この記事では「無聊」について解説する。

端的に言えば無聊の意味は「何もすることがなく退屈なさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「無聊」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「無聊」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「無聊」の意味や語源・使い方まとめ

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無聊」は、「ぶりょう」と読みます。日常会話であまり使われないので、馴染みのない人も多いでしょう。しかし、小説などではしばしば目にします。この機会にしっかりと覚えましょう。それでは早速「無聊」の意味や語源・使い方を見ていきます。

「無聊」の意味は?

まず初めに「無聊」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「無聊」には、次のような意味があります。

1.退屈なこと。心が楽しまないこと。気が晴れないこと。また、そのさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「無聊」

2.何もすることが無くて、時間を持て余す状態。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「無聊」

上記のように「無聊」は、やるべきこと、なすべきことがなく、暇を持て余すと言うことです。また、楽しみがなく退屈である、退屈で心が晴れない、と言う意味合いも持っています。

「無聊」は「むりょう」と読むこともありますが、一般的には「ぶりょう」と読むのが普通です。

 

「無聊」の語源は?

次に「無聊」の語源を確認しておきましょう。

「無聊」は中国語が語源の熟語です。中国語にも全く同じ「無聊」と言う言葉があり「ウリャオ」と読みます。中国語の「無聊」も、つまらない、退屈、くだらない、と言う日本語の「無聊」とほとんど同じ意味の言葉です。

」は「いささか」とも読む漢字で、少し、たのむ、楽しい、という複数の意味を持っています。「無聊」における「聊」は、楽しい、と言う意味を持ち、「聊」が「無」し、と言うことですから、楽しみが無い、と言う意味ですね。つまり、退屈で楽しみが無い、と言うことです。

\次のページで「「無聊」の使い方・例文」を解説!/

「無聊」の使い方・例文

それでは「無聊」の使い方を、実際の例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.ケガで入院したが、誰も一度も見舞いに来ないうえ、趣味の小説投稿もできず無聊に苦しんでいる。
2.一人暮らしの祖母の無聊を慰めようと、子供も連れて気晴らしの散歩に出た。
3.父は退職してからというもの、ひまを持て余し、日々無聊に堪えないと言った様子だ。

例文1の「無聊」は、やることが無く暇を持て余していると言う意味ですね。「無聊に苦しむ」と言う表現で、よく使われる言い回しです。

例文2は、暇を持て余すのと同時に、気が晴れない、憂鬱だと言うニュアンスを含んでいます。そして、退屈や憂鬱を紛らわせようとすることを「無聊を慰める」と言いますが、これはとても良く使われる表現ですから覚えておきましょう。

例文3は、「無聊に堪えない」という言い方で、やることが無く退屈な気持ちを抑えられない、と言う意味合いです。すこし文語的な表現ですが、近代文学などでしばしば見かける事がありますので覚えておいてくださいね。

「無聊」の類義語は?違いは?

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「無聊」の類義語には「退屈」、「徒然」がふさわしいでしょう。

 

その1「退屈」

退屈(たいくつ)」は、することがなくて、時間をもてあますことです。また、物事に飽きてしまってつまらない気持ちを表すこともあります。「無聊」のように、憂鬱や気分が晴れないと言った意味合いはありませんが、すべきことが無く時間を持て余す、と言う意味では類義語としてふさわしいでしょう。

もともとは仏教用語で、修行の厳しさに屈し気力をなくす、と言うことでしたが、それが転じて、嫌気がさす、つまらない、と言う意味になりました。そして、さらに変容し、やることが無く暇を持て余すと言う意味になったのです。

 

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その2「徒然」

徒然」の読み方は「つれづれ」です。「徒然」は古語ですが、吉田兼好の「徒然草」がとても有名ですから、ほとんどの人は聞いたことがあるでしょう。

「徒然草」の冒頭を覚えていますか?「徒然なるままに…」と言う書き出しですね。これを訳すと「何もすることがなく手持ちぶさただったので…」となります。つまり「徒然」とは、やることがなく手持ち無沙汰、退屈、と言う意味なのです。また、しんみりと寂しいさま、と言う意味合いを持つこともあります。「無聊」の類義語としてふさわしいですね。

「無聊」の対義語は?

