この記事では「てっきり」について解説する。
端的に言えば「てっきり」の意味は「はっきり、正確に、きっと、必ず」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「てっきり」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「てっきり」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 39829849

それでは早速「てっきり」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「てっきり」の意味は?

「てっきり」には、次のような意味があります。

〘副〙 (「と」を伴って用いることもある) 判断などがゆるぎなくたしかなさまを表わす語。

(イ) 断定表現を伴う場合。間違いなく。たしかに。

(ロ) 推量表現を伴う場合。定めて。きっと。

出典:コトバンク

「てっきり」は主体が確信を持っている様子を表し、単独で「思う」などの述語にかかる修飾語になります。主体が確信を持っていた事柄が実は誤りであったことが判明する文脈で用いられることが多く、反省の暗示がありますよ。

「てっきり」の語源は?

「てっきり」はオノマトペなので語源はありませんが、漢字では「適り」と書きます。それでは「適」の漢字の成り立ちに付いて説明しましょう。「適」は道を歩いてゆく意味を表す「しんにょう」と出かけてゆく意味の音を示す「テキ」とを合わせた字。外に出かけてゆく意味を表します。後に「ちょうどよい」「あてはまる」「ふさわしい」の意味に使われるようになりました。

\次のページで「「てっきり」の使い方・例文」を解説!/

「てっきり」の使い方・例文

「てっきり」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.てっきりなくしたと思っていたけっこん指輪がベッドの下から出てきた。私は指輪を見つめながら、きょうパーティー会場で女性から人気のおおさかさんから声を掛けられた時、実際、指輪を付けてなくて正解だったと思った。

2.「何だ、まだいたの。てっきり帰ったかと思った」「今日もサービス残業ですよ。山田は独身だからって課長が。しかもどくしんを強調して言うんですよ。じょうだんじゃないですよ、私にだって友達付き合いとかあるんですよ」

3.「てっきり君が一緒にゴルフに行ってくれるものとばかり思い込んでいた」「申し訳ございません、東京から大阪まではご一緒できますが、現在予定が立ちません」

例文1からは探していたはずの指輪が見つかって嬉しいはずが、いつからか探さなくなってしまった様子からも、冷めきった夫婦関係になってしまっていることが読み取れますね。また、例文2からは独身者の憤懣やるかたない様子が、例文3からは当然同行してくれるだろうと思っていた部下に断られ戸惑っている様子が伝わってきます。

「てっきり」の類義語は?違いは?

image by PIXTA / 38950804

「てっきり」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「間違いない」

「間違いない」は確実である様子を表しますよ。「彼が約束を守るのは間違いない」「彼に任せておけば間違いないよ」「8時までに全員間違いなく集合してくださいよ」など述語または述語にかかる修飾語として用いられることが多いです。「間違いない」は「違いない」に似ていますが、「間違いない」の表す確信は客観的な理由や根拠の裏づけがあることが多く、主観的な確信を表す「違いない」と異なりますよ。また「間違いない」は「確か」にも似ていますが、「確か」には知的な理解や保証に基づいた信頼の暗示があるのに対して、「間違いない」は確実であるという話者の判断を表すのにとどまります。ちなみに「てっきり」との違いは「てっきり」は主体が確信を持っている様子を表すという点。

\次のページで「その2「決まって」」を解説!/

その2「決まって」

「決まって」は例外なく一定の結果になる様子を表す表現。例えば「最近夕方になるときまって雨が降る」は前に条件を示す場合で、そういう条件のときは例外なく同じ結果になるという意味です。習慣または統計的に見て一定の結果になることについて話者の軽い驚きや慨嘆などの暗示を伴いますが、確信の暗示はありません。また「決まって」は「かならず」や「いつも」「つねに」に似ていますが、「かならず」は一定の法則や心理に則った結果を暗示しますし、「いつも」は通常の習慣的な状態を表し一般性の暗示が強いです。そして「つねに」は状態が不変であるというニュアンスで恒常性の暗示が強いでしょう。なお「てっきり」との違いは、「てっきり」は主体が確信を持っていた事柄が実は誤りであったことが判明する文脈で用いられることが多く、反省の暗示があるという点です。

その3「必ずや」

「必ずや」は確認を持っている様子を表しますよ。ややかたい文章語で公式の発言などによく用いられるでしょう。例えば「彼女は約束はかならずや守るに違いない」「日本選手はかならずや活躍してくれるだろう」など後ろに推量の表現を伴う述語を修飾する形で用いられます。また話者の主観的な確信を誇張して表し、対象への希望などの思い入れの暗示が強く、客観的な根拠には言及しませんし、例外なく一定の結果になるという法則性の暗示はありません。ちなみに「てっきり」との違いは「てっきり」は主体が確信を持っている様子を表すという点です。

「てっきり」の対義語は?

