この記事では「重ね重ね」について解説する。
端的に言えば「重ね重ね」の意味は「いくえにも、じゅうじゅう、くれぐれも」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「重ね重ね」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「重ね重ね」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「重ね重ね」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「重ね重ね」の意味は?

「重ね重ね」には、次のような意味があります。

[副]

1 同じようなことが繰り返されるさま。たびたび。

2 念入りに相手に頼み込むさま。自分の心情の深さを相手に伝えようとするさま。くれぐれも。重々(じゅうじゅう)。

出典:コトバンク

「重ね重ね」は何度も重複する様子を表す副詞です。とてもかたい文章語で、手紙や公式の挨拶などによく用いられますよ。また、謝礼・謝罪・注意などの場面で用いられますが、相手への配慮を暗示し、とても丁寧なニュアンスがあります

「重ね重ね」の語源は?

次に「重ね重ね」の語源を確認しておきましょう。「重ね重ね」は幾重にも重なることを意味する「重畳」から派生した言葉です。「重畳」にはこの上なく満足であることや、とても好都合なことなどの意味もありますが、「重ね重ね」においては何度も繰り返すという意味合いが強いです。それでは「重」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「重」は人が立っているかたちの「壬」と、荷物の意味の音を示す「東」とを合わせた字です。人が荷物を背負って立っていることから、「おもい」意味を表しますよ。

\次のページで「「重ね重ね」の使い方・例文」を解説!/

「重ね重ね」の使い方・例文

「重ね重ね」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.かさねがさねのお問い合わせ恐縮に存じます。この度はご迷惑をおかけし大変申し訳ございません。

2.このたびはいろいろお心づかい、かさねがさねありがたく厚く御礼申し上げます。

ここでは「重ね重ね」のそれぞれの用法について説明しましょう。例文1は名詞にかかる修飾語としての用法で、例文2は述語にかかる修飾語としての用法ですよ。また例文1は何度も繰り返してという意味で、例文2はこれから一歩進んで、何度も繰り返すほど程度がはなはだしいという意味です。「重ね重ね」は「重々」に似ていますが、「重ね重ね」のほうがさらに丁重で、相手への配慮を暗示し、ふつう自分のことについては用いません。覚えておきましょう。

「重ね重ね」の類義語は?違いは?

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「重ね重ね」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「かさねて」

「かさねて」はさらに一度繰り返す様子を表し、とてもかたい文章語で、公式の発言などによく用いられますそれまでの行動をもう一度繰り返し行うという意味で用いられ、念を入れる暗示があり、繰り返す回数は一回であることが多い。また「かさねて」は「ふたたび」に似ていますが、「ふたたび」が同じ行動や状態をもう繰り返すという意味で用法が広いのに対して、「かさねて」は行動しないことや状態については用いられません。なお「重ね重ね」との違いは、それまでの行動をもう一度繰り返し行うという意味で用いられるという点でしょう。

\次のページで「その2「いくえにも」」を解説!/

その2「いくえにも」

「いくえにも」は典型的な状態に合致している様子を表し、述語にかかる修飾語として用いられます。つまり述語に示される典型的な状態(悲しい、美しい、男らしい、自分が正しいなど)に合致しているという意味。したがって、結果的に程度は高くなり、「まったく」などに似てきますが、驚きやあきれ、感動などの暗示を含み、単に程度が高いという意味ではありません。ちなみに「重ね重ね」との違いは典型的な状態に合致している様子を表しているという点でしょう。

その3「くれぐれも」

「くれぐれも」は相手に対して深い配慮を持っている様子を表し、述語にかかる修飾語として用いられます。公式の発言や手紙などによく用いられ、とても丁寧なニュアンスがありますよ。また、これから行われる行為について依頼・懇願する場面で用いられることが多く、行為の後では用いられません。文字通りには何度も繰り返して念入りにという意味ですが、具体的に繰り返し行為するという意味はありません。したがって、自分に関する物事についてはふつう用いられませんよ。なお「重ね重ね」との違いはこれから行われる行為について依頼・懇願する場面で用いられる点。ちなみに「くれぐれも」は「どうか」や「どうぞ」などに似ていますが、「どうか」は無理を承知で頼む暗示がありますし、「どうぞ」は依頼や懇願の程度が軽く、相手の裁量に任せる暗示があります。

「重ね重ね」の対義語は?