「無聊」の対義語には「没頭」が挙げられます。

「没頭」

没頭」は「ぼっとう」と読みます。「没」と言う漢字には、しずむ、うちこむ、はまりこむ、かくれる、なくす、おちぶれる、などの複数の意味がありますが、「没頭」の「没」は、うちこむ、はまりこむ、と言う意味です。つまり、何かにうちこんでその事ばかり考えている、と言うことですね。

「無聊」がやることが無く暇を持て余すことですから、何かにうちこんで夢中になると言う「没頭」は対義語としてふさわしいでしょう。

「無聊」を使った慣用表現

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「無聊」を使った慣用表現に「無聊を託つ」と言うお決まりの表現がありますので説明しましょう。

「無聊を託つ」

無聊を託つ」は「ぶりょうをかこつ」と読みます。

託つ(かこつ)」は聞き慣れない言葉ですが、「かこつける」と言う表現で良く使われますね。「かこつける」は他のせいにする、と言う意味ですが、「託つ」には、心が満たされず、不平や愚痴を言うと言う意味もあります。つまり、「無聊を託つ」とは、何もすることがなく退屈な状態であるのを嘆く、と言う意味なのです。「無聊を託つ」は、「無聊」を用いる際は、非常に良く使われる慣用表現ですから、覚えておいてください。

また、「無聊を囲う(かこう)」と言う誤用がしばしば見られますので気をつけましょう。

\次のページで「「無聊」を使いこなそう」を解説!/

「無聊」を使いこなそう

この記事では「無聊」の意味・使い方・類語などを説明しました。漢語を由来とした熟語で、あまり、日常会話では使われない言葉ですが、読書などが好きな人は良く目にするのではないでしょうか。近代文学ではしばしば用いられていますね。

「無聊」の意味を知識として覚えておくことももちろんですが、自分でも実際に使えると良いですね。文語的表現ですから、随筆や手紙などで古風に「退屈」なことを伝えるのぴったりだと思います。ぜひ、使ってみてください。文章の雰囲気がとても情緒的になると思いますよ。

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国語言葉の意味

「無聊」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「無聊」について解説する。

端的に言えば無聊の意味は「何もすることがなく退屈なさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「無聊」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「無聊」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「無聊」の意味や語源・使い方まとめ

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無聊」は、「ぶりょう」と読みます。日常会話であまり使われないので、馴染みのない人も多いでしょう。しかし、小説などではしばしば目にします。この機会にしっかりと覚えましょう。それでは早速「無聊」の意味や語源・使い方を見ていきます。

「無聊」の意味は?

まず初めに「無聊」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「無聊」には、次のような意味があります。

1.退屈なこと。心が楽しまないこと。気が晴れないこと。また、そのさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「無聊」

2.何もすることが無くて、時間を持て余す状態。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「無聊」

上記のように「無聊」は、やるべきこと、なすべきことがなく、暇を持て余すと言うことです。また、楽しみがなく退屈である、退屈で心が晴れない、と言う意味合いも持っています。

「無聊」は「むりょう」と読むこともありますが、一般的には「ぶりょう」と読むのが普通です。

 

「無聊」の語源は?

次に「無聊」の語源を確認しておきましょう。

「無聊」は中国語が語源の熟語です。中国語にも全く同じ「無聊」と言う言葉があり「ウリャオ」と読みます。中国語の「無聊」も、つまらない、退屈、くだらない、と言う日本語の「無聊」とほとんど同じ意味の言葉です。

」は「いささか」とも読む漢字で、少し、たのむ、楽しい、という複数の意味を持っています。「無聊」における「聊」は、楽しい、と言う意味を持ち、「聊」が「無」し、と言うことですから、楽しみが無い、と言う意味ですね。つまり、退屈で楽しみが無い、と言うことです。

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