
1. 試験管に溜まった残渣を回収する。
2. 蒸留過程の残渣油がたまる。
さて、例文が正しく使えてますね。日常用語というより、科学的な文献で使われる熟語です。また、「残渣が残る」とするのは誤用ですので注意しましょう。なぜなら、そもそも「残渣」が残ったという意味なので二重表現となるからです。例文の2.について詳しく見ていきましょうか。
少し化学っぽい話をします。残渣油には2種類あり、常圧残油と減圧残油の2種類あるのです。常圧残油は重油として使うこともできますし、減圧残油の原料として使うのが主流であります。というものの、減圧残油は様々な場面に使われているのです。アスファルトの原料や石油コークス、脱硫にも使われています。
残渣油と重油は混合されがちですが、残渣油の中に重油があると理解しておけば間違えることもありません。
残渣油などを熱分解することで石油コークスが作られるものです。これは暗褐色の多孔質の炭素ですね。暗褐色は暗い茶色、多孔質は小さな穴が沢山開いている普通の物質より水などをたくさん吸収することができることです。コークスとは石炭を乾留したものになります。主成分はもちろん炭素ですよ、
その1「残滓」
まずは「残滓」です。「ざんし」と読みます。慣用読みでは「ざんさい」です。「滓」という漢字が難しいですね。かすという意味です。残りかすとなり、意味としては残渣と同じですね。こちらは、社会科学的な文献で使われがちな熟語です。新体制ができてからも残る、旧体制の名残のことを指して使います。例文を紹介しますので「残渣」との違いを感じてみましょう。
1. 江戸幕府の残滓が見られる。
2.試験管の底の残渣。
違いを感じることができると思います。また、「残渣」と同じ注意になりますが、「残渣が残る」とするのは誤りなので注意しましょう。
その2「残留物」
つづいては残留物です。残りとどまる、無くならずに残っているもののことを指します。「残留」という言葉自体が、科学的な文献で使われがちな単語ですので、日常遣いはし辛い熟語ですね。
普段使いするなら、「沈殿物」が良いです。沈殿も科学用語ではありますが、単語としてはメジャーなので伝わりやすいですよ。
「残渣」の対義語は?
残渣の対義語はありません。残渣は「沈殿したもの」という概念を表しているので、それと対を表すという概念はありません。
「residue」
この単語が残渣の英訳に当たります。化学や工業化学、金属学、生命科学、医学そして薬学ではこの英単語で示すことが多いです。例文を使って他の科学単語も拾っていきます。
1. There were residue in the examiner . (訳:試験管に残渣がある)
2. Residues were reacted in the beaker.(訳:ビーカーの中で残渣が反応する)
3. Coke were made by Residues of petroleum.(訳:コークスは残渣から作られる)
4. Silver react with hydrochloric acid to produce silver chloride which is residue.It remelt if base solution ,for example sodium hydrate and ammonia liquor, react on silver chloride\’s residue .
(訳:塩酸と銀が反応して残渣である塩化銀ができる。水酸化ナトリウム水溶液やアンモニア水溶液のような塩基性溶液が反応したのならば、塩化銀の残渣が再溶解する)
沢山例文を紹介しました。化学現象の解説とともに英文を訳していきましょう。
1.のexaminerは試験管という意味です。2.は簡単ですね。 beakerはビーカーという意味です。3.のcokeはコークスのことですよ。例文のところで触れたお話ですね。
4.が難しい英文であり、難しい化学現象にあたります。気合を入れて解説していきますよ。
1分目からいきましょう。Silverは銀、hydrochloric acidは塩酸のことです。塩酸は塩素と水素が反応してできた「塩化水素」の水溶液ですね。塩酸ができる反応は「H2+ Cl2 →2HCl」と表します。塩化銀はsilver chlorideです。この反応は「2Ag+Cl2→2AgCl」。2つめの英文見ていきましょうね。Ifの後の従属節から解説します。base solutionは塩基性溶液を指しますね。次に、主節を見てください。remeltは再溶解です。沈殿したものが再び溶媒に溶ける現象を指します。
「残渣」を使いこなそう
この記事では桜木先生と一緒に「残渣」の世界を見てきました。最後にポイントの確認です。1.残渣の読みと意味。2.残渣の例文。3.残渣の類義語。4.残渣の英訳。さて、全部答えられましたか?答えられなかったところは本文に戻って確認しましょう。
今回は言葉の意味だけでなく、科学の話もたくさんしました。他分野にわたる話で疲れましたね。記事を読んで忘れていたことや興味を持ったものは、各自他の文献を当たるようにしましょう。スタディーZの化学の記事も是非活用してくださいね!