この記事では「鼎談」について解説する。

端的に言えば、鼎談の意味は「3人が向かい合って話をすること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元新聞記者で、ライター歴20年のトラコを呼んです。一緒に「鼎談」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トラコ

全国紙の記者を7年。その後、雑誌や書籍、Webでフリーの記者などとして活動中。文字の正確さ、使い方に対するこだわりは強い。

「鼎談」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速、「鼎談」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。わからない言葉があれば、まずは辞書や辞典・事典などで言葉を引く、インターネットで検索するのがおすすめです。

「鼎談」の意味は?

鼎談」には、次のような意味があります。

[名](スル)三人が向かい合って話をすること。また、その話。「三国の首脳が鼎談する」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「てい-だん【鼎談】」

まず、「鼎談」は「ていだん」と読みます。意味は、3人が向かい合い、話し合いをすることです。3人、というのが意味のポイントになります。

鼎談の「鼎」の意味は三者が向かい合った形、また、三本足の鉄のかまを指す言葉です。「かなえ」とも読みます。この鼎に、話し合いの意味を持つ「談」を組み合わせることで、鼎談という言葉が成り立つのを、まずは覚えておきましょう。

「鼎談」の語源は?

次に、「鼎談」の語源を、確認しておきましょう。

鼎談の「鼎」にヒントがあります。鼎(かなえ)は、古代中国にあった底が深い器で、三本足で2つの取っ手があり、物を煮るのに用いられました。身分や地位が高い人の霊を祭る宗廟に置く宝器でもあります。通常は金属製、まれに石製もありました。

また、「九鼎」は、古代中国における王権の象徴で、夏という国の始祖禹が中国全土の九州に命じ、集めさせた青銅で鋳造したものと『史記』に記されています。

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「鼎談」の使い方・例文

続いて、「鼎談」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.先生と保護者、自分による三人の鼎談が予定されている。
2.昨日決まったテーマで、三人の識者による鼎談が決まった。
3.戦争を終わらせるため、国の元首たちによる三者鼎談が開催された。
4.近所に住む女性たちによる三者鼎談をいつも見かける。

例文1と例文2はいずれも、鼎談を単独で使って表現した文章です。まず、例文1は、学校などでよくある3者面談を、ただ顔合わせだけでなく、鼎談を用いることで話し合いという意味も含まれます。例文2は、3人によるトークショーに近い意味合いです。

例文3で用いられている「三者鼎談」は、よく使われる言葉。ただ単に鼎談とだけ言ってもその意味がわかないことがあっても、三者を付けることで「3人による話し合いなのか」とわかる人もいるでしょう。

例文4も、同様です。女性たちが話に盛り上がる井戸端会議というシーンが目に浮かびます。

「鼎談」の類義語は?違いは?

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次に、「鼎談」の類義語やそれぞれの意味について、見ていきましょう。

鼎談は、3人が向き合って話し合うことなので、類義語も「3人」が必須です。例えば、三者会談、三者面談、三者対談、三者口論、三者激論、三者密談、三者言い合いなど、話し合いに「三者」が付け加わります。

その1「三者会談」

まず、鼎談に最も近い類義語として考えられるのが「三者会談」です。3人が会談、話し合う意味になります。この3人は基本的に対等の立場です。

例えば、「進学先を決めるのに、担任、保護者、生徒の三者会談が行われる」という文章で使われます。三者面談もほぼ同様の意味なので、覚えておきましょう。

 

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その2「三者口論」

次に、「三者口論」です。これも、鼎談の意味する、3人で向き合って話し合うことであり、鼎談の類義語として当てはまります。

ただ、三者に口論が付くと、会話が白熱しているイメージを抱くかもしれません。三者激論も、同様でしょう。三者に付く言葉次第で、文章の印象も変わります。

その3「三者密談」

さらに、「三者密談」も、3人が向き合って話し合っていることなので、鼎談の類義語でもあります。ただ、密談は、オープンな話し合いでなく、公にならない会話を密かに交わしていることです。

三者に密談が付くと、ヒソヒソと話し合っている、秘密の話をしているという印象を受けるでしょう。

「鼎談」の対義語は?

鼎談」の対義語についても、確認しておきましょう。

この鼎談に、はっきりとした対義語は存在しません。類義語である「話し合い」や「会談」などを調べても、対義語はなさそうです。

敢えて、鼎談に対する言葉を考えると、話し合わないこと、つまり「独り言」かもしれません。念のため、この「独り言」を調べてみました。

「独り言」

独り言」は、聞く相手がいないのに1人でものを言うこと、という意味です。「独り言をつぶやく」といった文章で、よく使われます。類義語として、独話、独語などがあり、いずれも1人なので、話し合うという意味がまったく当てはまりません。

なお、「ひとり言」「独ごと」は、独り言とは意味が異なります。ひとり言は、室町時代中期の連歌論書のこと。「独ごと」もひとりごとと読むものの、江戸時代中期の俳論書のことです。

「鼎談」の英訳は?

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さらに、「鼎談」の英訳も見てみましょう。

鼎談を英語に訳すと「three‐man talk」「three-way conversation」「tripartite talk」などです。英語でも、3人ということは変わりません。

複数人での会話なので、いずれの言葉も「-s」が付くこともあります。

「three man talk」

鼎談は、3人が向き合って話し合うこと、という意味なので、英訳するとそのまま「three man talk」となります。「three-way conversation」「tripartite talk」も、同様の意味合いです。

例文を見てみましょう。

\次のページで「「鼎談」を使いこなそう」を解説!/

・A three-man talks was held by a student, his teacher and his parent at his high school. 

高校で、生徒と教師、保護者による鼎談(三者懇談)が開かれた。

・three-way conversation

鼎談(3人が向かい合って行う会話や座談会など)

・There was tripartite talks around the party.

パーティーの至るところで鼎談が繰り広げられていた。

「鼎談」を使いこなそう

この記事では、「鼎談」の意味・使い方・類義語などを説明しました。

鼎談の意味は、3人で向かい合って話し合うことであり、「3人」というのがまずポイントです。1人でも2人でも4人以上でも、鼎談とはなりません。

なぜ3人の話し合いが鼎談なのかは、古代中国に由来します。鼎談は格式高い言葉です。そんな歴史的な背景も、ぜひまとめて覚えておきましょう。

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国語言葉の意味

「鼎談」の意味や使い方は?例文や類語を元新聞記者がわかりやすく解説!

この記事では「鼎談」について解説する。

端的に言えば、鼎談の意味は「3人が向かい合って話をすること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元新聞記者で、ライター歴20年のトラコを呼んです。一緒に「鼎談」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トラコ

全国紙の記者を7年。その後、雑誌や書籍、Webでフリーの記者などとして活動中。文字の正確さ、使い方に対するこだわりは強い。

「鼎談」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速、「鼎談」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。わからない言葉があれば、まずは辞書や辞典・事典などで言葉を引く、インターネットで検索するのがおすすめです。

「鼎談」の意味は?

鼎談」には、次のような意味があります。

[名](スル)三人が向かい合って話をすること。また、その話。「三国の首脳が鼎談する」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「てい-だん【鼎談】」

まず、「鼎談」は「ていだん」と読みます。意味は、3人が向かい合い、話し合いをすることです。3人、というのが意味のポイントになります。

鼎談の「鼎」の意味は三者が向かい合った形、また、三本足の鉄のかまを指す言葉です。「かなえ」とも読みます。この鼎に、話し合いの意味を持つ「談」を組み合わせることで、鼎談という言葉が成り立つのを、まずは覚えておきましょう。

「鼎談」の語源は?

次に、「鼎談」の語源を、確認しておきましょう。

鼎談の「鼎」にヒントがあります。鼎(かなえ)は、古代中国にあった底が深い器で、三本足で2つの取っ手があり、物を煮るのに用いられました。身分や地位が高い人の霊を祭る宗廟に置く宝器でもあります。通常は金属製、まれに石製もありました。

また、「九鼎」は、古代中国における王権の象徴で、夏という国の始祖禹が中国全土の九州に命じ、集めさせた青銅で鋳造したものと『史記』に記されています。

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