世界中の言語で翻訳された東方見聞録
マルコ・ポーロの東方見聞録は世界中で翻訳されました。日本では東方見聞録。ほかの国では世界の記述、驚異の書という意味のタイトルがつけられています。
写本については、イル・ミリオーネのほか、英語圏、スペイン語圏、中国語圏ではマルコ・ポーロ旅行記という名前で浸透。世界中の言語で翻訳され、知らないものはいない大ベストセラーとなりました。
3.東方見聞録は4巻もののシリーズ
東方見聞録は4巻から成立している長大な書物。それぞれの巻で数多くの国を経由しています。実際に滞在したところもあれば、単なるうわさを聞いただけなど、信ぴょう性は様々。しかし当時の航海者や商人の参考になる書物となりました。
中東から中国までの道のり
1巻目は中国へ到着するまでの道のりについて書かれています。中心となるのが、中東から中央アジアにかけてのこと。2巻目では中国とクビライの宮廷について書かれました。
中国について辻褄が合わないことが多く、実際に見たものではないと推測されています。中国側の文献にもマルコ・ポーロらしき記述はまったくありません。
日本、インド、東南アジアなどの各国事情
3巻目は、 ジパングと呼ばれた日本のほか、インド、スリランカ、東南アジア、アフリカの東海岸について記述されています。とくに3巻目のジパングの記述は、中国で聞いた噂話であるものの、黄金の国というイメージを定着させました。
4巻目はモンゴルで起こっている戦争について。さらにはロシアをはじめとする極北エリアについて記されています。ここでチンギス・カンを創始者とするモンゴル帝国が紹介されました。
4.東方見聞録に記された黄金の国ジパング
東方見聞録を世界中で読まれるようになったきっかけが黄金の国ジパングについての記述でしょう。ジパングは日本のことで、中国人から聞いた噂話を書いたものです。
中国で聞いた日本のうわさ話
大航海時代、ヨーロッパでは中国の先に黄金の国ジパングがあると考えられていました。ジパングは日本のこと。マルコ・ポーロは日本に来ていないので、あくまでうわさ話とされています。
東方見聞録によると東方の海上1500マイルに浮かぶ島国というのが日本。宮殿や家屋は黄金でできており、たくさんの財宝が隠されているとされました。仏教徒とそれ以外の人がいること、独自の風習があることも記されました。
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