この記事では「懸案」について解説する。

端的に言えば懸案の意味は「長きにわたって解決していない問題や事柄」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

放送局の制作現場で10年の経験を積んだsinpeito88を呼んです。一緒に「懸案」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/sinpeito88

放送局の現場で10年間、ニュース原稿などを日々執筆。より正確な情報を届けられるよう言葉の探求を続けている。

「懸案」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「懸案」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「懸案」の意味は?

「懸案」には、次のような意味があります。

前から問題になっていながら、まだ解決されていない事柄。「懸案事項」「年来の懸案」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「懸案」

「懸案」は、未解決の事案で、長年にわたり気がかりだった問題などに対して使われるものです。今ふってわいてきたような問題に対して使うというよりも、「ずっと解決しなくてはいけないと思っていたのにもかかわらず、なかなか解決することができなくて困っている事案」を指して使われる言葉となります。

すぐに解決できるような問題については「課題」「宿題」と言ったような表現が使われるでしょう。一方の「懸案」は、より重く、早急な対応で簡単に解消できないような場合が多いです。

また、その問題についての共通理解がある間柄では、口に出しずらい問題、例えば国際問題など、原因の究明が難しいものや、ビジネスで長年にわたり決着していない仕事上の問題などを、あえて「懸案」と表現します。

「懸案」の使い方・例文

「懸案」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「懸案」の類義語は?違いは?」を解説!/

マンションの建て替えに関係する懸案事項を、しっかりと話し合った。

日常会話で「懸案」を使う場合、やや固い印象を抱かせるかもしれません生活上の不安や心配事を指す用語としても、もちろん使えますが、長年解決していない組織上の問題などを指す場合など、やや重めの案件について使われる場合が多いです。

政治家の答弁や、会社や地域の会議などで用いられることが多いでしょう。また、「懸案」と表現される議題については、解決することが簡単ではないものについて使われるケースが圧倒的なため、何度も出てくる場合は、いちいち説明せずに「懸案となっていた件ですが」と、話を端折るときにも使うことができます

「懸案」の類義語は?違いは?

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「懸案」の類義語としては「議題」や「懸念」「ペンディング」が挙げられます。それぞれ解決しなくてはいけない問題のことを示していますが、違いはその「深刻さ」です。「議題」と表現する際には、会議等で話すトピックスというニュアンスで、重いものから軽いものまで網羅的に表現することができるのに対し、「懸念」となると気にかける度合いが一層深まります

また、「ペンディング」に関しては、問題の解決を先送りすることを指して使われる言葉です。主にビジネスシーンで使われる言葉で、解決が難しい場合に「ペンディング」を宣言し、次の会議などへ先送りする際に出てくる言葉となります。

その1「議題」

会議などで話し合う問題の意味である「議題」は「懸案」のように、問題を抱えている期間の長さや、深刻さの程度に関係なく使うことができます。ある意味、「議題」のうちに解決しておけば「懸案」になることはないのです。

しかし、うまく解決できずに保留したり、話し合っても物別れに終わるなどするから「懸案」となります。「議題」は今回初めて問題となった場合でも、継続的に問題となっている場合にも使える言葉です。

サポーターが起こした問題行動が、クラブの定例会議で議題となった。

\次のページで「その2「懸念」」を解説!/

その2「懸念」

「懸念」は「気にかけたり、不安に思ったりする」ことを意味する言葉です。「懸念を示す」などと使われます。「懸案」と同様、問題が解決できていない場合に使われますが、その問題が長きにわたって解決しているかどうかにかかわらず使うことも出来る言葉です。

さらに深刻さが強い場合には「強い懸念を示した」のように使う場合もあります。

度重なる隣国の挑発行動に対して、首相は強い懸念を示した。

その3「ペンディング」

問題を未解決のままにすることや、問題の解決を保留する意味で使われるのが「ペンディング」です。ビジネスシーンでよく登場する言葉で「次の会議まで、ペンディングとしましょう」などと使われます。

元々は英語で「未解決のままである」を意味する「pend」の現在進行形にした「pending」のことで、「未解決のままにしている」という意味の英単語です

プロバイダーの契約更新は、比較検討が済んでいないためペンディングとした。

「懸案」の対義語は?

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「懸案」とは「前から問題になっていながら、まだ解決されていない事柄。」よって、その対義語となると「前から問題となっていたわけではないが、まだ解決されていない事柄」か「前から問題になっていたが、すでに解決された事柄」ということになります。よって、上記の2つに対応するような意味の言葉は見当たらないので、対義語を挙げることはできません

ただし、「懸案」となっていた事項が解決した場合は、目下の不安を取り除くことができたといえます。よって「安心」は出来るかもしれません。「対義語」までは行きませんが「安心」は対角にいる言葉と言えるでしょう。

\次のページで「「懸案」を使いこなそう」を解説!/

「懸案」を使いこなそう

この記事では「懸案」の意味・使い方・類語などを説明しました。「前から問題になっていながら、まだ解決されていない事柄」を意味する言葉です。

未解決のまま長く保留されている案件や、解決の糸口がつかめずにいる難しい問題などについて用いられることが多くなります。

どちらかと言えば、日常会話で軽く使うような単語ではなく、国会の答弁や、会社の会議などかしこまって話をするときに使われる言葉です。

「解決するまでに時間がかかっている、解決が難しく何度も話し合っている問題」が出てきたら、「懸案となっている、何々についてですが」と切り出す際に使うと良いでしょう。

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国語言葉の意味

「懸案」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「懸案」について解説する。

端的に言えば懸案の意味は「長きにわたって解決していない問題や事柄」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

放送局の制作現場で10年の経験を積んだsinpeito88を呼んです。一緒に「懸案」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/sinpeito88

放送局の現場で10年間、ニュース原稿などを日々執筆。より正確な情報を届けられるよう言葉の探求を続けている。

「懸案」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「懸案」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「懸案」の意味は?

「懸案」には、次のような意味があります。

前から問題になっていながら、まだ解決されていない事柄。「懸案事項」「年来の懸案」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「懸案」

「懸案」は、未解決の事案で、長年にわたり気がかりだった問題などに対して使われるものです。今ふってわいてきたような問題に対して使うというよりも、「ずっと解決しなくてはいけないと思っていたのにもかかわらず、なかなか解決することができなくて困っている事案」を指して使われる言葉となります。

すぐに解決できるような問題については「課題」「宿題」と言ったような表現が使われるでしょう。一方の「懸案」は、より重く、早急な対応で簡単に解消できないような場合が多いです。

また、その問題についての共通理解がある間柄では、口に出しずらい問題、例えば国際問題など、原因の究明が難しいものや、ビジネスで長年にわたり決着していない仕事上の問題などを、あえて「懸案」と表現します。

「懸案」の使い方・例文

「懸案」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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