「重ね重ね」と反対の意味を持つ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「こんりんざい」

「こんりんざい」は後ろに打消しや否定の表現を伴って、打消しや否定を誇張する意味を表します。また、打消しや否定の表現を伴う述語にかかる修飾語として用いられますよ。日常会話で用いられ、かたい文章中には登場しませんし、話者の強い意志を表明するので、話者が主体的にかかわれない事柄についてはふつう用いられません。なお「こんりんざい」は「ぜったい」に似ていますが、「ぜったい」は打消しや否定の事柄についての話者の主観的な確信を暗示し、主体的行為でなくても用いられます。

その2「にどと」

「にどと」は後ろに打消しや禁止の表現を伴って、ある時点より未来に問題の行為を行う可能性が全くない様子を表します。また、打消しや禁止の表現を伴う述語にかかる修飾語として用いられますよ。「二度と再び」などと用いると「にどと」を強調した表現になるでしょう。また「にどと」は過去にある行為が行われ、それと同一の行為がある時点よりも未来に起こる可能性が皆無であるという意味で、とても主観的な表現になっており、誇張の暗示があります。ちなみに、単に打消しを強調する意味ではないという点においては「けっして」「ぜったい」などと異なりますよ。

「重ね重ね」の英訳は?

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「重ね重ね」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「重ね重ね」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

\次のページで「「frequently」」を解説!/

「frequently」

「frequently」は「しばしば、しきりに、重ね重ね」という意味です。「Excuse me for your repeated contact frequently」で「重ね重ねのご連絡失礼いたします」、「Thank you again and again frequently」で「重ね重ね感謝を申し上げます」となりますよ。

「重ね重ね」を使いこなそう

この記事では「重ね重ね」の意味・使い方・類語などを説明しました。「重ね重ね」は何度も重複する様子を表し、謝礼・謝罪・注意などの場面で用いられ、相手への配慮を暗示するとても丁寧な表現だと解説しましたね。また「重ね重ね」は「いくえにも」に似ていますが、「いくえにも」の方が丁寧の程度が高い表現ですよ。そのため「お気にさわりましたら重ね重ねお詫びします」などとは言わず、「お気にさわりましたらいくえにもお詫びします」と言うようにしましょう。

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国語言葉の意味

「重ね重ね」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「重ね重ね」について解説する。
端的に言えば「重ね重ね」の意味は「いくえにも、じゅうじゅう、くれぐれも」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「重ね重ね」の意味や例文、類語などを見ていきます。

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仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「重ね重ね」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「重ね重ね」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「重ね重ね」の意味は?

「重ね重ね」には、次のような意味があります。

[副]

1 同じようなことが繰り返されるさま。たびたび。

2 念入りに相手に頼み込むさま。自分の心情の深さを相手に伝えようとするさま。くれぐれも。重々(じゅうじゅう)。

出典:コトバンク

「重ね重ね」は何度も重複する様子を表す副詞です。とてもかたい文章語で、手紙や公式の挨拶などによく用いられますよ。また、謝礼・謝罪・注意などの場面で用いられますが、相手への配慮を暗示し、とても丁寧なニュアンスがあります

「重ね重ね」の語源は?

次に「重ね重ね」の語源を確認しておきましょう。「重ね重ね」は幾重にも重なることを意味する「重畳」から派生した言葉です。「重畳」にはこの上なく満足であることや、とても好都合なことなどの意味もありますが、「重ね重ね」においては何度も繰り返すという意味合いが強いです。それでは「重」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「重」は人が立っているかたちの「壬」と、荷物の意味の音を示す「東」とを合わせた字です。人が荷物を背負って立っていることから、「おもい」意味を表しますよ。

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