この記事では「靉靆」について解説する。

端的に言えば、靉靆の意味は「雲や霞(かすみ)などがたなびいているさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元新聞記者で、ライター歴20年のトラコを呼んです。一緒に「靉靆」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トラコ

全国紙の記者を7年。その後、雑誌や書籍、Webでフリーの記者などとして活動中。文字の正確さ、使い方に対するこだわりは強い。

「靉靆」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速、「靉靆」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

分からない言葉や用語があれば、辞書や辞典、事典で調べる、インターネットのサイトでまず検索するのがおすすめです。

「靉靆」の意味は?

靉靆」には、次のような意味があります。

1.雲や霞 (かすみ) などがたなびいているさま。
2.気持ちや表情などの晴れ晴れしないさま。陰気なさま。
3.眼鏡

出典:デジタル大辞泉(小学館)「あい-たい【靉靆】」

まず、「靉靆」と見て、すぐに読める人は少ないかもしれません。靉靆は「あいたい」と読みます。読み方のヒントは、漢字です。漢字の右にある「愛」「逮」をよむと「あい」「たい」なので、あいたいと読めるでしょう。

靉靆の意味は主に、雲や霞などがたなびいている様子と、気持ちや表情などが晴れ晴れせず、陰気な様子という2つの意味があります。また、眼鏡(メガネ)のことを昔、靉靆と読んでいた時代あったとのことです。

「靉靆」の語源は?

次に、「靉靆」の語源を確認しておきましょう。

靉靆の語源について、はっきりとはわかっていません。

ただ、漢字を紐解くと、「靉」は雲のたなびいているさま、雲が空をおおうさまという意味で、この言葉だけでも靉靆の意味を持ちます。また、「靆」も雲のたなびくさまという意味で、この漢字も靉靆の意味です。

ちなみにいずれも、漢字検定1級レベルの難読語となっています。

「靉靆」の使い方・例文

続いて、「靉靆」の使い方を、いろいろな例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「靉靆」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.若者は、靉靆たる表情で、遠くをずっと見つめていた。
2.靉靆はなはだしい曇り空の状態で、のちに雨が降ってきた。
3.男たちは靉靆とした顔つきで、苦笑いしていた。
4.靉靆をかけた男性が、向こうから歩いてくる。
5.陰鬱な雰囲気の靉靆とした少年たち。

例文1は、靉靆がよく「靉靆たる」という表現で使われることから、陰気な気持ちという意味。例文2は、空に雲や霞などがたなびいている天気の様子を表しています。

例文3は、気持ちが晴れ晴れとしない、やや憂鬱な気持ちも垣間見れそうな意味合い。例文4は、めがね=靉靆と示している文章となっていますが、現在ほとんど使われません。

そして、例文5も、気分的にすっきりしない様子という意味です。

「靉靆」の類義語は?違いは?

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続いて、「靉靆」の類義語やそれぞれの意味について見ていきましょう。

靉靆の類義語として、靄然闇黒暗晦気鬱陰気暗鬱重苦しい薄暗い、気欝などがあります。ネガティブな言葉ばかりです。

その1「靄然」

まず、靉靆の類義語として挙げられるのが「靄然藹然」です。「あいぜん」と読みます。

この言葉の意味は、雲や霞などがたなびいたり、靄が立ち込めたりする様子。また、気分などが穏やかで和らいだ様子という意味もあります。

靉靆と同様に、なかなか馴染みなく読むのも難しい言葉ではありますが、読み方と意味を頭の片隅に置いておいて損はありません。

その2「闇黒」

次に紹介するのは、「闇黒」という言葉です。やみくろ、と呼んでしまいそうですが、「あんこく」と読みます。暗黒と同じ読み方、同じ意味です。

闇黒(暗黒)にはさまざまな意味がありますが、靉靆に近いのは主に、暗闇、希望が持てない様子、社会秩序が乱れて悪事や不安がはびこることなどが挙げられます。

その3「暗晦」

暗晦」も、靉靆に似た意味を持つ言葉です。「あんかい」と読みます。

この暗晦の意味は、暗いこと、暗い様子です。「時代の暗晦な不安さ」などと使われます。

\次のページで「「靉靆」の対義語は?」を解説!/

「靉靆」の対義語は?

