この記事では「たちが悪い」という言葉の意味を説明する。
「たちが悪い」とは簡単に言うと「性格が悪い」という悪口の一種ですが、詳しく意味を知ることで使い方の幅も広がるぞ。
今回、語学系主婦ライターの小島ヨウを呼んだ、一緒に「たちが悪い」を解説していく。

ライター/小島 ヨウ

言葉の使い方、漢字の意味に興味を持ち、辞典で調べまくるアナログ主婦ライター。分かりやすく、読みやすい文章を心がけている。

「たちが悪い」の意味と使い方

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「たちが悪い」はネガティブな言葉で、性格・人格・言動や性質を批判している表現です。詳しく意味をみていきましょう。

「たちが悪い」の意味

まずは「たちが悪い」の意味を辞書で調べてみましょう。

物事の性質がよくないことを表す表現・性格が悪いまたは、悪質であるさま。「質の悪い」とも言う。

出典:実用日本語表現辞典「たちが悪い」

自己中心的、自分の非を認めない、ルールを守らない、人を見下す、ハラスメントを繰り返す……こういった言動をする人は「たちが悪い」と言われるのではないでしょうか。「たち」とは何か、「悪い」とはどういうことか、詳しく説明していきます。

「たちが悪い」の「たち」って何?

「たち」とは人が生まれつき持っている性質や体質、物事の性質のこと。また動物や植物、生物、病気などにも比喩的に使われます。

「たち」は日本の固有語である大和(やまと)言葉で、「ものごとの性質」という意味です。そこで、意味が似ている「質」という漢字が当てられました。よって「質」は「たち」と読みませんが、「たちが悪い」の「たち」は漢字で書くと「質」。一般的にひらがな、またはカタカナで表記されます。

また「悪い」の辞書の意味は以下です。

1.人の行動・性質や事物の状態などが水準より劣っているさま。
ア.質が低い。下等である。
イ.能力が劣っている。下手である。
ウ.美的な面で劣っている。醜い。
エ.正常・良好な状態でない。すぐれない。
オ.地位や身分が低い。また、社会的にしっかりしていない
カ.経済的に衰えている。貧乏である。
キ.利益の面で劣っている。損である。不利である。
ク.好ましくない効果やよくない結果をもたらすさま。逆効果である。
ケ.ふさわしくない。不向きである。不適当である

2.人の行動・性質や事物の状態が、正邪・当否の判断基準に達していないさま。
ア.正しくない。不当である。善でない。
イ.不親切である。やさしくない。
ウ.人と人との間が円満でない。

3.不吉である。縁起がよくない。めでたくない。
4.(多く「悪くなる」の形で)食べ物が傷んでいる。食べられないほど鮮度が落ちている。
5.謝罪・感謝の意を表す語。申し訳ない。すまない。
6. 名詞に付いて、不快な気持ちを表す形容詞をつくる。「気味―・い」「気色 (きしょく) ―・い」

出典:goo辞書「わる・い【悪い】」

\次のページで「「たちが悪い」の使い方・例文」を解説!/

「たちが悪い」の使い方・例文

意味がしっかり把握できたので、使ってみましょう。

1.咳が出るのにマスクをしていない、たちの悪い人だね。
2.たちの悪い風邪がはやっているようだよ、気を付けなければ。
3.SNSにたちの悪い書き込みをされ、店の評判が落ちた。

人を指して「〇〇はたちが悪い」、また名詞の前に付けて「たちの悪い〇〇」と使い方は二通りです。双方、不快感・嫌悪感などマイナスの印象を表すことができます。

1の例文は迷惑行為を批判、人を指して「たちが悪い」との表現です。比喩的用法の2は、なかなか治らない嫌な病気の性質を「悪い」と評価。また3のように、匿名性の高いインターネットの書き込みは嘘も真も混在するものですが、読む人に多少の影響を与えます。誹謗中傷の文言は「たちが悪い」という表現が相応しいですね。

「たちが悪い」の類義語をチェック!

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「たちが悪い」の類語は様々あるので、シンプルな二つの言葉をご紹介します。

悪質(あくしつ):悪い性質

「たちが悪い」を熟語にした「悪質」はずばり人や物事の性質が悪いという意味です。「あおり運転をする悪質なドライバーを逮捕」「悪質なおとり広告で企業に改善命令」など、日々のニュースメディアでも見聞きしますね。ちなみに品質が悪い場合は「粗悪(そあく)」という言葉を使うことが多いようです。

\次のページで「意地悪(いじわる):人につらく当たること」を解説!/

意地悪(いじわる):人につらく当たること

「意地悪」とはわざと人を困らせたり、つらく当たったりすること。「意地悪な人」または「意地悪い人」などと使われます。弱者に対し冷たい仕打ちをしたり、悪意を持った態度を取ったり。悪口・仲間外れ・暴言・暴力などもすべて「意地悪」になり、人を傷つける行為です。

「意地」とは心の持ち方・性質・気質・本当の心、という意味。もともと仏教用語で、五感に次ぐ第六感(心)のことでした。「意地をはる」「意地汚い」の慣用句から「意地」という言葉は意思を突き通そうとする我、強情、強欲といったイメージがありますね。

「たちが悪い」の対義語はなんだろう?

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さて、「たちが悪い」の反対の意味の言葉を探っていきましょう。「悪い」の反対は当然「良い」ですから、性格・気質が良いという意味の言葉をご紹介します。

優しい:思いやりがあり温和

「優しい」にはたくさんの意味があります。上品で美しい・他人に対して思いやりがある・性質がすなおでしとやか・けなげで立派……などなど、良い表現ばかりです。「彼女は優しい人だ」「優しくなぐさめてくれた」など、いたわりいつくしむ様などでも使われます。

気立てが良い:性質が良い

「気立て」とは他人に対する心の持ち方・性質・気質です。「気立てが良い」とは他人に対して思いやりがある人、気遣いが出来る人や優しく親切な性格を褒める言葉。主に女性に対し使われ、目上の人や年配の方に使うと失礼になるようです。

本当の心・本性を意味する「心根(こころね)」が良い・優しいという表現なども同じ意味で使われます。

「たちが悪い」を英訳してみよう!

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では、「たちが悪い」は英語でどう表現するのでしょう。様々ありますが、「たちの悪い」に相応しい単語をいくつか紹介します。

\次のページで「「nasty」:意地悪い」を解説!/

「nasty」:意地悪い

「nasty」は不快、気持ち悪い、意地の悪い、たちの悪い、とマイナスの意味が並ぶ言葉です。人だけでなく物事、事件、病気などにも使われます。スラング(口語)ではかっこいい、セクシーなどプラスのニュアンスでも使われるようですが、例文は辞書にあるような意味です。

・She is so nasty.
(彼女はたちが悪い)
・I caught a nasty cold.
(たちの悪い風邪をひいた)
・It is a nasty storm.
(ひどい嵐だ)

「wicked」:邪悪な

「wicked」は邪悪な・不道徳な・悪意のある・意地悪な、と訳される単語です。

名作「オズの魔法使い」に出てくる悪い魔女は「wicked witch」、この魔女を主役としたブロードウェイのミュージカル舞台は「Wicked」というタイトルになっています。また、イギリス英語のスラングで「wicked」は「cool」や「wonder」と同等の賛辞「最高!」という意味で使われます。

「evil」:悪の

「evil」は悪い・邪悪・不吉・不道徳な、という意味。「good(良い)」の対義語となり、「bad(悪い)」よりもさらに悪い、冷血というイメージの言葉です。1980年代に流行り、リメイクもされたホラー映画「死霊のはらわた」の原題は「The Evil Dead」。残虐で邪悪な印象がタイトルから伝わってきますね。

「たちが悪い」使っても言われないようにしたいものです

この記事では「たちが悪い」の意味・使い方・類語などを説明しました。「たちが悪い」の「たち」は「質」であること、人だけでなく物事にも比ゆ的に使い、ネガティブな言葉であることが分かりましたね。

たちが悪い人はたちの悪さを自覚していないかもしれません、よって自分も陰口を言われているかも!?顧みて、思いやりを持って、周囲から優しい人だと言われたいですね。

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国語言葉の意味

「たちが悪い」の「たち」って何?意味や使い方、類語・英訳などを語学系主婦ライターがわかりやすく解説

この記事では「たちが悪い」という言葉の意味を説明する。
「たちが悪い」とは簡単に言うと「性格が悪い」という悪口の一種ですが、詳しく意味を知ることで使い方の幅も広がるぞ。
今回、語学系主婦ライターの小島ヨウを呼んだ、一緒に「たちが悪い」を解説していく。

ライター/小島 ヨウ

言葉の使い方、漢字の意味に興味を持ち、辞典で調べまくるアナログ主婦ライター。分かりやすく、読みやすい文章を心がけている。

「たちが悪い」の意味と使い方

image by iStockphoto

「たちが悪い」はネガティブな言葉で、性格・人格・言動や性質を批判している表現です。詳しく意味をみていきましょう。

「たちが悪い」の意味

まずは「たちが悪い」の意味を辞書で調べてみましょう。

物事の性質がよくないことを表す表現・性格が悪いまたは、悪質であるさま。「質の悪い」とも言う。

出典:実用日本語表現辞典「たちが悪い」

自己中心的、自分の非を認めない、ルールを守らない、人を見下す、ハラスメントを繰り返す……こういった言動をする人は「たちが悪い」と言われるのではないでしょうか。「たち」とは何か、「悪い」とはどういうことか、詳しく説明していきます。

「たちが悪い」の「たち」って何?

「たち」とは人が生まれつき持っている性質や体質、物事の性質のこと。また動物や植物、生物、病気などにも比喩的に使われます。

「たち」は日本の固有語である大和(やまと)言葉で、「ものごとの性質」という意味です。そこで、意味が似ている「質」という漢字が当てられました。よって「質」は「たち」と読みませんが、「たちが悪い」の「たち」は漢字で書くと「質」。一般的にひらがな、またはカタカナで表記されます。

また「悪い」の辞書の意味は以下です。

1.人の行動・性質や事物の状態などが水準より劣っているさま。
ア.質が低い。下等である。
イ.能力が劣っている。下手である。
ウ.美的な面で劣っている。醜い。
エ.正常・良好な状態でない。すぐれない。
オ.地位や身分が低い。また、社会的にしっかりしていない
カ.経済的に衰えている。貧乏である。
キ.利益の面で劣っている。損である。不利である。
ク.好ましくない効果やよくない結果をもたらすさま。逆効果である。
ケ.ふさわしくない。不向きである。不適当である

2.人の行動・性質や事物の状態が、正邪・当否の判断基準に達していないさま。
ア.正しくない。不当である。善でない。
イ.不親切である。やさしくない。
ウ.人と人との間が円満でない。

3.不吉である。縁起がよくない。めでたくない。
4.(多く「悪くなる」の形で)食べ物が傷んでいる。食べられないほど鮮度が落ちている。
5.謝罪・感謝の意を表す語。申し訳ない。すまない。
6. 名詞に付いて、不快な気持ちを表す形容詞をつくる。「気味―・い」「気色 (きしょく) ―・い」

出典:goo辞書「わる・い【悪い】」

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