「てっきり」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「まさか」

「まさか」は可能性が非常に低いという判断を表し、「まさか春子が一位になるとは思ってもみなかった」など、後ろに打消しや否定の表現を伴う述語にかかる修飾語になることが多いですよ。例えば「私、彼と結婚するわ。まさか本気じゃないでしょうね。そのまさかよ」の最初の「まさか」は、たとえ可能性は非常に低くても娘が本気であることを危惧する気持ちで質問しています。そして次の「まさか」は言及された可能性の低い内容が正解であるという意味

また「こんなきれいな夕焼けならまさか雨もないもんだ」は天気予報あるいは誰かの予想である「明日は雨」という可能性が非常に低いという意味です。なお「まさか」は「もしや」や「よもや」に似ていますが、「もしや」は疑問内容に確信がもてないというニュアンスで好ましい事柄についても用いられますし、「よもや」は実現の可能性が「まさか」よりさらに低く、しばしば非常事態を危惧する暗示があるでしょう。

その2「もしや」

「もしや」は疑問内容に確信が持てない様子を表す副詞。「先生ならもしやご存知かもしれないと思っておたずねします」「電話が鳴るたびにもしや行方不明の息子からではと胸が騒ぐ」など、疑問や推量の表現を伴う述語にかかる修飾語として用いられますが、述語やその一部を省略することも多いです。また、疑問や推量の内容について話者の確信のなさを暗示しますよ。

ちなみに「もしや」は「もしかして」や「もしかしたら」などに似ていますが、「もしかして」や「もしかしたら」は可能性の低い内容を仮定したり条件として設定したりする様子を表し、話者も相当の確信をもっているニュアンスがありますし、「もしかして」には好ましい結果になることについて期待の暗示があるでしょう。そして「もしかしたら」は可能性の低いことを仮定するというニュアンスで疑問の暗示があります。

「てっきり」の英訳は?

image by PIXTA / 50571823

「てっきり」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「てっきり」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

\次のページで「「surely」」を解説!/

「surely」

「surely」は「てっきり、間違いなく、疑いなく、きっと」という意味です。「He assumed you had just arrived surely」で「彼は君がてっきり到着したものだと思い込んでいた」、「He'd surely thought she was a man」で「彼は彼女のことをてっきり男だと思っていた」と表現することができますよ。

「てっきり」を使いこなそう

この記事では「てっきり」の意味・使い方・類語などを説明しました。「てっきり」は主体が確信を持っている様子を表す擬態語。主体が確信を持っていた事柄が実は誤りであったことが判明する文脈で用いられることが多く、反省の暗示があると解説しましたね。また「てっきり」は「間違いない」「必ずや」などに似ていますが、「間違いない」は確実であるという話者の判断を表すのにとどまります、「必ずや」は話者の主観的な確信を誇張して表し、対象への希望などの思い入れの暗示が強く客観的な根拠には言及しません。それぞれのニュアンスの違いをしっかり覚えておきましょう。

" /> 「てっきり」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

「てっきり」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「てっきり」について解説する。
端的に言えば「てっきり」の意味は「はっきり、正確に、きっと、必ず」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「てっきり」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「てっきり」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 39829849

それでは早速「てっきり」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「てっきり」の意味は?

「てっきり」には、次のような意味があります。

〘副〙 (「と」を伴って用いることもある) 判断などがゆるぎなくたしかなさまを表わす語。

(イ) 断定表現を伴う場合。間違いなく。たしかに。

(ロ) 推量表現を伴う場合。定めて。きっと。

出典:コトバンク

「てっきり」は主体が確信を持っている様子を表し、単独で「思う」などの述語にかかる修飾語になります。主体が確信を持っていた事柄が実は誤りであったことが判明する文脈で用いられることが多く、反省の暗示がありますよ。

「てっきり」の語源は?

「てっきり」はオノマトペなので語源はありませんが、漢字では「適り」と書きます。それでは「適」の漢字の成り立ちに付いて説明しましょう。「適」は道を歩いてゆく意味を表す「しんにょう」と出かけてゆく意味の音を示す「テキ」とを合わせた字。外に出かけてゆく意味を表します。後に「ちょうどよい」「あてはまる」「ふさわしい」の意味に使われるようになりました。

\次のページで「「てっきり」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: