説する。
端的に言えば「やんわり」の意味は「心地よく柔らかいさま、穏やかにものを言うさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「やんわり」の意味や例文、類語などを見ていきます。

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仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「やんわり」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「やんわり」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「やんわり」の意味は?

「やんわり」には、次のような意味があります。

〘副〙 (多く「と」を伴って用いる) 物やわらかなさまを表わす語。やわらかに。おだやかに。しずかに。やあわり。やわり。

出典:コトバンク

「やんわり」は相手に刺激や被害を与えないように行動する様子を表し主体の配慮と庇護の暗示があります。具体物が物理的に柔らかい場合にはふつう用いません。

「やんわり」の語源は?

「やんわり」はオノマトペなので語源はありませんが、漢字では「擁わり」と書きます。それでは「擁」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「擁」は手を表す「てへん」と包む意味の音を示す「ヨウ」とを合わせた字。手で物を包むことから「いだく」「だきかかえる」意味を表します。

\次のページで「「やんわり」の使い方・例文」を解説!/

「やんわり」の使い方・例文

「やんわり」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.世界の珍しい動物発見!という番組を見ていたら、大人の雌ザルは雄ザルの耳をやんわり噛んでいた。

2.その女性は子供にやんわりとした口調で納得するよう言い聞かせていた。

3.家事が増加したことでその他の仕事がスムーズに進まずとても悩んでいた時、母の言葉が疲れた心をやんわり包み込んだ。

4.会社でトラブルが発生したようで、上司は問題解決に努めながらも部下にやんわりと注意していた。

5.医師はやんわりとした口調で診断結果を伝えた。事実を知ってもなお母は良く分からないという顔で早々に部屋を後にした。

例文1は物理的に被害を与えないという場合、例文2と4は言葉が相手を傷つけないように言い方や言う内容に配慮するという場合、例文3は体力的にも精神的にも疲弊している相手を労わる場合、例文5はまともに相手をしない解釈しない場合です。

「やんわり」の類義語は?違いは?

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「やんわり」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「まわりくどい」

「まわりくどい」は直接的でなく遠回しであるのが不快な様子を表す形容詞遠回しという意味ですが直接言及しないことについての不快の暗示があります。例えば「部長の話はいつもまわりくどくてわかりにくい」「そんなまわりくどい説明はもうたくさんだ」など説明や話など言語活動に関することについて直接論点に言及せず、周辺の話や婉曲的な表現を多用する場合に用いられますよ。なお「やんわり」との違いは、「やんわり」は相手に刺激や被害を与えないように行動する様子を表すという点です。

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その2「ものやわらかに」

「ものやわらかに」は人の性質や態度が柔和で落ち着いている様子を表します。例えば「彼女のものやわらかな笑顔が人気の秘密だ」「君はもう少しものやわらかに話した方がいいね」など人の性質や態度に限って用いられ、それ以外のものについて用いることは稀です。また「ものやわらか」は温和な性質が外に現れた結果としての態度や言動のおだやかさを表し、性質そのものを説明するときにはあまり用いられません。なお「やんわり」との違いは「やんわり」は主体の配慮と庇護の暗示があるという点です。

その3「おだやかに」

「おだやかに」は静かで落ち着いている様子を表す表現具体物についても人の性格や行為についても用いられます。また、具体物の場合には外から見て静かで荒れていない様子を表しますし、人の性格や行為について用いられる場合には静かで騒ぎ立てない様子を表しますよ。「おだやか」の指す状況は「しずか」と共通する場合が多いですが、「しずか」が客観的な平静さを暗示するのに対して「おだやか」はより主観的・気分的で、見る者を落ち着かせるような影響力をもつ暗示があるでしょう。ちなみに「やんわり」との違いは「やんわり」は相手に刺激や被害を与えないように行動する様子を表すという点です。

その4「ひめやか」

「ひめやか」は人に知られずに非常に静かに行動する様子を表します。また「ひめやか」は「ひそか」に似ていますが「ひそか」にある悪意の暗示はありません。音声が極端に少なくなる結果「ひめやか」は「ひそやか」にも似てきますが、「ひそやか」が人のいない暗示があるのに対して、「ひめやか」は人が意識して音や声を抑えている暗示のある点が異なります。ちなみに「ひめやか」はまた「しめやか」にも似ていますが、「しめやか」は音や声が少ないことによってその場の雰囲気が沈静し気分が重く沈んでいく暗示があるのに対して、「ひめやか」は繊細な静けさを暗示し沈鬱さの暗示はありません。

「やんわり」の対義語は?