「靉靆」の対義語についても、見てみましょう。

この靉靆の対義語は、利口陽気皓々麗ら快然白白炳然クリアなど。いくつかの言葉とその意味を紹介します。

その1「皓々」

皓皓」は「こうこう」と読みます。意味は、白く光り輝く様子、清らかな様子のほか、何もなく広々としている様子です。

夏目漱石の「吾輩は猫である」で、「余る所は皓皓冽々たる空霊の気だけになる」との一文があります。

カタカナ英語のクリアも、この皓皓の意味であり、靉靆の対極にある言葉です。

その2「炳然」

炳然」は「へいぜん」と読み、光り輝いている様子、明らかな様子の意味です。尾崎紅葉の「金色夜叉」で、「焔は炳然として四辺 (あたり) を照せり」との一文でも見られます。

その3「麗ら」

麗ら」は「うらら」と読みます。空が晴れて日が柔らかくのどかに照っている、声などが晴れ晴れとして楽しそう、声にわだかまりなくおっとりしている、といった意味です。

例えば、「春の麗らかで桜咲き誇る目黒川」といった使い方をします。

「靉靆」の英訳は?

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さらに、「靉靆」の英訳について見てみましょう。

靉靆を英語に訳すと、trailing (clouds)、thickheavyのほか、dark(mood)、gloomy(feeling)などとなります。靉靆が眼鏡の意味だと、eyeclassesです。

その1「trailing」

「trailing」は、靉靆の雲や霞を表現する時の英訳です。

例文を見てみましょう。

・traling smoke from chimneys

煙突から靉靆のようにたなびく煙

・traling edge

(飛行機の翼・プロペラの)後縁

・heavy clouds and haze in the sky

空を分厚い雲やかすみが覆っている(靉靆たる空)

\次のページで「その2「gloomy」」を解説!/

その2「gloomy」

gloomy」は、暗い、陰気な、陰鬱・憂鬱、気分が暗い、悲観的なといったネガティブな意味の英単語です。靉靆が意味する気持ちの分を主に英訳した言葉として使われるほか、空を表現するのに使う場合もあります。

例文を見てみましょう。

・Today is a gloomy winter day.

今日はどんよりとした(靉靆な空の)冬の日だ。

・He was in a gloomy mood.

彼は憂鬱な(靉靆たる)気分だった。

・I heard some gloomy news yesterday.

昨日、いくつかの暗いニュースを耳にした。

「靉靆」を使いこなそう

この記事では、「靉靆」の意味・使い方・類義語などを説明しました。

靉靆は、いわば英訳よりも日本語のほうが難しい言葉です。読み方と意味の難易度が高く、最初に戸惑ってしまうかもしれません。ただ、基本的な知識があると、使いこなすのはそれほど難しくないので、ぜひともしっかり覚えておきましょう。

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国語言葉の意味

「靉靆」の意味や使い方は?例文や類語を元新聞記者がわかりやすく解説!

この記事では「靉靆」について解説する。

端的に言えば、靉靆の意味は「雲や霞(かすみ)などがたなびいているさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元新聞記者で、ライター歴20年のトラコを呼んです。一緒に「靉靆」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トラコ

全国紙の記者を7年。その後、雑誌や書籍、Webでフリーの記者などとして活動中。文字の正確さ、使い方に対するこだわりは強い。

「靉靆」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速、「靉靆」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

分からない言葉や用語があれば、辞書や辞典、事典で調べる、インターネットのサイトでまず検索するのがおすすめです。

「靉靆」の意味は?

靉靆」には、次のような意味があります。

1.雲や霞 (かすみ) などがたなびいているさま。
2.気持ちや表情などの晴れ晴れしないさま。陰気なさま。
3.眼鏡

出典:デジタル大辞泉(小学館)「あい-たい【靉靆】」

まず、「靉靆」と見て、すぐに読める人は少ないかもしれません。靉靆は「あいたい」と読みます。読み方のヒントは、漢字です。漢字の右にある「愛」「逮」をよむと「あい」「たい」なので、あいたいと読めるでしょう。

靉靆の意味は主に、雲や霞などがたなびいている様子と、気持ちや表情などが晴れ晴れせず、陰気な様子という2つの意味があります。また、眼鏡(メガネ)のことを昔、靉靆と読んでいた時代あったとのことです。

「靉靆」の語源は?

次に、「靉靆」の語源を確認しておきましょう。

靉靆の語源について、はっきりとはわかっていません。

ただ、漢字を紐解くと、「靉」は雲のたなびいているさま、雲が空をおおうさまという意味で、この言葉だけでも靉靆の意味を持ちます。また、「靆」も雲のたなびくさまという意味で、この漢字も靉靆の意味です。

ちなみにいずれも、漢字検定1級レベルの難読語となっています。

「靉靆」の使い方・例文

続いて、「靉靆」の使い方を、いろいろな例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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