中国文化や風習に関してもノーコメント
当時の中国の風俗を象徴する「纏足」についてもなし。纏足は女性の体をあえて奇形にする、外国人からすると驚くような風習。これだけの独特な風習であれば、きっと記録に残したくなるはずですが、まったくありません。
マルコ・ポーロは中国語にたけており、南西部にある雲南や蘇州・楊州で徴税の実務にかかわったという説も。中国登用説によるとマルコ・ポーロは17年のあいだ滞在。去ることを望んだもののなかなか認められなかったと書かれています。しかし、その内容は冒険色にあふれたもの。事実としては誇張に満ちている一面もあります。
7.マルコ・ポーロがヨーロッパにもたらしたもの
マルコ・ポーロの東方見聞録は、うわさ話やウソが多いとされているものの、それ以降のヨーロッパ文化や世界史に大きな影響を与えました。そこでマルコ・ポーロがヨーロッパや世界にもらたしたものについてまとめていきます。
パスタの発案者はマルコ・ポーロ?
いわゆるパスタと言われるものの起源はふたつ。マルコ・ポーロが中国からイタリアに伝えたという説と、ギリシアから伝わったパスタ料理をイタリアで進化させたという説です。前者の説をとるなら、パスタの起源はヨーロッパではなく中国ということになるでしょう。
そうなるとパスタ大国のイタリアにとっては不名誉なこと。そこでイタリアは、マルコ・ポーロがイタリアに戻る1年前にパスタがあったこと、つまりイタリアに起源があることを証明しました。しかし、どのように食べられ始めたのか、ヨーロッパに広まったのかははっきりしていません。
コロンブスが航海を志すきっかけとなる
さらにマルコ・ポーロは大航海時代のはじまりにも影響を与えます。クリストファー・コロンブスが航海に出たきっかけはマルコ・ポーロの東方見聞録。黄金の国ジパングを目指してインドの先に行こうとしました。その結果、航路がそれてアメリカ大陸に上陸するに至ります。
近年、コロンブスよりも2世紀以上前に生きたマルコ・ポーロが実はアメリカ大陸の存在を知っていたという検証結果も。マルコ・ポーロが残した手紙のなかに、アメリカ大陸の周辺について記している箇所があるとのことです。
リアルとフィクションのはざまにある東方見聞録
東方見聞録は、どこまで本当なのか、どこから噂話なのか、はっきりしないところが多いことは確か。マルコ・ポーロは嘘ばかり言っているという話もありますが、実は多くのことを知っていた可能性はあります。大航海時代が始まる前に書かれたため、リアルとフィクションが織り交ぜられていることが東方見聞録の魅力。そんな時代性も含めて触れてみてはいかがでしょうか。