「やんわり」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「ずけずけ」

「ずけずけ」は無遠慮に物を言う様子を表しますよ。また、内容・言い方ともに無遠慮・無神経である暗示があり、相手の被害者意識や第三者の不快・あきれ・嫌悪の暗示を伴います。例えば「人の容貌についてずけずけと言うのは失礼だ」「会長は誰に対しても歯に衣着せずにずけずけ物を言うので、煙たがられた」など、単独でまたは「と」が付いて「言う」などの述語にかかる修飾語になるでしょう。なお「ずけずけ」は「つけつけ」に似ていますが、「つけつけ」は主体がヒステリックに欠点を並べ立てる様子を表し、神経質・怒りと第三者の不快・嫌悪の暗示があります。

その2「つけつけ」

「つけつけ」は無遠慮に物を言う様子を表す擬態語。例えば「彼女は年下の相手にはつけつけ物を言う」「姑はヒステリックにつけつけと小言を言う」など単独でまたは「と」が付いて「言う」などの述語にかかる修飾語になります。また主に相手の欠点を並べ立てる場合に用いることが多く、主体のヒステリックさ、神経質・怒りの暗示と第三者の不快・嫌悪の暗示があるでしょう。ちなみに「つけつけ」は「ずけずけ」に似ていますが、「ずけずけ」は主体の無遠慮・無神経の暗示と相手の被害者意識、第三者の不快・あきれ・嫌悪の暗示を伴います。

\次のページで「その3「ずばずば」」を解説!/

その3「ずばずば」

「ずばずば」は連続して急所を正確に衝く様子を表しますよ。「部長は交渉の席でずばずば物を言う」は言論で欠点・核心・要点などを正確に指摘する場合、「田中は威力のある直球をずばずば投げ込んだ」は相手の弱点や難所を正確に攻撃する場合です。この「ずばずば」は「ずけずけ」に似ていますが、「ずけずけ」は無遠慮の暗示が強く相手の被害者意識や第三者の不快・あきれ・嫌悪の暗示を伴いますよ。

「やんわり」の英訳は?

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「やんわり」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「やんわり」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

「mildly」

「mildly」は「優しく、穏やかに、遠回しに、やんわり」という意味です。「I declined her offer mildly」で「僕は彼女の申し出をやんわりと断った」、「I brushed off his teasing mildly」で「彼のいやみをやんわりと受け流した」と訳すことができますよ。

「やんわり」を使いこなそう

この記事では「やんわり」の意味・使い方・類語などを説明しました。「やんわり」は相手に刺激や被害を与えないように行動する様子を表し、主体の配慮と庇護の暗示があります。また、具体物が物理的に柔らかい場合にはふつう用いないと解説しましたね。そのため「やんわりとした羽ぶとん」は間違った用法で、正しくは「柔らかい(ふわふわした)羽ぶとん」となります。言葉の意味の違いを正しく理解し使い分けるようにしましょう。

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国語言葉の意味

「やんわり」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「やんわり」について解説する。
端的に言えば「やんわり」の意味は「心地よく柔らかいさま、穏やかにものを言うさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「やんわり」の意味や例文、類語などを見ていきます。

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仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「やんわり」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「やんわり」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「やんわり」の意味は?

「やんわり」には、次のような意味があります。

〘副〙 (多く「と」を伴って用いる) 物やわらかなさまを表わす語。やわらかに。おだやかに。しずかに。やあわり。やわり。

出典:コトバンク

「やんわり」は相手に刺激や被害を与えないように行動する様子を表し主体の配慮と庇護の暗示があります。具体物が物理的に柔らかい場合にはふつう用いません。

「やんわり」の語源は?

「やんわり」はオノマトペなので語源はありませんが、漢字では「擁わり」と書きます。それでは「擁」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「擁」は手を表す「てへん」と包む意味の音を示す「ヨウ」とを合わせた字。手で物を包むことから「いだく」「だきかかえる」意味を表します。

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